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HANK@森
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銀座コーチングスクール代表、株式会社アンテレクト・取締役副社長、週末起業フォーラム・チーフコンサルタントです。2005年12月から大阪事務所を構え、月のうち1週間程度を大阪で過ごしています。 中小企業の戦略経営コンサルティングを80社以上。週末起業フォーラム・チーフコンサルタントとして、年間200件程度の相談に対応&コーチング。銀座コーチングスクールのカリキュラム体系の構築、個人の体験を掘り下げ、自己基盤を確立しながらセッション力を高める独自メソッド「CASPARモデル」を開発。メルマガ「経営戦略考」を発行し、読者数約5万。
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Posted by オオサカジン運営事務局 at

2009年01月27日

「ライフスタイルノート」、やってますか?

映画「レッドクリフ」の公開、大ヒットで「三国志」への注目が高まっているようですね。「三国志」のファンになれば、中国全般の歴史への興味もわいてきます。

そこで私も、司馬遷の「史記」を読み始めてみました。「三国志」よりも前の時代の中国の歴史で、「項羽と劉邦」で知られます。紀元前200年頃の歴史ですから、よくぞ記録してくれていたものだと思います。

「史記」の解説によれば、「1750年までに中国語で出版された図書の数は、世界中の他の言語で書かれた図書全部よりも多かった」のだそうです。(アメリカの中国学者ジョン・フェアバンクによる)

もちろん、それらの多くは歴史書です。中国人の「記録オタク」ぶりは大変なものだと言えるでしょうか。そのお陰で現代人のわれわれも、古代史をよく知ることができます。

たとえば、「三国志(正史)」にある「魏志倭人伝」には、弥生時代後半における日本の状況が記されています。この記録がなければ、「卑弥呼」の存在を知ることは、できなかったのです。

1月26日付けの日経MJ(流通新聞)に「『ライフスタイルノート』と呼ばれるノートの愛用者が増えている」という記事が掲載されています。

「町歩きで発見したこと、食べた料理のレシピ、子供の成長記録」など、「日記とは異なり、特定のテーマに沿って愛用の一冊に書き留めていく」のだそうです。「記録すること」の魅力は、古代も今も変わらないようですね。


ライフスタイルノートの人気の背景には、昨今の「手帳ブーム」があると考えられています。記事は、「スケジュールがびっしり書き込まれた手帳に追われるのではなく、自分の趣味や個性を発揮できる自由な1冊を持ちたい。心にゆとりある豊かな生活を送りたいという心理が、ライフスタ
イルノート人気を支えているようだ」と解説しています。手帳とライフスタイルノートを対比するのは、興味深いです。

手帳は主に、将来のスケジュールを管理するために使われます。しかしライフスタイルノートは、過去の体験を記録するものであり、対象となる時間軸が異なります。

では、過去の体験を記録することで、なぜ「心にゆとりある豊かな生活」が実現すると考えるのでしょうか。そのような生活を実現するのなら、将来へ向けての計画を手帳に書いていった方が良さそうにも思えます。

実際の作業としては、不確実な将来よりも、確定した過去を記すことの方が簡単でしょう。そして実際、過去の記録は、将来に非常に役立ちます。だからこそ、歴史記録は重要とされるわけです。

たとえば、食事をすべて記録するという「レコーディングダイエット」なる方法があります。将来へ向けて体重を減らすように管理するのが目的でありながら、作業そのものは、過去実績を記録するだけです。それがダイエット効果につながります。

ビジネスにおいても、過去の記録は非常に重要です。事業の履歴は自社の強み・弱みを知り、将来戦略を立てる上での「根拠資料」となり得ます。将来を見据えることは大切ですが、過去の資産を無視することは、砂上の楼閣を夢見るのに近いでしょう。

将来が不確実である一方、過去からの蓄積は確実に存在します。ライフスタイルノートに記録を記していくことは、自分だけのオリジナルなノートが出来上がることのほかに、その確実さから来る安心感が魅力ではないかと思います。

しっかりと大地に根を張った、自分の人生の歩みを認識できるツールであり、結果として「心にゆとりある豊かな生活」を実感することができるというわけです。

【今日の教訓】
あなたは、自分自身の人生の歩みを記録し、その蓄積を実感することができているだろうか。過去なくして現在の自分はないし、それが将来へ与える影響を避けることもできない。企業経営においても、過去からの自社の歩みについて、良いことも悪いことも、目をそむけずに、しっかりと見つめることが大切だ。将来へ向けての戦略のヒントも、そこに見出すことができるはずだ。

<参考:日経MJ(流通)新聞 2009.01.26【20面】>
  


Posted by HANK@森 at 11:20Comments(0)ビジネス

2009年01月20日

ネットオークションでの上手な買い物方法は?

「会社を辞めずに、お金をかけずに起業する」という「週末起業」のコンセプトは、定収入を放棄したり、多額の借金を抱えたりするリスクを避けたいという発想から来ています。

とは言え、「週末起業」でも、全くのノーリスクということはありません。時間を投資したり、書物を何冊か買って読んだり、必要なソフトを購入したり、レンタルサーバ契約をしたりといった出費は伴います。

時々、問題になるのは、物販に取り組む場合です。在庫を抱えるのは、借金をしないまでも、やはりリスクとなります。売れ残ったらどうするのか、悩ましいところです。

そのため、最近は、在庫を持たない委託販売方式でビジネスを立ち上げることが可能になっています。いわゆる「ドロップシッピング」という方法です。

在庫を持った上で週末起業に取り組むなら、まずはネットオークションを利用するという手があります。20日付けの日本経済新聞に、「インターネット競売で上手に買い物をする人が増えている」という記事が掲載されています。

買う人がいるのなら、出品している人もいるわけです。「都内の会社員」として紹介されている方は、「昨年末、中古のベルト10本をまとめて千円で売った」そうです。

この方は、「一品だけでは見向きもされないが、福袋にしたら売れた」とコメントしています。ネットオークションでは、この「福袋」のような、「セット」での買い物が増えているというわけです。

先述の在庫の話ですが、ネットショップの場合、実は在庫はあまり多く持つ必要はなかったりします。極端な話、1アイテムあたりの在庫数は、「1個」でもショップは成り立ちます。

楽天市場のサイトで商品を検索すると、「在庫切れ」が実に多いことに気づきます。人気で売り切れの商品もあるのでしょうが、元々、在庫を多く持っていないからそうなるのでしょう。

一方、リアルの店舗の場合、ある程度の在庫数がないと、売り場として成り立たないのが普通です。店の広さと比較して商品数が少なすぎれば、何ともみすぼらしい感じになってしまいます。

これは、先ほどの「一品だけでは見向きもされない」に通じる感じがあります。同じ商品でも、ボリューム陳列されていると、客の目を引き、売り場に活気が出てきます。

記事では、中古ベビー服の7点セットを千円で落札した人が紹介されています。「子供服だと20~50点のセットも多く、落札価格は3千円が相場だ」そうです。値段が割安になるのが魅力ですが、単純な安値でのバラ売りよりも魅力的で、売り手にも買い手にもメリットがあります。

「漫画やDVDなどの全巻セットの売買も活発だ」とのこと。セットの魅力を表す、わかりやすい例でしょう。「大手の中古本店よりも低価格のものも多」いので、ネットオークションにお客が集まっています。

いずれにしろ、分量がまとまったり、セットになったりすることで、商品の魅力が増大するわけです。逆に、「一品だけでは見向きもされない」といいますから、その効果は大きいです。

世の中、工夫を凝らしたさまざまな売り方がありますが、分量の工夫やセット化という観点も、見逃してはならないと言えるでしょう。

【今日の教訓】
あなたの企業では、通常、自社の商品をどのような単位で販売しているだろうか。分量を増やしたり、セットにしたりすることで、商品の魅力がアップするかも知れない。「一品だけ」のため、「見向きもされない」のだとしたら、実にもったいない。

<情報源:日経産業新聞 2009.01.20【16面】>
  


Posted by HANK@森 at 17:01Comments(0)ビジネス

2009年01月15日

スキー用具は自前派?レンタル派?

現在のところ、ランニングとスキューバダイビングが私の二大趣味です。前者については、週に4~5回程度、東京では隅田川沿い、大阪では大阪城の周囲を走っています。手軽にできる趣味なのですが、装備を揃えると、いろいろとお金がかかります。

最も大切なのはシューズですね。安物ではいけません。ウェアを買い込み、冬なら防寒グッズも必須です。加えて心拍計にGPS、それに、走りながら音楽を聴くためのiPodも必要となると、そこそこの出費となります。

ダイビングについても、マイ機材をひととおり揃えるとなると、数十万円の出費です。海外のツアーに出かけるにも費用がかかります。とは言え、ランニングと比べればダイビング機材の使用頻度は極端に低いです。

そのためダイビングの場合、レンタル機材を利用する人も多いです。ただ、マイ機材の方が安心は安心です。特に初心者は、操作に慣れるためにも、マイ機材を利用した方がよいと思います。高額なだけに、上達につれ、少しずつ機材を買い増していくという発想になりがちですが、むしろそれが逆ではないでしょうか。

上級者となれば、気持ちの余裕もできるので、少々慣れない機材でも使いこなすことができます。「弘法は筆を選ばず」の境地です。そう考えると、「賢い買い物」はどうあるべきか、悩ましくなります。

1月15日付けの日本経済新聞に、スキーシーズンにちなんだ記事が掲載されています。「景気の低迷か、用具やウエアはレンタルで済ます人が昨冬に比べて倍増した」のだそうです。

用具・ウエアを買うお金を節約しようという気持ちは、十分に理解できます。とは言え、「倍増」とは、あまりにも極端な気がします。記事は、「コストを抑えて楽しむ意識が強い」と解説しています。

そもそも、最近のスキーの人気はどうなのでしょうか? 記事によれば、「社会経済生産性本部がまとめたレジャー白書では、スキーの参加人口は1993年の1770万人が、2007年は560万人と1/3以下に減った。スノボも2007年に同400万人で、減少傾向にある」そうです。

なぜ、スキーに行かなくなってしまったのでしょうか。記事には、「スキーやスノボを一度もしたことがない人」を対象として日経産業地域研究所が実施した調査結果が紹介されています。

「スキー場まで行くのに時間がかかり面倒(42%)」、「用具やウエアをそろえるのが大変(37%)」とのことだから、用具・ウエア問題がネックになっていることがわかります。

スキーやスノボの経験者を対象とした調査では、41%が「用具やウエアが豊富なレンタルショップ」を、「あったらいい設備やサービス」として挙がっています。

つまり、レンタルで済ませたいという意向が、かなり強いわけです。恐らくは、レンタルを利用する方が、合理的なのでしょう。業界側も、それを踏まえて対応していくはずです。

人それぞれの価値観はあるが、「合理性」を追求していけば、現在の消費・購買行動が最適であるとは限りません。今回、不況により、スキーの用具やウエアの利用についての「合理性」があぶり出されたのだと思います。

ビジネスが絶えず進歩していくものだと考えると、合理性の低いビジネスは、淘汰されていくことになるでしょうい。バブル期のような消費行動は、長くは続きません。

将来を見据えれば、自社のビジネスの「合理性」について、真剣に考える必要があるでしょうね。もし景気がさらに冷え込んだとしても、自社の商品はまだ買ってもらえるでしょうか。そうでないとすれば、どのようにビジネスモデルを改める必要があるでしょうか。

スキー用具・ウエアに限らず、クルマやブランド品に至るまで、レンタルが普及してきています。経済環境の悪化による「緊急避難」だとは言い切れません。消費行動の「進歩」だと考えると、景気が回復しても、元には戻ることはないのでしょう。



【今日の教訓】
もし景気がさらに悪化するとしたら、あなたの企業の商品は、まだ買ってもらえるだろうか。買ってもらえないとすれば、顧客は何を求めるだろうか。顧客からみた合理性を追求し、ビジネスモデルを見直してみよう。

<情報源:日本経済新聞 2009.01.15【27面】>

  
タグ :スキー


Posted by HANK@森 at 14:45Comments(0)ビジネス

2009年01月14日

2度目の結婚式をあげる夫婦が増えているって、ホント?

ビジネスモデルを検討する際、どうしても気になるのが、リピーターを確保し得るモデルになっているかどうかです。さらに、リピートの間隔は、基本的には短い方がありがたいでしょう。

とは言え、それはあくまでも売り手側の勝手な言い分でしかありません。また、リピート需要がなくとも、世の中で必要とされているビジネスは、たくさんあります。

知人が結婚披露宴の司会者を派遣するビジネスをやっています。聞くと、リピートが多いのでありがたいとか。同じ新郎新婦が何度もやるというのは、芸能人(神田うの)くらいではないでしょうか? それとも、再婚時に同じ司会者を依頼するということなのでしょうか?

尋ねれば、顧客や新郎新婦ではなく、ホテルや結婚式場が顧客なのだそうです。ホテルや式場としっかりした関係ができれば、リピートでオーダーが入ります。

このように、司会者派遣業は、リピーターを確保できるビジネスモデルになっているわけです。となると、その「課題」は、特に結婚式場が担うことになります。

1月14日付けの日経MJ(流通新聞)に、「結婚して10年、20年といった節目に、2度目の結婚式をあげる夫婦がじわりと増えている」という記事が掲載されています。

ほとんどの場合、同じ式場を使うわけではないと思うので、正確にはリピーターではありませんが、結婚式全体の市場規模が縮小しているとなれば、結婚式を「リピート」するという発想は、有効でしょう。


記事によれば、「少子化による若者人口の減少や晩婚化が進んだことなどで、長期的にみると年間の婚姻件数は減る傾向にある」そうです。加えて、「ジミ婚」や「質素婚」といった傾向もあるようです。

結婚式にリピート性が乏しいことは、今に始まった話ではありませんが、市場規模が拡大しているうちは、リピートがなくても、それほど問題視はされなかったということなのでしょう。

リピート需要を確保できるビジネスに目が向くのは、市場の成長に陰りがみられるようになってからです。住宅でも、新築よりも修繕やリフォームの市場が狙われるようになりました。

リピート需要が発生するには、「2度目」の魅力が明確であることが必要です。記事をみると、結婚記念日の一つの演出としてのものもあれば、親の言いなりの式をあげざるを得なかったことへのリベンジであったりもします。

ハネムーン用の旅行プランを利用する「40~50歳台の熟年夫婦」も増えているそうです。「ハネムーン」ではなく「ロマンチックジャーニー」と名づけられていたりします。

結婚式や披露宴は、本人にとっては一生に一度の晴れ舞台です。夫婦の愛を確認する機会でもあります。1回きりだから価値があるとも言えますが、もう1回やりたいという気持ちも十分に理解できます。

1回きりの価値を損ないたくないのなら、「2回目」の結婚式ではなく、結婚年数に応じた「○婚式」のバージョンアップ版だとも言えます。

考えてみれば、リピートしないと思われていたものをリピートさせるには、単純に「2回目はどうですか?」と提案するよりも、何か新たな意味づけをした方が、気がきいていますよね。

単純なケースでは、「自分用」に買ったのなら「恋人用」にもう一つどうかと勧めたりといったことがあるでしょう。リピート需要の掘り起こしにあたっては、必要な着眼点ですね。

【今日の教訓】
あなたの企業の商品は、リピート購買される商品だろうか。もしそうでないとしたら、新たな意味づけにより、リピート需要を掘り起こすことができないか、考えてみよう。


<参考:日経MJ(流通新聞) 2009.01.14【16面】>

  
タグ :結婚式


Posted by HANK@森 at 16:38Comments(0)ビジネス

2009年01月08日

これは面白い!7万人が参加する「しりとり」サイト

昨日の当ブログでは、仮想空間サービスについて取り上げました。その面白さに「ハマる」人も多いです。私自身は、そこまで熱心になることは少ないですが、今日アクセスしたサイトには、驚かされました。

1月8日付けの日経産業新聞で紹介されていたサイト、「shiritori-ring(しりとりんぐ)」は、「サイトを訪れた人がしりとりをし、ひとの輪がつながっていく仕組みで、すでに約7万人が参加」しているのだそうです。

これは、高橋酒造という熊本県の会社のウェブキャンペーンとして立ち上げられたサイトです。「サイトは2008年10月に開設以来、ブログなどの口コミでファンが広がっている」そうです。

「しりとり」という単純なゲームながら、自分の分身も含め、何とも言えないユーモラスなキャラクターが登場し、思わず笑みがこぼれます。動きがまた、かわいらしいです。

自分の順番を待って、しりとりの単語を入力するという仕組みになっています。このサイトを制作したオグルヴィ・ワン・ジャパンの阿部晶人氏は「わざと待たせるのはオンデマンド(による即時性)が当たり前のウェブでは珍しい試み」とコメントしています。


待っている間、ドキドキ、ワクワクさせられます。また、「ほかの人が入力したしりとりの言葉に拍手を送」るといった機能や、「つながった人の数を長さに換算し、建造物などを・・囲みきると達成を祝う特別画面が表示される」といった演出もあります。

このサイトが「面白い」と感じるかどうかは、人それぞれかと思いますが、何はともあれ、まずは自身でアクセスし、体験してみるとよいと思います。

酒造メーカーのキャンペーンですので、お酒の拡販が目的のサイトです。「しりとり」と「お酒の拡販」がどのように結びつくのでしょうか。面白いサイトをつくって集客すればよい、という単純な話ではないようです。



このサイトの制作は、「(高橋酒造の)企業理念に合うウェブ販促の依頼を受け」たことから始まっています。同社の企業理念は、「人と人を近づけたい」というものです。

企業理念を読んだだけで、これが酒造メーカーのものだとわかる人は少ないのではないでしょうか。ですが、言われてみれば、お酒には確かに、人と人を近づける機能がありますね。

私自身、クライアントの企業理念づくりのサポートをしたことが何度もありますが、その際、その会社の商品やサービスの最も本質的な価値は何か、徹底的に議論します。「人と人を近づけたい」という理念も、そのような議論から生まれたものかも知れません。

いずれにせよ、その理念が「しりとり」活用の発想につながり、ウェブサイト上でも、見事にそれが表現されているわけです。具体的には、しりとりをする際、酒のお酌をする画面が表示され、「お酒」と「しりとり」との親和性のようなものが実感させられます。

このサイトを利用するには、メールアドレスや氏名といった情報を入力する必要はなく、居住地の都道府県のみを入力します。ただ、ついつい画面中央に表示されているお酒の画像をクリックしたくなってしまいます。

というのは、「順番待ち」をしている間が、何とも手持ち無沙汰だからです。記事は「一人あたりの平均滞在時間は11分と、この種のキャンペーンでは記録的な長さ。15秒のテレビCMなら40本強に相当する」と指摘しています。ですので、販促効果も十分に高そうです。

企業理念の大切さは広く認識されていると思いますが、具体的かつ上手にマーケティングに活用できている例は、あまり多くないかも知れません。理念にこだわった高橋酒造と、それを見事にサイト上で具現化し、販促効果も実現した阿部氏の才能には、脱帽させられます。

【今日の教訓】
あなたの企業では、自社の理念をどのようにマーケティングに活用しているだろうか。その前に、自社の理念を定めるにあたり、自社の提供価値の本質は何か、どれだけ考えることをしただろうか。考えに考え抜かれた理念があれば、それは大きな武器となる。見直しをしてみよう。

<参考:日経産業新聞 2009.01.08【4面】>

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Posted by HANK@森 at 17:19Comments(0)ビジネス

2009年01月07日

なぜセカンドライフは面白くないのか?

年が明けると、「今年はいったい、何が流行るのだろう?」とつい考えてみたくなります。流行ると思われて、意外と振るわなくなるものもありますので、、予測は難しいですね。

その最たるものは、仮想空間サービスの「セカンドライフ」ではないでしょうか。私自身、登録はしてみたものの、それきりです。元々、“ファーストライフ”で十分に楽しいので、セカンドライフが欲しいとは思わない、というスタンスだったというのもありますが。

1月7日付けの日本経済新聞と日経産業新聞の両方で、セカンドライフ関連の記事が掲載されています。日経本紙(1面)の方は、「セカンドライフの誤算」と題されており、ネガティブな論調です。

その記事によると、「日本ではセカンドライフ関連のベンチャーが続々と撤退」しているのだそうです。「訪問客が少なく、ゴーストタウン化した仮想都市もある」とも。

その理由として記事は、バーチャル(仮想)の世界は珍しいものではなくなり、むしろリアル(現実)の世界の希少性が高まったことを指摘しています。結局、人間はバーチャルよりもリアルの方を好むということらしいです。

一方、日経産業新聞では、セカンドライフ以外の仮想空間サービスをとりあげ、「新たな潮流も生まれている」ことを紹介しています。その中でも「ニコッとタウン」は、「わずか3カ月で9万人の登録ユーザーを集めた」というから、すごいですね。

仮想空間サービスでも、セカンドライフとは、どのように違うのでしょうか。基本的に、セカンドライフの弱点を克服するような作りがなされているようです。

※記事で紹介されている仮想空間サービス
 ・ニコッとタウン → http://www.nicotto.jp/
 ・ダレットワールド → http://dwpc.jp/
 ・PlayStation Home → http://playstationhome.jp/
 ・Barbie girls → http://www.barbiegirls.com/homeMtl.html
 ・Habboホテル → http://www.habbo.jp/

たとえば「ニコッとタウン」では、「徹底した安心感」をコンセプトにユーザーを集め、女性が75%を占めます。ネット上のサービスであるにも関わらず、「午前零時に閉店する」。基本機能は「交流」です。

他のサービスについては、「遊び」「イベント」といったコンテンツが充実していたり、対象を絞り込んだ交流機能、「有害情報を排除する仕組み」といった点が、成功の秘訣として解説されています。

これらと比較すると、セカンドライフは「運営者が場所の提供に徹し、出店者が自由にサービスを提供するタイプ」であり、「何でもできる」一方、「一般ユーザーが何をしたらよいか分からなくなる欠点もあった」と記事は指摘しています。

以前、メルマガで、携帯版GREEが恋愛小説を配信するという記事を取り上げ、「箱」と「中身」の両方を提供することが必要だと指摘したことがあります。

セカンドライフは、まさに「箱」しか提供しなかったわけです。しかし記事に登場するサービスは、しっかりと「中身」を提供しています。そのことについて、記事は「まず核となるファンを作り出す方法論」と表現しています。

セカンドライフの頓挫により、仮想空間サービスに対する評価は分かれたことでしょう。他のサービスが成功を収めることで、セカンドライフの弱点も浮き彫りにもなりました。

逆に、セカンドライフの弱点を克服する仮想空間サービスを提供すれば、多くの人に支持される可能性があります。人気サービスが生まれた発想の順序としては、こちらの方でしょう。

つまり、なぜセカンドライフは面白くないのか、と考えてみるわけです。ならば、面白くなる仕掛けを作ればよいのです。仮想空間サービスそのものがダメだと考える必要はありません。そう考えると、現在人気を集めているサービスは、セカンドライフの頓挫を踏まえて進化した
ものだとみなすこともできますね。

【今日の教訓】
あなたの企業では、自社だけではなく、他社、あるいは、広く世の中を見渡してみつかる失敗からも学ぶことができているだろうか。失敗したからと言って全否定するのではなく、失敗要因を分析し、それを克服したビジネスを考えてみよう。

<参考:日経産業新聞 2009.01.07【4面】>
  


Posted by HANK@森 at 18:53Comments(0)ビジネス

2008年12月29日

土方歳三のDVDをタクシーで鑑賞できます。

競争が進化していくと、商品・サービスの本来の機能とは別の部分での差別化が必要になってきます。フツーに機能するのは当たり前で、勝敗のカギは別に存在することになるわけです。

たとえばクルマについて考えてみれば、本来の機能からみるとコア部品はエンジンのはずですが、それでは差別化の決め手となりにくいです。デザインや居住性といった部分が重要となりますね。

その差別化ポイントは「付加価値」とも呼ばれたりします。その言葉を使えば、「本来価値」ではない「付加価値」で勝負が決まるというわけです。不思議な気もしますが、それが現実としてありがちです。

12月29日付けの日経産業新聞に、「函館タクシーは戊辰戦争の最後の舞台となった函館市で戦士した新選組副長、土方歳三の生涯をDVDにまとめ、希望する利用者にタクシー内で上映するサービスを始めた」という記事が掲載されています。

函館タクシーの社長によると、「土方は観光客に根強い人気。函館の新たな観光振興につなげたい」とのことです。「車内で見るには予約が必要」ですが、「観光バスや、函館空港と市内を結ぶシャトルバスでも上映する予定」もあるそうです。

タクシー利用者向けのちょっとした「付加価値」サービスのように見えますが、社長のコメントからすると、函館の観光地としての付加価値向上策でもあるようです。

いずれにしろ、「付加価値」の切り口でこの施策を眺めてみると、さまざまなことに気づきます。単純に、「本来の機能とは別の部分での差別化」という話ではないのですね。


記事では触れられていませんが、この施策の背景には昨今の「歴史ブーム」があるでしょう。「価値」をより高く評価してもらえる状況にあるわけです。何を「付加価値」と設定するかを考えるにあたり、時流を無視するわけにはいきません。

人気のある「土方」ブランドを活用した価値向上策という面も感じられます。ブランド価値のアピールは、差別化策として、非常に強力です。

また、この施策は函館という「当地」で行なうことに意味があります。歴史上の偉人の当地という「資産」は、観光に関して言えば、「付加価値」というより「本来価値」に近いでしょう。

「函館の観光地としての(付加)価値向上策でもあるようです」と先述しましたが、タクシー内でDVDを上映するという付加価値は、函館の本来価値を、より顕在化する効果をもたらしてくれます。

商品・サービスの価値は、必ずしも市場に的確に伝わっているわけではありません。その溝を埋める施策を打つことが重要であり、それがたまたま、タクシー会社の付加価値サービスとなっているわけです。

記事によれば、DVDを上映するタクシーの運転は「はこだて検定」の合格者が務めるそうです。価値を市場に伝える担い手としてタクシーや乗務員が位置づけられていることは明らかであり、それが付加価値となっています。

競争の道具として付加価値は、市場シェアの奪い合いに使われます。しかし函館タクシーが提供する付加価値は、函館の本来価値を向上し、観光市場の拡大に寄与します。このようなタイプの付加価値も、あるわけです。


【今日の教訓】
あなたの企業では、本来価値と付加価値について、どちらの向上により大きなウェイトを置いた取り組みをしているだろうか。「どちらか一方」と考える必要はない。本来価値の向上に寄与する付加価値というものも、あるはずだ。考えてみよう。


<参考:日経産業新聞 2008.12.29【17面】>
  


Posted by HANK@森 at 21:20Comments(0)ビジネス

2008年12月25日

買ってもらいやすくする、ちょっとしたコツ

テレビ番組「マネーの虎」に出演していた南原竜樹さんを憶えていますか? 3年半前にすべてを失い、35億円の借金を抱えましたが、今は見事に復活を遂げています。

その南原さんの新刊「クルマはふつうの価格で買ってはいけない」に目を通す機会に恵まれました。その中で、クルマのオークションの仕組みが詳しく述べられています。

クルマでビジネスを起こすのに必須な知識であるのはもちろんのこと、どうすれば賢くクルマを購入できるかといったこともわかります。併せて、ビジネスに真面目に取り組めば、必ず報いが得られるという教訓も散りばめられており、興味深いものでした。

オークションの仕組みが導入され、クルマ売買のビジネスも大きく変わったようですね。他の業界でも同様で、特にネットでのオークションや入札の仕組みがもたらす影響は大きいと言えるでしょう。

12月25日付けの日経産業新聞に「GMOインターネットグループのグローバルウェブは24日、個人が自由に翻訳を依頼できるサイトに入札方式を導入したと発表した」との記事が掲載されています。

「入札式翻訳サービス」を利用すると、「翻訳家が得意とする分野の案件であれば、従来方式より安く発注できる」そうです。「翻訳してもらいたい文書ファイルをアップロード」し、「料金設定し発注する」という仕組みです。

翻訳家と翻訳をして欲しい人が一箇所に集まることで、これが実現したわけです。オークションや入札といった、価格決定の仕組みのバリエーションはありますが、太古の昔からある「市場」と本質的には変わりません。

市場、あるいは入札・オークションを利用するメリットは、あちらこちらへ出向かずに一箇所で済むことと、「比較」が容易であることでしょう。

ベストな購買意思決定をしたければ、「比較」の要素は欠かせません。通常の企業なら、物品・サービスを購入するのに「相見積もり」をとるのは常識ですね。

いわゆる「比較サイト」が人気を博していることや、比較により購買がしやすくなることについては、当ブログでも1ヶ月前に取り上げたばかりです。

営業上のテクニックでも、一つの商品について買うか買わないかを迫るよりも、複数の商品を提示し、どれにするか比較し、選んでもらうようにするのが賢明とされています。

「比較」ができない場合、買い手の心理としては、売り手の言いなりとなったようで、気分がよろしくありません。自ら主体的に選択し、購入したことにしたいものなのです。

小売店でも、品揃えしてある商品を比較検討できるような陳列がしてあると、選びやすく、結果として買いやすくなります。「顧客視点」とは、そのようなことを言うのでしょう。それが売り場づくりの原則でもあります。

そう考えると、もし商品が売れないとしたら、適切な「比較」の機会を提供していないことが原因かも知れないと疑ってみるとよいかも知れませんね。

【今日の教訓】
あなたの企業では、自社の商品・サービスを販売するにあたり、顧客に比較選択の機会を十分に与えているだろうか。比較の有無は、選びやすさや買い安さに大きな影響を与える要因だ。今一度、見直してみよう。

<参考:日経産業新聞 2008.12.25【4面】>
  


Posted by HANK@森 at 18:20Comments(0)ビジネス

2008年12月24日

事業承継に成功した企業の特質とは?

経営を一つの「科学」ととらえると、データの分析は欠かせません。分析の目的は、問題の原因を特定したり、成長の芽を発見したりと、さまざまな観点が考えられます。

異なる事象の相関関係を探ってみるのも面白いです。表計算ソフトを使えば、比較的簡単に算出できます。AとBと相関が高いとなれば、Bで良い結果を得たければ、Aに対して何らかの手を打つべきだという話になります。

私が経験した事例では、たとえば社員の意識調査を行なった際、「この会社にずっと勤める意思はあるか」に対して否定的な回答をした人たちは、「この会社のビジョンは明確か」という設問に対しても否定的に回答していることがわかったりしました。

つまり、ビジョンを明確に示しておかないと、離職率が高くなる、という分析結果です。単純かつ極端な解釈にも見えますが、離職の重要な要因として着目すべき点を浮き彫りにしたという点で、有用でしょう。

12月24日付けの日本経済新聞に、「中小企業の事業承継に関する調査研究」の結果が紹介されています。それによると、事業承継にあたっては、「金融機関や取引先との事前の合意形成が大事であることが分かった」そうです。

これは、調査対象となった承継事例を「成功した」「非成功」に分け、それぞれの回答結果の違いを比較してみたのでしょう。成功要因を特定するのに、よく使われる手法です。

中小企業研究センターが行なったこの調査結果では、「事業承継に際し事前了解を得た関係者」として、「成功企業では26.3%が金融機関、17.8%が取引先と回答。非成功企業ではそれぞれ14.3%と8.9%で10ポイント前後の開きがあった」そうです。


誰を後継者にするかについては、株式でも所有していない限り、金融機関や取引先が口を出す筋合いのものではないかも知れません。しかしもちろん、そういうわけにはいかないですね。

記事は、「中小企業の多くは経営トップが外部交渉を一手に引き受けるため、外部関係者との関係維持が円滑な継承には不可欠と分析している」とコメントしています。

中小企業研究センターのサイトでは、さらに詳しいレポートが掲載されていて、ポイントとして「基本は早期の取組開始」「幅広い関係者に目を向けて理解を得る」の2つが挙げられています。


早期に取り組みを開始すれば、関係者への「根回し」も抜かりなくできるということでしょう。いずれにしろ、そのような「根回し」は、事業承継に限らず、一般的な仕事においても重要なことです。

コンサルタントとしての私の師匠は、仕事を進める場合に必ず考えるべき3つのポイントがある、と教えてくれました。一つは「プロダクト(成果、結果、目標)」、もう一つは「プロセス(やり方、方法)」、そして「インフルエンス(周囲への影響)」の3つです。

有能に見えてもトラブルばかり起こす人は、インフルエンスを考えていないことが原因でしょう。周囲への影響を考えず、独りよがりで仕事を進めてしまうわけです。

時として、社長・リーダーがそのタイプであったりして、困ることもあります。いわゆる2兆円の定額給付金も、ぶち上げたは良いが、実際にどうするのか、周囲はおおいに迷惑することとなってしまいましたね。

経営でも一般の仕事でも、スムーズに進めるには、どれだけ広い範囲で周囲に目を配ることができるかが成否のカギを握ります。本当に仕事がデキるとは、そのようなことだと思いますよ。

【今日の教訓】
あなたは仕事に取り組むにあたり、周囲へのインフルエンス(影響)をどれだけ考慮に入れ、事前に手を打っているだろうか。面倒なようでも、確実に成果を上げるには必要なことだ。それができないうちは、仕事がデキるつもりになってはいけない。

<参考:日本経済新聞 2008.12.24【13面】>
  
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2008年12月18日

マンションの査定を依頼するなら匿名がいい。

経営資源と言えば、ヒト・モノ・カネを意味しますが、4つ目として「情報」を付け加えることも多いですね。売れ筋商品は何か、これから何が流行するか、誰がどの商品を買いたがっているか等の情報は、非常に価値が高いです。

そのような情報を得るために、さまざまなマーケティング上の工夫が凝らされます。たとえば「誰がどの商品を買いたがっているか」を把握するためには、さまざまなオファーを提供します。

最も単純なものは「資料請求」でしょう。資料請求者は、明らかに対象商品に興味を抱いていて、資料と引き換えに個人情報を供出することになります。

個人情報を供出する側は、よほど無邪気でない限り、それが知られることで、売り込みをかけられることを心配します。そこで、資料請求のインセンティブとなる特典をプレゼントしたりします。

結局、「情報」を巡る「駆け引き」が行なわれるわけです。ですが、「駆け引き」により情報が流通しないとなると、売り手としてはデメリットです。情報流通の妨げは、ビジネス活性化の妨げにもなります。

12月18日付けの日経産業新聞に、「マンションを売却したい人がサイト経由で匿名で不動産会社に査定を依頼できる仕組み」についての記事が紹介されています。

「ネクストが運営する不動産サイト『ホームズ不動産売買』」で行なう「売却予定のマンションの査定仲介サービス」についてのことです。「匿名」なら、個人情報をむやみに供出しなくて済みます。


記事は、その点について、「売却する人は必要以上に個人情報を開示する必要がなく、不動産会社からの過剰な営業を避けられるメリットがある」と解説しています。

この仕組みでは、複数の不動産会社から、「買い取り査定額が提示される」ことになります。その中から最適と思われるものを選んだ段階で、はじめて「名前や連絡先などの個人情報を知らせ、売却の交渉をすることができる」わけです。

最終的には、個人情報を供出することとなりますが、本当に必要な状況になってからの話です。本来、それで十分なのだと思います。ムダに個人情報を集めても、管理にコストがかかるだけです。「過剰な営業」が迷惑だとすれば、売り手・買い手ともにメリットがあると言えるでしょう。

情報に価値があるからと言え、むやみやたらに個人情報を得ようとすることの弊害を感じさせられます。情報にも「質」の良し悪しがあります。良質な情報を得るために、フィルターを通過するのをじっくりと待つことも必要なのでしょう。

その「フィルターを通過」させるのに、最初の段階は「匿名」で自由にさせるのは、得策でしょう。情報供出が嫌われ、動きが活性化しなければ、何にもなりません。

記事によれば、この手のサイトで「最初に匿名で査定を依頼できるサービスは珍しい」そうです。冷やかしを避けるといった効果はあるでしょうが、「角を矯めて牛を殺す」ようではいけません。

そもそも、個人情報を巡る「駆け引き」があるというのは、互いの信頼関係の不足を示していると考えられます。その状態で、個人情報だけを入手しても、ビジネスとはなりにくいでしょう。

「まずは情報ありき」ではなく、まずは顧客に、その望むまま、自由に行動してもらうことが大切なのだと思います。ビジネスになるかどうかは、そこから先の話です。匿名でないがゆえに、実質的に門前払いしているとすれば、実にもったいないことですね。

【今日の教訓】
あなたの企業では、見込み客の個人情報を、どの段階で入手しているだろうか。あまりに早いうちに入手しようとして、彼らの足を遠のけているかも知れない。まずは彼らが自由に行動できる環境を整えよう。

<参考:日経産業新聞 2008.12.18【18面】>
  


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2008年12月17日

ありがたい!内定取り消し学生の就職を支援!

「他人のふんどし」をいかに使うか。それがビジネス成功の秘訣だったりしますね。自分一人では何もできません。だからこそ、「人脈」づくりの大切さが説かれたりするわけです。

※こちらも参考に → 『アライアンス仕事術』平野敦士カール先生

一方、「変化はチャンス」だとも言われます。急激に景況が悪化している昨今ですが、その分、新たなチャンスが生まれていると考えることもできます。

景況の悪化は、大学新卒者の採用内定取り消しの頻発といった形で現われてきているのが深刻です。他社を断って入社を決心した企業からこのような仕打ちを受けるとは、実に気の毒なことだと思います。

ですが、それもまた「変化」の一つととらえれば、新たなビジネスチャンスになるのかも知れません。

12月17日付けの日経MJ(流通新聞)に、「人材サービス会社のネオキャリアは内定取り消しを受けた来春卒業予定の学生を対象とした就職支援サービスを始めた」という記事が掲載されています。

内定取り消し問題への救済策として、注目できますね。「変化」をチャンスにする事例でもあります。興味深いのは、「通常の選考過程を経ずに、いきなり事実上の最終選考となる社長面接が受けられるようにする」という点です。

時間的な余裕がないということもあるでしょう。ですが、記事によれば、ネオキャリアは「一度内定を勝ち得た学生には優秀な人が多い」とみているそうです。その分、選考過程を省略できるわけですね。なるほどです。

面接に至るまでの選考作業も、コストのかかることです。それを既に他社がやってくれているわけですから、ちゃっかり「他人のふんどし」を利用しているようにも見えます。


もちろん、内定取り消しで途方に暮れている学生を救済する施策ですし、内定を取り消す企業の責任は重いですから、このケースを「ちゃっかり」扱いするのは申し訳ないかも知れません。

とは言え、この「ちゃっかり」方式を一般化すれば、何かと便利ではないでしょうか。たとえば、特定企業の内定通知をもらっていれば選考作業の一部を省略する、といったことができそうです。

自社が行なった選考作業の結果を、他社に「ちゃっかり」利用される企業は迷惑ですが、学生にとっては、時間と労力の節約になります。もちろん、時期的な問題はあるでしょうが、中小企業が新卒採用を狙う場合には、この方式を使っているケースもあるようです。

かつて、他社の割引カードを持参すれば、ガソリンを割引販売するというガソリンスタンドがあったと記憶しています。カードによる囲い込み策も、オセロゲームのように「一発逆転」されてしまうわけです。

先進的な製品を開発しても、後発の大手企業にマネをされ、結局はその大手企業が市場の大半を獲得してしまう、といったケースもよくありますね。製品アイデアという「他人のふんどし」を利用しているわけです。

じゃんけんで勝つには、「後出し」をすることでしょう。他社に先駆けようとする企業が多い中、「後出し」ならではのメリットがあるということにも、着目すべきだと思います。

企業間競争というと、「より早く」を目指しがちですが、差別化の観点からすれば、「後出し」の方が、むしろ有利なこともあります。多面的に考えることが必要なのです。

【今日の教訓】
あなたの企業では、どのような観点で他社と競争することを考えているだろうか。「より早く」という考え方もあるが、「後出し」という考え方もある。多面的に考えて、他社との比較競争優位性を確立しよう。

<参考:日経MJ(流通新聞) 2008.12.17【23面】>
  


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2008年12月10日

マンションがアウトレットで安く買えます!

一時期、中国のネットショッピング事情を調べてみたことがあります。「価格はお問い合わせください」というスタイルが多くて、驚きました。聞くところによると、連絡手段はメールよりもチャットの方が普及しているのだそうです。

価格をサイトで公開しないのは、他社との競争を意識してのこと。問い合わせをチャットで行なえば、それほど面倒はないのかも知れません。

「正札販売」に慣れている日本人と、店先での値引き交渉が一般的な中国人との購買習慣の違いでしょうか。ネットショッピングでも、中国スタイルというものがあるようです。

とは言え、価格をネット上で公開するリスクについては、かねてから指摘されてきています。結局、最も安く販売する業者が一人勝ちするのではないか、とか。

一方、ネットで買い物をする人は短気なので、価格をじっくり比較検討することはしない、という説もあります。ですが、価格比較サイトを使えば、短気な人でも、最安値を知ることは容易です。

12月10日付けの日経産業新聞に、「不動産紹介サイト運営のファーストロジックは自社サイトで、値引き販売などをしている『アウトレット物件』の取り扱いを開始した」という記事が掲載されています。

このサイト「住宅の楽待」では、「希望者のみに値引き情報などを告知できるため、正規価格で購入した顧客などからのクレームを防げるという」とのこと。ネットで商品を販売するからといって、常に万人に価格を公開する必要はないわけですね。


具体的には、「住宅の楽待」に「会員登録し、購入したい不動産の価格や立地などを入力」しておきます。すると、不動産会社から、価格を含め、物件を紹介するメールが届きます。メールでのやりとりですので、価格は購入希望者以外に知られることはありません。

記事によれば、「不動産会社が販売在庫を抱える事例が増えており、在庫処理を急ぎたい企業の需要が見込めると判断した」そうです。価格公開は、既購入者からのクレームを招くため、告知したくてもできなかったとのこと。不動産会社のそういった悩みを解決してくれる取り組みですね。

実際、この取り組みへの反響は非常に大きかったようで、ファーストロジック社の社長ブログによれば「相当なアクセスと問い合せがありまして、社内は大騒ぎでした」とか。

経済の原則からみて、需給状況により、価格を柔軟に対応させるというのは、適切なやり方だと思います。「早割」や「直前割引」といった取り組みは、他の業界でもしばしばみられます。

また、リピーター限定の特別オファーの提供といったことも、既にネットショップでは、よく行なわれています。要は、柔軟に対応できる「仕組み」をつくれるかどうかということでしょう。結構、面倒ですからね。

この対応の本質は、顧客・見込み客をセグメントしてアプローチすることです。その「仕組み」がつくれればよい、ということになります。たとえば優良顧客を「えこひいき」することは、ビジネスの論理では、常識です。

アウトレット物件を安値で買う顧客は「優良顧客」とは言い難く、正規価格での購入客にすれば「不公平」ではあるのですが、「セグメントされた特定顧客」であることに変わりはありません。

ネット販売=価格の全世界への公開、ということではないんですね。セグメントしてアプローチする仕組みを作ることで、収益を最大化する価格ポートフォリオを自由に構築できるはずですから、自社でも検討してみたいところです。

あなたの企業では、価格を硬直化させてしまうことで、みすみす収益機会を逃してはいないでしょうか? 顧客・見込み客をセグメントすることで、取りこぼしなく、クレームなしに、収益を拡大できるはずです。早速、その仕組みづくりを検討しましょう。

<日経産業新聞 2008.12.10【15面】>
  


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2008年12月03日

家計簿をつけるのって、面倒ですよね。


ビジネスをする以上、顧客とは長く付き合いたいものです。新規顧客獲得のコストは高くつきます。「生涯顧客価値」の観点で、なるべく長く囲い込んでおきたいですよね。

でもそれは、売り手側の一方的な片思いでしかありません。顧客の方から、売り手と長く付き合いたい、と思ってもらえるように仕向けることが必要です。

そのためには、ブランドに対する肯定的なイメージを浸透させ、ロイヤリティを高めるのが正攻法でしょう。そこまで行かないのなら、「長く付き合わざるを得ない」という状況くらいは作っておきたいところです。

12月3日付けの日経MJ(流通新聞)には、「小売店のPOS(販売時点情報管理)システムなどと連動した消費者向けの家計簿作成サービス」についての記事が掲載されています。

このサービスは、システム開発の「ビジコム」が始めたもので、「消費者が指定された店舗で買い物をすると、購入データがネット上の家計簿に反映される」というものです。

記事は「小売店はポイントも付与することができ、顧客の囲い込みにつながるという」と解説しています。ポイントはともかくとして、家計簿への入力が自動的にされるとすれば、便利なサービスだと思います。

家計簿を几帳面につけておきたいと思う人なら、このサービスを導入している店舗を選んで買い物をしようという気になり、「長く付き合わざるを得ない」状況が出現するのではないでしょうか。


もっとも、導入店舗数が増え、どこで買っても家計簿に記録されるとなると、囲い込み効果は薄れていきます。また、家計データを他人のサーバ上にUPしておくこと自体に不安を覚える人もいるでしょう。

とは言え、単純なポイントによる囲い込みと比較すれば、効果は高いと思われます。ポイントは結局、経済価値に換算できるので、他店がさらなる安売りでも打ち出せば、簡単に「包囲」は破られてしまうからです。

その点、個人の「記録」を扱う囲い込み策は強いですね。本人オリジナルのデータですから、他と交換することがききません。(もっとも、将来的には、ダウンロードしてエクスポートやインポートができるようになるかも知れませんが)

「記録」で囲い込む策としては、既にそのようなサービスがあるのかどうかは知らないのですが、たとえばボウリングのスコア履歴を記録しておき、上達状況を確認できたりするとよいでしょうね。

年に1度の健康診断なら、過去何年間かの数値と比較することは不可欠です。スポーツジムでも、トレーニング記録を蓄積していくことがモチベーションになります。

つまり、いわゆる「切り替えコスト」が高い状況をつくることが、顧客囲い込みになるわけです。その点、記録や履歴を保管することの有効性は高いと言えるでしょう。

履歴を管理するシステムは、情報技術の発達で構築しやすくなっています。社内で管理しているケースは多いでしょうが、顧客に公開し、活用してもらうことで、囲い込みを図ることを考えてもよいでしょう。

<参考:日経MJ(流通新聞) 2008.12.03【7面】>
  
タグ :家計簿


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2008年12月02日

「2015年問題」をご存じですか?

最近、週末起業フォーラムのイベントに、大学生の姿をちらほら見かけます。

一部の学生がベンチャーでの起業に関心を持つのは、昔から特に目新しいことではないのですが、「週末起業」とは別次元の話だと思っていました。ここに来て、大学生が週末起業フォーラムに来るようになったのは、どういうことなのでしょうか。

ベンチャー起業への関心に対する受け皿たる起業支援団体に勢いがないということなのでしょうか。あるいは、就職難から、起業という選択肢に学生が注目するようになったのでしょうか。

いずれにしろ、かつてとは異なる、何らかの要因があるのでしょう。何がどのように影響するか、起きてしまえばいろいろと推測ができますが、事前に予測するのは容易ではないですね。

「風が吹けば桶屋が儲かる」という言葉のように、物事は「玉突き」で変化していきます。桶屋なら儲かって喜べばよいのですが、他の業者には、何らかのしわ寄せが行っている可能性があります。

12月2日付けの日経産業新聞に、「景気低迷で逆風下にある住宅業界」と始まる記事が掲載されています。「近い将来、住宅業界がさらに直面するのが世帯数減少の問題だ」そうです。

野村総合研究所によれば、「新設着工戸数は総世帯数の相関関係が強い」とのことです。特に指摘されなくても、常識的に考えて、そうだろうなと思います。

そこで各社、「戦略の転換を迫られている」。記事は「住宅を新規に供給するより、ストックから派生するビジネスを重視。具体的的には中古住宅の売買や建て替え需要で収益を確保する戦略だ」そうです。


記事によれば、40年も前の1968年以降、「常に住宅戸数が世帯数を上回る状態が続」いていたにも関わらず、「新設着工戸数は増え」続けてきました。

もちろん、「より広く、より質の高い住宅」へとシフトしてきたわけですから、単純に「量」の問題としてのみ語るわけにはいかないでしょう。ですが、「世帯数は2015年には減少に転じる」となると、もう限界なのでしょう。

時代の流れがビジネスモデルの盛衰を左右するのは、住宅に限ったことではありません。出来る限り、時代の流れに振り回されないビジネスモデルを築きたい、と思う経営者も多いでしょう。

もしかしたら、うちは新築住宅ではなく、中古住宅や住宅派生ビジネスをやっていてよかった、と思うかも知れません。ですが、それは大きな間違いです。

というのは、住宅業界各社が、こぞって「中古住宅の売買」など、「ストックか派生するビジネス」へと進出してくるからです。隣で火事が起きたら、延焼から免れることはできません。

昨日の当ブログでは、「『すみ分け』は幻想だ」と述べました。住宅業界について言えば、新設も中古も派生ビジネスも、一見「すみ分け」ているようで、状況が変われば、その境はなくなってしまいます。

「玉突き」、「しわ寄せ」、「とばっちり」、「隣家の火災による延焼」等々、いろいろな表現ができるでしょうが、ビジネスでも同じことです。それを考えれば、ビジネスに「安全地帯」など、存在しないに等しいですね。

【今日の教訓】
あなたの企業のビジネスモデルは、時代の変化に対してどれだけの適合性を持っているだろうか。適合性が高いからと言って、安心はできない。適合性を失った他の企業が、そのビジネスに参入してくるかも知れないからだ。


<参考:日経産業新聞 2008.12.02【16面】>
  


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2008年12月01日

フツーの食料品をネットで買ったりしますか?

大学4年生の就職内定取り消しが相次いでいるそうですね。

ついこの間まで、就職戦線は「売り手市場」だと思っていたのですがが、あっという間に「氷河期」に入ってしまいました。

就職環境については、その時その時で変わるものですから、「今年はどうだろう?」と、常に考えておく必要があるでしょう。同様に、他の分野でも、時代の流れでどんどん変わっていくものです。

私がメルマガ「経営戦略考」を創刊したのは1999年。中小企業の経営者なんて、インターネットなんてやっていないよ。よく、そう言われたりしたものです。もちろん、現在はそのようなことはありません。

ネットショップをやるなら、どこのスーパーでも買えるようなものではダメ。これもまた、今は真実とは言えなくなってきているようです。固定観念にとらわれていると、時代に取り残されてしまうから、恐ろしいです。

12月1日付けの日経MJ(流通新聞)に、「ネット通販で普段の食品」というタイトルの記事が掲載されています。1面ですから、非常に大きな扱いです。

記事は「インターネット通販大手の楽天やアマゾンジャパンが生鮮や加工商品など普段づかいの食品のネット販売に本格参入する」と解説しています。

「普段づかいの食品」という表現から、それらが従来は、ネット販売に適してないと考えられていた商品だという言外の意味を汲み取ることができるでしょう。


背景として、「ネット通販各社が普段づかいの商品の取り込みに進出するのは、市場拡大の勢いが陰りつつあり、新しい客を必要としているからだ」ということがあります。

既に「ネットスーパー」はいくつも誕生していて、記事には「大手スーパーが相次ぎネットスーパー事業を強化している」「ヨーカ堂のネットスーパーは絶好調」といった言葉がみられます。

「どこのスーパーでも買えるようなもの」が、ネットで売られるようになっているわけです。配送が迅速であることや、配送料の安さといった点が、差別化ポイントになるのでしょう。アマゾンの場合、書籍と同様、「1500円から送料無料」というのが、大きな強みです。

ネットで買う商品、リアル店舗で買う商品、といった「すみ分け」は、もうなくなってしまうのでしょう。「靴」のように試着が不可欠と思われるような商品でも、返品時も含め、送料無料といったサービスが登場し、ネットでの購入がしやすくなっています。

一見、強力な競合が存在しても、「すみ分け」により共存しているケースは、しばしばみられます。しかしそれは、あくまでも一定の時点でそうなっているわけで、未来永劫そのままだという保証はありません。

特に一方が、成長拡大に貪欲な場合、その「すみ分け」は必ず崩される運命にあります。現時点で「すみ分け」ているからといって、決して安心してはいけません。

逆に、攻める立場にあるのなら、「すみ分け」説に束縛される必要もありません。今回の記事は、「普段づかい消費の獲得は一段の成長を目指すには不可欠だ」としています。

「守り」と「攻め」のどちらの視点から見ても、「すみ分け」は一時的な紳士協定に過ぎず、ある意味、幻想なのです。そのくらいに思っていて、ちょうどよいのではないでしょうか。

【今日の教訓】
もしあなたの企業の事業が競合他社と「すみ分け」しているとしたら、いつでもそれが崩れるであろうことを覚悟しておく必要がある。「守り」「攻め」の両方の視点で、「すみ分け」を見直してみよう。

<参考:日経MJ(流通新聞) 2008.12.01【1面】>  


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2008年11月27日

最近のローティーン向け雑誌、読んだことあります?


某国の総理大臣とは違い、マンガ雑誌を買って読むことは、ほと
んどありません。ですが、「ワンピース」の単行本なら、結構、読
んでいたりします。なんせ、子供が買ってきて、リビングにほっぽ
らかしにしているものですから・・。

しばらく読み続けていくと、どうしても続きが気になってきますね。
子供が新刊や連載雑誌を買ってくるのが待ち遠しい。「早く買って
来い!」なんて命令したりして(^^;)。大人げないですね。

いずれにしろ、子供のための買い物という口実で、実は大人が欲し
くて買う商品は多いのではないでしょうか? 昨今は、大人と子供
の区別は、厳しく分かれなくなったですし。

27日付けの日経産業新聞に、新潮社が発行する雑誌「nicola(ニコ
ラ)」に関する記事が掲載されています。いわゆる「ローティーン
(小学生高学年から中学生)」向けの雑誌で、この分野では「発行
部数20万部とトップの地位を占める」そうです。

この「ニコラ」の別冊として「ニコ☆プチ」という雑誌が発刊され
ています。この狙いは「小学生を低学年からカバーする」ことで、
おしゃれな女の子の低年齢化に対応したものです。

興味深いのは、「ニコラ」が1部450円であるのに対し、「ニコ☆
プチ」が1部500円という点です。「格下」にも関わらず、「ニコ
☆プチ」の方が高いとは、どういうことでしょうか?

その理由について、記事は「購入者がニコラは子ども自身なのに対
し、ニコ☆プチは主に母親という違いがあること」だと説明してい
ます。親が子供に、単純に買い与えているだけでなく、親もまた雑
誌の内容を楽しんでいる面もあるようですね。


市場規模を考える場合、ターゲット顧客層の購買力を推定してみま
す。小学生と中学生を比べれば、年長の中学生の方が、多くの小遣
いをもらっており、購買力が高いでしょう。

しかし、親が関与するとなると、話は別だ。小学生・中学生は、商
品のエンドユーザであっても、「顧客」とは限りません。「顧客」
とは、購買意思決定をし、実際にお金を払う存在のことを指します。

ですので、エンドユーザの購買力が低い場合は、実際にお金を出す
別の存在に着目し、それに対して訴求する必要があります。子供向
けの商品なら、親がそれにあたります。

それ以外では、ギフト用に購入される商品も、そうですね。また、
行政がお金を出す事業もそうですし、医療についても、すべてを患
者が負担するわけではないという点では、同じです。

「ニコ☆プチ」の場合、親は雑誌を買うだけにとどまりません。誌
内には「8割が百貨店に並ぶような高価格帯商品」が掲載されてい
て、それらを「母親が自分の趣味も加味して買い与える」のだそう
です。

考えてみれば、子供向けの商品に関しては、子供向け雑誌から情報
収集するのが一番だという気もします。「ニコ☆プチ」は、自分の
子供に買い与える商品のカタログとして機能しているようです。い
ずれにしろ、親子ともども「ニコ☆プチ」を楽しんでいるわけです
ね。

このような「親子消費」について、記事は「家具」「ネイルサロ
ン」「ダンススクール」でも同様なことが起きていると紹介してい
ます。「今や小学生は一番小さな富裕層」なんですって!

「小学生向け」商品であっても、実質的な顧客は親です。いろいろ
な場面でお金を使いますが、たまたま子供関連の支出の一環として、
「ニコ☆プチ」や、それに掲載される商品が購入されるだけなので
すね。

<参考:日経産業新聞 2008.11.27【4面】>
  


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2008年11月26日

先行指標がわかると、経営が楽になります


戦略発想とは、つまるところ、いかに将来を予測するかにかかって
いますね。将来を予測し、それに先取りして対応することができれ
ば、企業として成長発展を実現できるでしょう。

世の中の時流を予測することはもちろんのこと、それ以外にも予測
すべき事柄はたくさんあります。

たとえば戦略アイデアを発想したのなら、自社がそれに取り組んだ
場合、何が起こるかを予測しなければなりません。

ヒト・モノ・カネといった経営資源が不足するかも知れません。そ
うなれば、せっかくのアイデアも「絵に描いた餅」になってしまい
ます。また、ライバルの動きも予測することも必要ですね。

最も重要な予測は、当然のことながら、商品が売れるかどうか、買っ
てもらえるかどうかでしょう。でも、相手のあることだから、予測
は必ずしも容易ではありません。

その予測が簡単にできるのなら、商品の開発は格段にやりやすくな
るでしょう。また、売上予測に応じて、過不足のない、適切な生産
・販売体制を構築することもできます。

26日付けの日経産業新聞に、佐川急便による「宅配便の送り主の発
送にかかる手間を軽減できるよう工夫したシステム」
が紹介されて
います。このシステムを使うと、「あて名作成から顧客管理まで一
括して対応できる」そうです。

送り主の利便性が高まるわけですが、「顧客は送り状の作製時に荷
物の情報を佐川に送信するため、事前に貨物量を把握しやすくなる」
という点に、興味をひかれました。


このシステムの利用者は、「あて名や利用する宅配便の種類などを
画面上で指定していくだけであて名状を作成できる」。このデータ
が、佐川急便に送信されます。

従来なら、手書きであて名状を作成し、集荷を依頼し、それが営業
所等に持ち帰られ、送り先の地域別に仕分けされるのだと思います。
どのタイミングでデータが入力されるのかは知りませんが、この新
システムを利用すれば、少なくとも何時間か早く、データが入力さ
れることになるでしょう。

翌日配送が基本だとすれば、その数時間の差は大きいですね。その
分、「貨物の輸送管理や需要予測」がやりやすくなります。いち早
く、精度の高い予測ができることの、大きなメリットですね。

予測をする場合、先行指標を把握しておくことが、精度を高めるこ
とにつながります。送り先のデータが入力されれば、その後、集荷
依頼が来ることは、容易に確度の高い予測ができるでしょう。

ポイントは、実需からどれだけ時間をさかのぼって情報を得ること
ができるかでしょう。佐川のこの取り組みでは、集荷以前にさかの
ぼることを狙っているわけです。

実需に先立って時間をさかのぼるために、一般的には「先行指標」
を押さえることがされます。これもまた、需要予測にあたっては有
効です。たとえばネットのレストラン予約サイトでは、アクセスが
急増した場合、一定の日数後に予約が増えることが確認されている
そうです。

「先行指標」を押さえていなければ、急に予約が増えてあたふたす
るといったことになるでしょう。しかしそれを押さえていれば、サ
イトのアクセス数から考えて、事前に対策を打っておくことができ
るはずです。

予測ができれば、対策を打つことができるのだ。「先行指標」をみ
つけ、それを押さえようとする意図は、まさにそこにあります。外
部の指標をみつけるのもよいが、佐川急便のように、自らその仕組
みを作ることもできるのでしょうね。

<参考:日経産業新聞 2008.11.26【7面】>

  


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2008年11月25日

「カップめん」って、指名買いしますか?

顧客を獲得するためには、他社との差別化が必要ですね。

その際、何をどのように差別化したらよいのか、よく考えなければ
なりません。買い手にピンと来るようなものでなければ、意味がな
いですからね。

では、「買い手にピンと来る」とは、どのようなことでしょうか?

それを知るには、買い手の心理をよく理解しておく必要があるでしょ
う。いくら差別化をしても、独りよがりの自己満足では困ります。

とは言え現実には、買い手の心理を本当にわかっているか、怪しい
ものです。ですのでやはり彼らの「生の声」に、しっかりと耳を傾
けたいところです。

11月25日付けの日経産業新聞に、「凸版印刷は、家電や食品、日用
品など54品目の購買状況調査をまとめた」という記事が掲載されて
います。どのような商品が「指名買い」されているかを調査したも
のです。

記事によれば、「消費者が来店前に特定の銘柄を決めて買う『指名
買い』が最も多いのは『ファンデーション・化粧品』で55%、一方、
『カップめん』が7%と最も低く、店頭でとっさに銘柄を選んで買
う傾向が強いことがわかった」とのことです。

記事のタイトルには、その調査結果について「・・消費者調査で判
明」という表現が使われています。「判明」というからには、それ
が今まではよくわからなかったということなのでしょう。

化粧品はともかく、「カップめん」については、テレビで盛んにC
Mを流しているのですが、それが指名買いにつながっていないとい
うのは、少し意外な気もします。

もっとも、店頭で商品を見て、CMを思い出して購買に至る、とい
うことは、あるのかも知れません。いずれにしろ、買い手の心理に
ついては、掘り下げていくと、いろいろなことが「判明」しそうで
興味深いものです。

「指名買い」されやすいかどうかで、商品のマーケティングも変わっ
てきます。だからこそ、このような調査には価値があり、日経の記
事にもなるわけです。

凸版印刷が「消費行動研究室」を持っているということは、寡聞に
して知らなかったのですが、サイトでの説明によると、「凸版印刷
が様々なクライアント企業のマーケティングサポート活動を行う際
に、消費者のニーズを的確にとらえることによって、より効果的で
有効な企画提案が行えるようになることを目指し1968年設立されま
した」とあります。

説明に納得しつつ、印刷会社が調査を行ない、その結果を公表する
ことについて、考えてみました。その視点で今回の記事を眺めると、
凸版印刷の意図が見えてきます。

つまり、「店頭でとっさに銘柄を選んで買う傾向が強い」商品は、
パッケージが重要だということを言いたいのでしょう。凸版印刷に
も当然、パッケージ部門があり、その調査結果は、営業上、非常に重
要なデータだと思われます。

でも、本来なら、カップラーメンに関する調査は、カップラーメン
のメーカーが実施してしかるべきではないでしょうか?

しかし現実には、今回の調査の「54品目」のように、他商品との比
較で調査しないと、本当のところはわかりにくいです。

その点、このような調査は、パッケージメーカーという凸版印刷な
らではのポジションを活かしたものだと言えます。特定品目にこだ
わることなく、比較調査を行なうことができるからです。

特定企業の商品が良いか悪いか、単純に尋ねられるよりも、他の商
品と比較しての評価を求められた方が、回答はしやすいです。絶対
評価ではない相対評価で考えることこそ、差別化の本質でもありま
す。

いわゆる「比較サイト」に人気があるのも、商品を選びやすくして
くれる価値があるからですね。何かの調査をする際も、比較するこ
とで、回答を選びやすくなります。調査をする際の、ちょっとした
コツですね。

戦略を決定する際も、選択肢から選ぶのが常識で、やっぱり、比較
して選ぶ、というのが意思決定の原則なのですね。

<参考:日経産業新聞 2008.11.25【4面】>
  


Posted by HANK@森 at 19:04Comments(0)ビジネス

2008年11月22日

ピーターの法則

ご存じでしょうか?

組織の中のあるポジションでは有能な人が、出世してその上のポジションに就くと、能力が追いつかず、無能になってしまう、というものです。

有能であれば、さらに上のポジションに出世しますが、無能ですと、そのポジションにとどまります。

かくして組織の中のポジションは、すべて無能な人で満たされてしまう。

とかいった法則です。

毎回、期待されて総理に就任した人たちは、まさにピーターの法則が働いているように思います。

ポジションの上昇に比例して、能力も上昇すれば問題はないのですが、分不相応に出世すると、悲劇ですね。マンガばっかり読んでないで、勉強しろよ!ってことでしょうかね。

ですので、昇進させる場合は、「現在のポジションで有能」だからではなく、「上のポジションをこなせる能力が十分にあるから」ということでなくてはなりませんね。

人材育成のツボですよね。また、自分自身の能力開発を考える上では、常に一つ上のポジションを意識しておくことが必要ですね。
  


Posted by HANK@森 at 17:38Comments(0)ビジネス

2008年11月22日

周囲を安心させる

わが社のメイン事業は、各種教育講座の企画・運営です。

それぞれ日時が決まっているわけですから、それを守ることは「生命線」です。遅刻などはもってのほかですし、講師がそれをすっぽかす、なんてことは、あってはなりません。

幸い、今までの経験ですと、講師が開始時間に間に合わなかったり、何らかの理由で来場しなかった、なんてことはありませんでした。

ですが、講師が来場予定時刻になっても現れずヒヤヒヤしたという経験は、少なからずあります。もっとも、ベテランの講師、特に定期的に講師を依頼している方については、開始時間に間に合わないとうことはないだろうと、しっかりと信頼をしています。ですが、仕事への取り組み姿勢としては、いかがなものかと感じずにはいられません。

講座の開始に間に合うか、間に合わないか、ということが問題の本質ではないです。お客様はもちろんのこと、一緒に仕事をしている仲間を「不安」にさせることを、平気で行なう神経が、問題なのです。

わが社には「アンテレクト憲章」というものがあります。ミッションステートメントと行動規範をコンパクトに整理したもので、毎朝の朝礼で唱和しています。その中に、「お客さまが安心して学び・・」という一節があります。「不安」の反対が「安心」。私たちの一挙手一投足が、お客様や周囲の人たちを「安心」させもしますし、「不安」にさせもします。

お客様について言えば、メールへの返信を迅速に行なうとか、ご入金いただいた際に確認メールを送るといった基本的なことを含め、いかに「安心」していただけるかに心を砕きたいものです。

自分が行なうこの動作、あるいは「行なわない」この動作は、お客様や周囲の人々を「安心」させるだろうか、それとも「不安」にさせるだろうか。よく考えてみる必要がありますね。
  


Posted by HANK@森 at 11:59Comments(0)ビジネス