【残念なお知らせ】諸般の事情により、クォーター大阪暮らしは2009年11月末をもって終了することとなりました。これまでのご愛顧に心より感謝申し上げます。今後はこちらのブログで記事を提供してまいります。よろしくお願いします。
2009年02月23日
ニトリ快進撃の秘密とは?
不況の直撃を受けた企業が何とか生き残りを図るには、どうすることが必要でしょうか。多くの企業では、固定費を削減し、損益分岐点を引き下げることを考えます。
そのようなことは、今まで何度も行なわれてきました。具体的には、人員削減や工場の閉鎖といった取り組みです。やむを得ないことではありますが、それによるダメージもまた、取り沙汰されます。
固定費は、決して「必要悪」なのではありません。収益を稼ぐエンジンのようなものです。エンジンを小さくしてしまえば、当然、収益力などの「出力」が衰えます。それがダメージとなります。
とは言え、エンジンの「燃費」が悪ければ、やはりこのエンジンではマズいということになります。その判断が難しいところですが、それが経営というものでしょう。
2月23日付けの日経MJ(流通新聞)に、ニトリの記事が掲載されています。記事によれば、「2009年2月期に22期連続の増収増益を見込む」という優良企業です。
この会社の経営の特徴について、記事は「商品数の7割を独自で企画し、景気に応じて値段を自在にコントロールできる経営は不況期ほど力を発揮する」と解説しています。
また、ニトリ自身は自社を「SPA(製造小売り)でなく製造物流小売業」と定義しています。これは、「商品の企画、製造、販売はもちろん、物流や検査まですべての業務を自前で賄う超SPAを意味している」のだそうです。
「値段を自在にコントロールできる」のは、すべての業務を自社で行なうことで、自助努力によるコスト管理ができるからです。また、どこで利益を稼ぐか(稼がないのか)、柔軟に決めることもできるでしょう。
ならば、どの企業もこの仕組みをにすればよいはずですが、そういう訳にもいきません。このやり方では、固定費が膨れ上がり、とても耐えられないからです。
多くのアウトソーシングビジネスが成り立つのは、自社でやるよりも、外注した方が安上がりで品質も確保できると、考える企業が多いからです。
そのため、業務の特定部分に「選択と集中」をし、「持たざる経営」で成功している企業が注目されることもあります。二トリと比較すれば、全くの両極端となりますが、どちらも成功できるというのが興味深いです。
記事によると、二トリの「憲法」は、(1)安さ (2)安さ (3)安さ であり、(4)が「適正な品質」となります。固定費を使いながらも、コスト削減の努力は半端でなく、「燃費」の向上への追求には、すさまじいものがあります。
経営者の重要な仕事は、資源の配分を決めることですが、配分さえすれば、自然と結果が出てくるというわけではありません。エンジンを大きくしたら、運転時には、燃費をコントロールした上で、最大限の出力を生むようなマネジメントが必要です。
その方向性が「憲法」で示され、ニトリの社長は、そのための徹底的な議論を尽くします。そうでなくては、この仕組みは成り立ちにくいでしょう。その分、他社はなかなかマネができません。
記事は「国内では今のところ死角はない。不況は長引きそうで、逆風は二トリの成長をさらに押し上げそうだ」としています。マネできないのも当然で、固定費をカットするという、通常の不況対策とは逆を行っているからなのです。
【今日の教訓】
あなたの企業では、不況対策として固定費の削減を考えているのではないだろうか。しかしその前に、固定費の「燃費」を改善し、最大限の出力を得るための最大限の努力をしただろうか。固定費というエンジンを、いかにうまく運転するかが、経営の技術だ。
<参考:日経MJ(流通新聞) 2009.02.23【1面】>
そのようなことは、今まで何度も行なわれてきました。具体的には、人員削減や工場の閉鎖といった取り組みです。やむを得ないことではありますが、それによるダメージもまた、取り沙汰されます。
固定費は、決して「必要悪」なのではありません。収益を稼ぐエンジンのようなものです。エンジンを小さくしてしまえば、当然、収益力などの「出力」が衰えます。それがダメージとなります。
とは言え、エンジンの「燃費」が悪ければ、やはりこのエンジンではマズいということになります。その判断が難しいところですが、それが経営というものでしょう。
2月23日付けの日経MJ(流通新聞)に、ニトリの記事が掲載されています。記事によれば、「2009年2月期に22期連続の増収増益を見込む」という優良企業です。
この会社の経営の特徴について、記事は「商品数の7割を独自で企画し、景気に応じて値段を自在にコントロールできる経営は不況期ほど力を発揮する」と解説しています。
また、ニトリ自身は自社を「SPA(製造小売り)でなく製造物流小売業」と定義しています。これは、「商品の企画、製造、販売はもちろん、物流や検査まですべての業務を自前で賄う超SPAを意味している」のだそうです。
「値段を自在にコントロールできる」のは、すべての業務を自社で行なうことで、自助努力によるコスト管理ができるからです。また、どこで利益を稼ぐか(稼がないのか)、柔軟に決めることもできるでしょう。
ならば、どの企業もこの仕組みをにすればよいはずですが、そういう訳にもいきません。このやり方では、固定費が膨れ上がり、とても耐えられないからです。
多くのアウトソーシングビジネスが成り立つのは、自社でやるよりも、外注した方が安上がりで品質も確保できると、考える企業が多いからです。
そのため、業務の特定部分に「選択と集中」をし、「持たざる経営」で成功している企業が注目されることもあります。二トリと比較すれば、全くの両極端となりますが、どちらも成功できるというのが興味深いです。
記事によると、二トリの「憲法」は、(1)安さ (2)安さ (3)安さ であり、(4)が「適正な品質」となります。固定費を使いながらも、コスト削減の努力は半端でなく、「燃費」の向上への追求には、すさまじいものがあります。
経営者の重要な仕事は、資源の配分を決めることですが、配分さえすれば、自然と結果が出てくるというわけではありません。エンジンを大きくしたら、運転時には、燃費をコントロールした上で、最大限の出力を生むようなマネジメントが必要です。
その方向性が「憲法」で示され、ニトリの社長は、そのための徹底的な議論を尽くします。そうでなくては、この仕組みは成り立ちにくいでしょう。その分、他社はなかなかマネができません。
記事は「国内では今のところ死角はない。不況は長引きそうで、逆風は二トリの成長をさらに押し上げそうだ」としています。マネできないのも当然で、固定費をカットするという、通常の不況対策とは逆を行っているからなのです。
【今日の教訓】
あなたの企業では、不況対策として固定費の削減を考えているのではないだろうか。しかしその前に、固定費の「燃費」を改善し、最大限の出力を得るための最大限の努力をしただろうか。固定費というエンジンを、いかにうまく運転するかが、経営の技術だ。
<参考:日経MJ(流通新聞) 2009.02.23【1面】>
タグ :ニトリ
2009年02月20日
『コンサルタントの八つのスキル』DVD
『コンサルタントの八つのスキル』DVD
不況、不況と騒がれて久しい昨今です。連日、ニュースでは雇用問題が取り上げられています。
「大企業にいるから安心」という時代は、本当に終焉を迎えたことを、誰しもが実感しているのではないでしょうか。
自分の身に、いつ、何が起こるかわからないこんな状況です。
会社に貢献するため、一生懸命に働いても、守ってもらえる保証はどこにもありません。
これからは、やはり“自分の力で稼げる”ことが、絶対的に重要になってきます。
一口に「稼ぐ」といっても様々なやり方があります。
店を構えてモノを売ることも、イベントを開催して参加費を集めることも、すべて“稼ぐ”ということです。
が、これまでの仕事で培った経験・知識を活かせて、しかも最短でスタートできる手段が、「コンサルタント」です。
例えば、
・元手がいらない
・自己充足度が高い
・単価が高くて効率がよい
・即オンリーワン
・資格がいらない
・実務で経験を生かせる
・・・など、“自立”して“自分の力で稼ぐ”ことを考えた時、コンサルタントという職業は魅力がいっぱいです。
実際、「週末起業フォーラム」代表の藤井も、スタートはコンサルタントでした。
週末起業家として活動している人(もちろん独立した人も含め)にも、コンサルタントとしてお金を稼いでいる人は多いのです。
もし、あなたが、
「自立の必要性は感じているが、何をやったらいいのか・・・」
と不安や迷いを感じているなら、ぜひコンサルタントに目を向けてみてください。
あなたという唯一無二のリソースをフル活用できる、魅力溢れる職業です。
とは言え、すぐに「じゃあコンサルタントになるか」という訳にはいかないと思います。
お客様は、あなたに期待してお金を払ってくれるのです。右も左もわからないままではいけません。まずは基本を押さえる必要があります。
そこで、今回、コンサルタントとして必須の基本スキルを紹介する、
『コンサルタントの八つのスキル』DVD
をご用意しました!
※サラリーマン応援企画!『コンサルタントの八つのスキル』DVD
詳細(サンプルあり)&お買い求め
→ http://www.shumatsu.net/consulyosei_dvd.html
今回は、【サラリーマン応援企画】です。本当に、ぎりぎりまで価格を抑えました。
そのため、装丁は必要最低限です。その点はご理解ください。また、収録時間が通常の弊社DVDより短くなっています。
しかし、内容は保証します!
昨年秋に、一流コンサルタントが集結して開催されたイベント、『コンサルタント頭即成講座』での当メルマガ発行者・森英樹の講演を、DVDに収録したものです。
コンサルタントになるための必須スキルを、コンサルタント歴20年の森が懇切丁寧に教えます。
自力で生き抜いていく力を培うための第一歩として、ぜひ、聴いていただきたい内容です。
商品の詳細、お申込は以下からお願いします。
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自分の身に、いつ、何が起こるかわからないこんな状況です。
会社に貢献するため、一生懸命に働いても、守ってもらえる保証はどこにもありません。
これからは、やはり“自分の力で稼げる”ことが、絶対的に重要になってきます。
一口に「稼ぐ」といっても様々なやり方があります。
店を構えてモノを売ることも、イベントを開催して参加費を集めることも、すべて“稼ぐ”ということです。
が、これまでの仕事で培った経験・知識を活かせて、しかも最短でスタートできる手段が、「コンサルタント」です。
例えば、
・元手がいらない
・自己充足度が高い
・単価が高くて効率がよい
・即オンリーワン
・資格がいらない
・実務で経験を生かせる
・・・など、“自立”して“自分の力で稼ぐ”ことを考えた時、コンサルタントという職業は魅力がいっぱいです。
実際、「週末起業フォーラム」代表の藤井も、スタートはコンサルタントでした。
週末起業家として活動している人(もちろん独立した人も含め)にも、コンサルタントとしてお金を稼いでいる人は多いのです。
もし、あなたが、
「自立の必要性は感じているが、何をやったらいいのか・・・」
と不安や迷いを感じているなら、ぜひコンサルタントに目を向けてみてください。
あなたという唯一無二のリソースをフル活用できる、魅力溢れる職業です。
とは言え、すぐに「じゃあコンサルタントになるか」という訳にはいかないと思います。
お客様は、あなたに期待してお金を払ってくれるのです。右も左もわからないままではいけません。まずは基本を押さえる必要があります。
そこで、今回、コンサルタントとして必須の基本スキルを紹介する、
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今回は、【サラリーマン応援企画】です。本当に、ぎりぎりまで価格を抑えました。
そのため、装丁は必要最低限です。その点はご理解ください。また、収録時間が通常の弊社DVDより短くなっています。
しかし、内容は保証します!
昨年秋に、一流コンサルタントが集結して開催されたイベント、『コンサルタント頭即成講座』での当メルマガ発行者・森英樹の講演を、DVDに収録したものです。
コンサルタントになるための必須スキルを、コンサルタント歴20年の森が懇切丁寧に教えます。
自力で生き抜いていく力を培うための第一歩として、ぜひ、聴いていただきたい内容です。
商品の詳細、お申込は以下からお願いします。
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タグ :コンサルタント
2009年02月12日
仕事では、一人で何役やってますか?
中小企業では、一人の社員が何役もの仕事をこなさなくてはならないことがよくあります。業務の絶対量が少ないので、それぞれの仕事に専任担当者を割り当てるわけにはいかないからです。
多様な仕事に取り組めることは、中小企業で働く利点だとも言えるでしょう。あれもこれもと仕事をやらされることで、不満を漏らす社員もいるようですが、そのような人は、中小企業には向かないと思います。
2月12日付けの日経産業新聞に、「神奈川県箱根町で8つの温泉旅館・ホテルを運営する一の湯」に関する記事が掲載されています。1630年創業の老舗企業ですが、「低価格の温泉旅館・リゾートホテル」を目指してチェーン展開に積極的です。
この「一の湯」は、「製造業に比べて生産性が劣っているとされるサービス業でありながら、この20年で労働生産性(従業員一人あたりの粗利益)を4倍弱に引き上げた」そうです。
その要因は、「業界の慣習にとらわれずに、サービスの提供の仕方や働き方に独自の工夫」をしていることにあります。たとえば「一人最低でも三役をこなす」のだそうです。
具体的には、受付係が「食事の時間帯には調理や配膳を担当する」といったことまで行ないます。業界の慣習に反するやり方で、「反発してやめる人は少なくなかった」そうだが、残業代を一分単位ですべて支払うなどの施策で、理解を得ることに成功しました。
製造業なら、一人で複数の工程をこなせるようにする「多能工化」への取り組みは一般的です。一人の受け持ち範囲を拡大するのは、「セル生産方式」にも通じるやり方です。
フロントと調理室を同じフロアにしたり、裏口から行き来できるように隣り合わせに配置するなど、「旅館内部のレイアウトにもこだわる」。これも、製造業の工場レイアウトの工夫に通じます。
「箱根に集中展開していることも生産性向上に貢献している」そうです。互いに従業員を行き来させられるからです。これは、小売業のドミナント戦略に相当しますね。
お茶やビールはセルフサービスです。「客室の冷蔵庫を空にして廊下に自動販売機を設置する方式」にもしており、これはビジネスホテルでみられるやり方です。
これらの施策は、意識して「人時生産性」を向上させようとして編み出されたものなのだそうです。あるセミナーで、他社と比較した自社の生産性の低さに、小川晴也社長がショックを受けたことから、取り組みが始まりました。
上述した施策からわかりますが、いずれも他の業界のやり方を自社に上手に採り入れています。他業界から学ぶのですから、業界の慣習にとらわれることもありません。
「製造業に比べて生産性が劣っているとされる」状況にあり、それを「当たり前」と考えず、ならば製造業のやり方をマネしてやろうと言わんばかりの取り組みをしているわけです。
生産性を劇的に向上させるなど、今さら新たなアイデアなど、出しにくいと思うかも知れません。しかしヒントは、他業界からみつけることができます。業界が違うからと、見向きもしないようではいけませんね。
【今日の教訓】
あなたの企業では、自社の生産性を劇的に向上させるために、どのような施策を打つことを考えているだろうか。アイデアは出尽くしたと思うなら、他業界に目を向けてみることだ。業界の慣習にとらわれなければ、実行できるアイデアがいくつもみつかるはずだ。
<参考:日経産業新聞 2009.02.12【18面】>
多様な仕事に取り組めることは、中小企業で働く利点だとも言えるでしょう。あれもこれもと仕事をやらされることで、不満を漏らす社員もいるようですが、そのような人は、中小企業には向かないと思います。
2月12日付けの日経産業新聞に、「神奈川県箱根町で8つの温泉旅館・ホテルを運営する一の湯」に関する記事が掲載されています。1630年創業の老舗企業ですが、「低価格の温泉旅館・リゾートホテル」を目指してチェーン展開に積極的です。
この「一の湯」は、「製造業に比べて生産性が劣っているとされるサービス業でありながら、この20年で労働生産性(従業員一人あたりの粗利益)を4倍弱に引き上げた」そうです。
その要因は、「業界の慣習にとらわれずに、サービスの提供の仕方や働き方に独自の工夫」をしていることにあります。たとえば「一人最低でも三役をこなす」のだそうです。
具体的には、受付係が「食事の時間帯には調理や配膳を担当する」といったことまで行ないます。業界の慣習に反するやり方で、「反発してやめる人は少なくなかった」そうだが、残業代を一分単位ですべて支払うなどの施策で、理解を得ることに成功しました。
製造業なら、一人で複数の工程をこなせるようにする「多能工化」への取り組みは一般的です。一人の受け持ち範囲を拡大するのは、「セル生産方式」にも通じるやり方です。
フロントと調理室を同じフロアにしたり、裏口から行き来できるように隣り合わせに配置するなど、「旅館内部のレイアウトにもこだわる」。これも、製造業の工場レイアウトの工夫に通じます。
「箱根に集中展開していることも生産性向上に貢献している」そうです。互いに従業員を行き来させられるからです。これは、小売業のドミナント戦略に相当しますね。
お茶やビールはセルフサービスです。「客室の冷蔵庫を空にして廊下に自動販売機を設置する方式」にもしており、これはビジネスホテルでみられるやり方です。
これらの施策は、意識して「人時生産性」を向上させようとして編み出されたものなのだそうです。あるセミナーで、他社と比較した自社の生産性の低さに、小川晴也社長がショックを受けたことから、取り組みが始まりました。
上述した施策からわかりますが、いずれも他の業界のやり方を自社に上手に採り入れています。他業界から学ぶのですから、業界の慣習にとらわれることもありません。
「製造業に比べて生産性が劣っているとされる」状況にあり、それを「当たり前」と考えず、ならば製造業のやり方をマネしてやろうと言わんばかりの取り組みをしているわけです。
生産性を劇的に向上させるなど、今さら新たなアイデアなど、出しにくいと思うかも知れません。しかしヒントは、他業界からみつけることができます。業界が違うからと、見向きもしないようではいけませんね。
【今日の教訓】
あなたの企業では、自社の生産性を劇的に向上させるために、どのような施策を打つことを考えているだろうか。アイデアは出尽くしたと思うなら、他業界に目を向けてみることだ。業界の慣習にとらわれなければ、実行できるアイデアがいくつもみつかるはずだ。
<参考:日経産業新聞 2009.02.12【18面】>
2009年02月10日
勝つための条件を積み上げていくとは?
よかれと思って取り組んだにも関わらず、結果は逆効果となってしまうことがあり得ます。たとえば、口コミ。自社の商品が評判となり、売れ行きが加速することを期待します。
しかし、悪評が広まってしまう可能性もあります。「両刃の剣」となるわけです。コントロールされていないことが口コミの価値ですから、致し方ないことかも知れません。
収益拡大のために新商品の投入を図っても、その品質に問題があれば、裏目に出てしまいます。その商品だけの問題ならまだしも、それがブランド価値を損ねてしまう危険性もあります。
企業側の思惑がいかようにあろうとも、顧客に価値を感じてもらえなければ、極端な話、見向きもされなかったりします。顧客を「囲い込む」などというのは、実におこがましい話で、顧客は決して囲い込まれたいとは思っていませんよね。
2月10日付けの日経産業新聞に、「ネット求人大手のエン・ジャパンは企業内教育を手掛けるレビックグローバルと提携し、eラーニングによる企業の採用内定者向け研修を始める」という記事が掲載されています。
記事によれば、「レビックグローバルの内定者向けeラーニングは大手企業向けにはすでに導入実績が」あるとのことです。一方、eラーニングの「中堅・中小企業での導入はまだ少な」いそうです。
エン・ジャパンの主要顧客層は中堅・中小企業ですから、それらの企業向けに、eラーニングを売ろうというわけです。まだ導入が少ないので、「販売余地が大きい」と判断してのことです。
エン・ジャパンの立場からすると、内定者向けeラーニングは、自社の顧客層に対する新商品となり、収益拡大策として有効とみられます。特に求人が冷え込んでいる環境下にあって、新商品の投入は重要でしょう。
同社は既に、「内定者や新入社員向けの対面式の研修」を手掛けていますが、それとの「相乗効果創出」を狙い、「eラーニングと対面式研修とのセット販売も進める予定」だそうです。
単純に他社サービスを既存顧客に流すだけではなく、自社ならではの付加価値をつけようという取り組みに、注目すべきでしょう。その意図として、「充実した研修事業を売り込むことにより、就職サイトの顧客網の囲い込みや拡大にもつなげたい考え」があります。
先述のように、新商品を投入しても、その評価がイマイチであれば、顧客を囲い込むどころか、愛想を尽かされてしまうリスクがありあます。提携他社に依存した、安易な新商品投入で済ませるわけにはいかないのです。
そもそも、販売する企業にとっては「新商品」であっても、既に世の中で流通しているとすれば、「新商品」でも何でもありません。「新商品」=売上の拡大というのは、実に甘い考えだと言えます。
その意味でも、新商品投入・新規事業参入には、慎重な戦略をとることが求められます。「新参者」が勝つには、それなりの備えが必要なのは、当然のことでしょう。
エン・ジャパンの場合、セット販売による「充実した研修事業」という、競争力が高いであろう商品をつくり、なおかつ、まだ導入が少ない中堅・中小企業という、比較的競争が穏やかな市場を狙うことで、勝つための条件を押さえる姿勢がみられます。
勝つべくして勝つのが、兵法の極意だといわれます。決して安易な参入はしないのです。勝つための条件を積み上げ、万全にして取り組む姿勢は
どの企業にも求められるでしょう。
【今日の教訓】
あなたは、新商品投入・新規事業立ち上げにあたり、「勝つべくして勝つ」条件を、どれだけ積み上げることをしているだろうか。安易な取り組みで失敗するケースは、後を絶たない。十分な条件整備をし、思惑ハズレで後悔することがないようにしよう。
<参考:日経産業新聞 2009.02.10【16面】>
しかし、悪評が広まってしまう可能性もあります。「両刃の剣」となるわけです。コントロールされていないことが口コミの価値ですから、致し方ないことかも知れません。
収益拡大のために新商品の投入を図っても、その品質に問題があれば、裏目に出てしまいます。その商品だけの問題ならまだしも、それがブランド価値を損ねてしまう危険性もあります。
企業側の思惑がいかようにあろうとも、顧客に価値を感じてもらえなければ、極端な話、見向きもされなかったりします。顧客を「囲い込む」などというのは、実におこがましい話で、顧客は決して囲い込まれたいとは思っていませんよね。
2月10日付けの日経産業新聞に、「ネット求人大手のエン・ジャパンは企業内教育を手掛けるレビックグローバルと提携し、eラーニングによる企業の採用内定者向け研修を始める」という記事が掲載されています。
記事によれば、「レビックグローバルの内定者向けeラーニングは大手企業向けにはすでに導入実績が」あるとのことです。一方、eラーニングの「中堅・中小企業での導入はまだ少な」いそうです。
エン・ジャパンの主要顧客層は中堅・中小企業ですから、それらの企業向けに、eラーニングを売ろうというわけです。まだ導入が少ないので、「販売余地が大きい」と判断してのことです。
エン・ジャパンの立場からすると、内定者向けeラーニングは、自社の顧客層に対する新商品となり、収益拡大策として有効とみられます。特に求人が冷え込んでいる環境下にあって、新商品の投入は重要でしょう。
同社は既に、「内定者や新入社員向けの対面式の研修」を手掛けていますが、それとの「相乗効果創出」を狙い、「eラーニングと対面式研修とのセット販売も進める予定」だそうです。
単純に他社サービスを既存顧客に流すだけではなく、自社ならではの付加価値をつけようという取り組みに、注目すべきでしょう。その意図として、「充実した研修事業を売り込むことにより、就職サイトの顧客網の囲い込みや拡大にもつなげたい考え」があります。
先述のように、新商品を投入しても、その評価がイマイチであれば、顧客を囲い込むどころか、愛想を尽かされてしまうリスクがありあます。提携他社に依存した、安易な新商品投入で済ませるわけにはいかないのです。
そもそも、販売する企業にとっては「新商品」であっても、既に世の中で流通しているとすれば、「新商品」でも何でもありません。「新商品」=売上の拡大というのは、実に甘い考えだと言えます。
その意味でも、新商品投入・新規事業参入には、慎重な戦略をとることが求められます。「新参者」が勝つには、それなりの備えが必要なのは、当然のことでしょう。
エン・ジャパンの場合、セット販売による「充実した研修事業」という、競争力が高いであろう商品をつくり、なおかつ、まだ導入が少ない中堅・中小企業という、比較的競争が穏やかな市場を狙うことで、勝つための条件を押さえる姿勢がみられます。
勝つべくして勝つのが、兵法の極意だといわれます。決して安易な参入はしないのです。勝つための条件を積み上げ、万全にして取り組む姿勢は
どの企業にも求められるでしょう。
【今日の教訓】
あなたは、新商品投入・新規事業立ち上げにあたり、「勝つべくして勝つ」条件を、どれだけ積み上げることをしているだろうか。安易な取り組みで失敗するケースは、後を絶たない。十分な条件整備をし、思惑ハズレで後悔することがないようにしよう。
<参考:日経産業新聞 2009.02.10【16面】>
2009年02月09日
値下げは値札の書き換えではない。
ビジネスプランを考える際は、このビジネスでの競争に勝つためのカギとなるポイントは何か、押さえる必要があります。そのことをKFS(Key Factor for Success)と呼んだりもします。
頭の中で想像することも可能といえば可能ですが、できれば、データにより検証したいところです。その際に役立つのが、同業の複数社を比較してみることです。
業種によって不況・好況が明確に分かれるケースも多いですが、同じ業界の中でも、業績の良い企業と悪い企業がはっきりと区別されることもあり、極端な場合は、業績が「二極化」します。
対極にあるそれぞれの企業(群)について、ビジネスモデルや戦略・戦術の特徴がわかれば、それが成否のカギだということがわかります。競争の「ルール」が判明するわけです。
2月9日付けの日経MJ(流通新聞)に、「食品スーパーでの収益力の二極化が鮮明になってきた」という記事が掲載されています。記事の見出しに「二極化」という言葉があれば、その違いは何なのかを必ずチェックし、「ルール」を確認してみるとよいでしょう。
食品スーパーの場合、記事によれば、「セールや値下げを強化した」企業が「好調を維持している」そうです。その反対に、「対応が遅れ」、大手の「値下げ攻勢で苦戦を強いられる」ケースが起きているといいます。
結局のところ価格競争か、という話では面白くないのですが、現実は現実として、受け入れる必要があるでしょう。安易なことでは困りますが、適切かつ機敏な値下げ対応は、業績を確保する武器であることは間違いありません。
記事で「好調」として取り上げられているのが、まずマルエツ。「既存店売上高は昨年12月まで26カ月連続で前年同月を上回り、1月も増収を維持しもようだ」とのこと。「好調持続の最大のカギは徹底した低価格戦略」だと記事は解説しています。
また、「オオゼキは直接仕入れなどを拡大し、青果の値引き販売を実施」したことで、「集客に大きな効果がでている」そうです。「ヤオコーの2008年4~12月期連結決算は営業利益が12%伸びた」といいます。特売セールの頻繁な実施と「商品の量を減らしてでも単価を下げる手
法を併用している」そうです。
「一方、売り上げが伸び悩むスーパーも増えている」として、まずエコスが取り上げられています。「品ぞろえを大手総合スーパー並みに広げた結果、加工食品などの仕入れ効率が悪化し、十分に値下げができなかった」とのこと。
そのほか、好調事例として、「均一セールが奏功」したとしてライフコーポレーションが、不振事例として「価格志向への対応が弱かった」とするいなげやが取り上げられています。
いずれにしろ、現象としては「セールと値下げ」が出来たか出来なかったの違いですが、戦略的見地では、「選択と集中」の徹底・不徹底が勝敗を分けています。
特にエコスの場合はわかりやすいです。品ぞろえの拡散が、価格競争力の低下を招いてしまったわけです。「値下げ」とは、値札を書き換える作業のことではないのです。それが出来る仕組みの裏付けがあって、初めて実現し得る技術だと認識する必要がありますす。
「結局のところ価格競争か、という話では面白くない」と先述しましたが、実のところ、その裏側を読み解くことが大切です。日頃の戦略的な取り組みが、いざという時にものを言うのです。
【今日の教訓】
あなたは、自社が属する業界で成功を収めるためのカギは何か、明確に意識しているだろうか。そのカギを押さえるために、どのような仕掛けが必要かを意識した上で、戦略を立てているだろうか。それが出来ていないと、環境変化の波に翻弄されることとなる。
<参考:日経MJ(流通新聞) 2009.02.08【7面】>
頭の中で想像することも可能といえば可能ですが、できれば、データにより検証したいところです。その際に役立つのが、同業の複数社を比較してみることです。
業種によって不況・好況が明確に分かれるケースも多いですが、同じ業界の中でも、業績の良い企業と悪い企業がはっきりと区別されることもあり、極端な場合は、業績が「二極化」します。
対極にあるそれぞれの企業(群)について、ビジネスモデルや戦略・戦術の特徴がわかれば、それが成否のカギだということがわかります。競争の「ルール」が判明するわけです。
2月9日付けの日経MJ(流通新聞)に、「食品スーパーでの収益力の二極化が鮮明になってきた」という記事が掲載されています。記事の見出しに「二極化」という言葉があれば、その違いは何なのかを必ずチェックし、「ルール」を確認してみるとよいでしょう。
食品スーパーの場合、記事によれば、「セールや値下げを強化した」企業が「好調を維持している」そうです。その反対に、「対応が遅れ」、大手の「値下げ攻勢で苦戦を強いられる」ケースが起きているといいます。
結局のところ価格競争か、という話では面白くないのですが、現実は現実として、受け入れる必要があるでしょう。安易なことでは困りますが、適切かつ機敏な値下げ対応は、業績を確保する武器であることは間違いありません。
記事で「好調」として取り上げられているのが、まずマルエツ。「既存店売上高は昨年12月まで26カ月連続で前年同月を上回り、1月も増収を維持しもようだ」とのこと。「好調持続の最大のカギは徹底した低価格戦略」だと記事は解説しています。
また、「オオゼキは直接仕入れなどを拡大し、青果の値引き販売を実施」したことで、「集客に大きな効果がでている」そうです。「ヤオコーの2008年4~12月期連結決算は営業利益が12%伸びた」といいます。特売セールの頻繁な実施と「商品の量を減らしてでも単価を下げる手
法を併用している」そうです。
「一方、売り上げが伸び悩むスーパーも増えている」として、まずエコスが取り上げられています。「品ぞろえを大手総合スーパー並みに広げた結果、加工食品などの仕入れ効率が悪化し、十分に値下げができなかった」とのこと。
そのほか、好調事例として、「均一セールが奏功」したとしてライフコーポレーションが、不振事例として「価格志向への対応が弱かった」とするいなげやが取り上げられています。
いずれにしろ、現象としては「セールと値下げ」が出来たか出来なかったの違いですが、戦略的見地では、「選択と集中」の徹底・不徹底が勝敗を分けています。
特にエコスの場合はわかりやすいです。品ぞろえの拡散が、価格競争力の低下を招いてしまったわけです。「値下げ」とは、値札を書き換える作業のことではないのです。それが出来る仕組みの裏付けがあって、初めて実現し得る技術だと認識する必要がありますす。
「結局のところ価格競争か、という話では面白くない」と先述しましたが、実のところ、その裏側を読み解くことが大切です。日頃の戦略的な取り組みが、いざという時にものを言うのです。
【今日の教訓】
あなたは、自社が属する業界で成功を収めるためのカギは何か、明確に意識しているだろうか。そのカギを押さえるために、どのような仕掛けが必要かを意識した上で、戦略を立てているだろうか。それが出来ていないと、環境変化の波に翻弄されることとなる。
<参考:日経MJ(流通新聞) 2009.02.08【7面】>
2009年02月06日
韓国のテレビ局からも取材が!
J-CASTニュースの影響です。
カメラマンを含め、3人のスタッフの方が来社されましたが、いずれも韓国の方。韓国では、副業(アルバイト)は当たり前だそうですが、週末起業となるので、やはり少ないそうです。
その他、「週刊ポスト」さんからも電話取材がありました。
カメラマンを含め、3人のスタッフの方が来社されましたが、いずれも韓国の方。韓国では、副業(アルバイト)は当たり前だそうですが、週末起業となるので、やはり少ないそうです。
その他、「週刊ポスト」さんからも電話取材がありました。
タグ :副業
2009年02月05日
2009年02月04日
店内在庫の削減が、なぜ調剤事業強化につながるのか?
経営にはバランスが必要だと言えば、そのとおりだと思う人は多いでしょう。しかし、戦略に関して言えば、「選択と集中」という言葉が示すように、あえてバランスを崩すことが必要となります
よく言われるのが、「強み」に集中せよということです。総花的な施策は、結局のところ、たいした成果を生むことはできません。劇的な成果は、劇的なアンバランスから生まれます。
何に集中すべきかが明確に意識されていれば、次の打ち手をどうするかは、自明の理となります。その前提は、戦略が明確になっているか、すなわち、どう戦うべきかがわかっているということでしょう。
2月4日付けの日経MJ(流通新聞)に、ドラッグストアの「セガミメディクスが調剤事業の強化に向けて、店内在庫の削減に努めている」という記事が掲載されています。
在庫を削減して、資金効率を高めるのは、どの企業も目指すところでしょう。セガミの場合、「自動発注システムに頼っていた注文方法の見直し」を行なうことで、それを実現します。
記事によれば、自動発注システムにも限界があるため、「立地環境に精通した店長」が、天候や近隣のイベントなどを勘案し、発注を決めるようにしたのだそうです。
それはよいとして、では、店内在庫の削減が、どうして調剤事業の強化につながるのでしょうか。発注の精度を高めることが、セガミの「強み」とどう結びつくのでしょうか。記事を読み進めていくと、そのロジックがわかります。
在庫を削減することで、「約500平米の店舗の場合、一割程度とされる倉庫面積を縮小させることができるようになる」そうです。その「空いた空間を調剤室の一部として活用すること」ができるようになります。
記事によれば、セガミはもともと「調剤事業に強み」があります。「現在の同事業の年間売上高は160億円で業界首位だ」そうです。それでも、現時点での調剤併設率は17%にとどまります。つまり、「強み」を伸ばす余地は、まだまだあるということなのです。
「強み」をどうやって伸ばすかを考えるには、何が制約要因になっているかを分析してみるのが有効です。セガミの場合、それは店舗スペースであり、余剰な在庫を抱えていることが問題として認識されたわけです。
発注精度を高め、欠品を防止し、適切な品揃えを実現できれば、それだけでも「強み」となり得ます。しかし、真の狙いは、その先にある、調剤事業の強化にあります。
「強み」のさらなる強化はアンバランスをもたらしますが、とは言え、人間の体のように、各業務は相互に連携していますので、特化した部分への集中は、他の部分の変革を要求します。その意味で、経営のバランスを考えることが大切なのです。
一方で調剤事業を強化し、他方で発注精度を高めておこうというのは、総花的な発想に近いでしょう。そうではなく、調剤事業のさらなる強化のために、発注精度向上にも取り組む。それが「選択と集中」であり、真の意味での経営のバランスだと言えます。
「強み」を強化することを徹底的に考えると、それは部分的な強化にとどまらず、あらゆる面に変革が要求されます。それは決して、総花的ということではありません。
【今日の教訓】
あなたの企業では、一つの明確な戦略方針に基づいた「選択と集中」がなされているだろうか。それは必ずしも社内の特定部分に特化することではない。むしろ、全社の各部分が、戦略方針に則って変革せざるを得ないという影響が及ぶと考えた方がよい。
<参考:日経MJ(流通新聞) 2009.02.04【5面】>
よく言われるのが、「強み」に集中せよということです。総花的な施策は、結局のところ、たいした成果を生むことはできません。劇的な成果は、劇的なアンバランスから生まれます。
何に集中すべきかが明確に意識されていれば、次の打ち手をどうするかは、自明の理となります。その前提は、戦略が明確になっているか、すなわち、どう戦うべきかがわかっているということでしょう。
2月4日付けの日経MJ(流通新聞)に、ドラッグストアの「セガミメディクスが調剤事業の強化に向けて、店内在庫の削減に努めている」という記事が掲載されています。
在庫を削減して、資金効率を高めるのは、どの企業も目指すところでしょう。セガミの場合、「自動発注システムに頼っていた注文方法の見直し」を行なうことで、それを実現します。
記事によれば、自動発注システムにも限界があるため、「立地環境に精通した店長」が、天候や近隣のイベントなどを勘案し、発注を決めるようにしたのだそうです。
それはよいとして、では、店内在庫の削減が、どうして調剤事業の強化につながるのでしょうか。発注の精度を高めることが、セガミの「強み」とどう結びつくのでしょうか。記事を読み進めていくと、そのロジックがわかります。
在庫を削減することで、「約500平米の店舗の場合、一割程度とされる倉庫面積を縮小させることができるようになる」そうです。その「空いた空間を調剤室の一部として活用すること」ができるようになります。
記事によれば、セガミはもともと「調剤事業に強み」があります。「現在の同事業の年間売上高は160億円で業界首位だ」そうです。それでも、現時点での調剤併設率は17%にとどまります。つまり、「強み」を伸ばす余地は、まだまだあるということなのです。
「強み」をどうやって伸ばすかを考えるには、何が制約要因になっているかを分析してみるのが有効です。セガミの場合、それは店舗スペースであり、余剰な在庫を抱えていることが問題として認識されたわけです。
発注精度を高め、欠品を防止し、適切な品揃えを実現できれば、それだけでも「強み」となり得ます。しかし、真の狙いは、その先にある、調剤事業の強化にあります。
「強み」のさらなる強化はアンバランスをもたらしますが、とは言え、人間の体のように、各業務は相互に連携していますので、特化した部分への集中は、他の部分の変革を要求します。その意味で、経営のバランスを考えることが大切なのです。
一方で調剤事業を強化し、他方で発注精度を高めておこうというのは、総花的な発想に近いでしょう。そうではなく、調剤事業のさらなる強化のために、発注精度向上にも取り組む。それが「選択と集中」であり、真の意味での経営のバランスだと言えます。
「強み」を強化することを徹底的に考えると、それは部分的な強化にとどまらず、あらゆる面に変革が要求されます。それは決して、総花的ということではありません。
【今日の教訓】
あなたの企業では、一つの明確な戦略方針に基づいた「選択と集中」がなされているだろうか。それは必ずしも社内の特定部分に特化することではない。むしろ、全社の各部分が、戦略方針に則って変革せざるを得ないという影響が及ぶと考えた方がよい。
<参考:日経MJ(流通新聞) 2009.02.04【5面】>