【残念なお知らせ】諸般の事情により、クォーター大阪暮らしは2009年11月末をもって終了することとなりました。これまでのご愛顧に心より感謝申し上げます。今後はこちらのブログで記事を提供してまいります。よろしくお願いします。
2009年04月27日
依頼下手、任せ下手を克服するために必要なこと
時間術の本などを読むと、いかに他人に仕事を依頼するか、あるいは頼まれ事を断るか、といったことが時間節約のカギだと書かれていたりします。
他人に依頼をしつつ、他人からの依頼を断るというのは、何とも図々しい話のようにも思えますが、うまくバランスをとることが大切なのでしょう。
戦略の要諦である「選択と集中」の観点からみれば、自分のなすべきことを取捨選択することは、理に適っています。それを実現するのに、依頼すること、依頼を断ることは、どうしてもついて回るものです。
他人に物事を依頼できないのは、断られるのを恐れたり、図々しいと思われたくなかったり、といった理由が考えられます。人間としての、ちょっとした心の弱さの表われと言えるでしょうか。
これは自分にしかできない、という自負心もあるでしょう。ですがそれは、単なる思い込みに過ぎないかも知れません。実際、どうしても自分でできない状況に追い込まれ、他人に依頼してみると、意外とうまくいったりすることは多いものです。
4月27日付けの日本経済新聞に、「タカラトミーは新入社員研修の手法を一新した」という記事が掲載されています。「講義の準備作業など従来は人事部が手掛けていた仕事を新入社員に一任する」とのことです。
狙いは「人事部頼みになりがちだった傾向を改め、自発的に研修に取り組むようにする」ことだそうです。すべて人事部がお膳立てする必要があるというのは「思い込み」に過ぎなかったわけです。具体的には、「研修の部屋のレイアウト決め、書類や用具の準備」のほか、研修内容を担当講師に確認したり、「研修後の宴席の企画や余興の準備」を新入社員に任せます。
上司・部下の関係であれば、「依頼する」は「任せる」に表現を変えることができますね。そうなれば、「図々しい」という感覚もなくなるでしょう。上司・部下の関係でなくても、適任者に「任せる」と考えれば、「依頼する」ことの抵抗感は、薄まるように思います。
タカラトミーが実際に新入社員に任せる業務は、新入社員でも十分にこなせるものです。記事は「社会人の付随業務を研修期間中に体験させる」と解説しています。座学だけでなく、有意義な体験をさせることも、研修の一環だと言えるでしょう。
研修での講義は講師にしかできないかも知れませんが、研修の準備は新入社員でもできるのです。同様に、「自分にしかできない」と思える業務も、細分化すれば、依頼したり任せたりできる部分も、かなりあるはずです。
「選択と集中」の考え方は、物事をまずは細分化して、はじめて成り立ちます。細分化するから、どれかを選び、集中することができます。「ドンブリ勘定」で「自分にしかできない」と決めつけてはいけませんね。細分化しないから、すべてを一人で抱えることになってしまうのです。
逆に、他人に任せて失敗するとしたら、それもまた、業務を細分化して考えていないからです。任せてよいこと、よくないことの区分が不明確で、「丸投げ」状態になってしまっているわけです。
もちろん、結果として、すべてを任せるケースも起こり得ます。しかしそれは、細分化されたパーツのすべてについて、任せても大丈夫だという判断があればこそでしょう。
任せるのが上手な人は、その勘どころをしっかりと押さえています。どのタイミングで報告すべきか、どの部分は判断を仰ぎ、どの部分は自分の裁量で進めてよいのか、明確に指示をすることができているわけです。
【今日の教訓】
あなたが自分の仕事だと思っていることのうち、どの部分なら、他人に任せることができるだろうか。「自分にしかできない」は思い込みに過ぎない。仕事を細分化した上で、本当に自分にしかできないのかどうか、考えてみよ。「選択と集中」の観点で仕事に取り組むのなら、欠かせない視点のはずだ。
<参考:日本経済新聞 2009.04.27【11面】>
他人に依頼をしつつ、他人からの依頼を断るというのは、何とも図々しい話のようにも思えますが、うまくバランスをとることが大切なのでしょう。
戦略の要諦である「選択と集中」の観点からみれば、自分のなすべきことを取捨選択することは、理に適っています。それを実現するのに、依頼すること、依頼を断ることは、どうしてもついて回るものです。
他人に物事を依頼できないのは、断られるのを恐れたり、図々しいと思われたくなかったり、といった理由が考えられます。人間としての、ちょっとした心の弱さの表われと言えるでしょうか。
これは自分にしかできない、という自負心もあるでしょう。ですがそれは、単なる思い込みに過ぎないかも知れません。実際、どうしても自分でできない状況に追い込まれ、他人に依頼してみると、意外とうまくいったりすることは多いものです。
4月27日付けの日本経済新聞に、「タカラトミーは新入社員研修の手法を一新した」という記事が掲載されています。「講義の準備作業など従来は人事部が手掛けていた仕事を新入社員に一任する」とのことです。
狙いは「人事部頼みになりがちだった傾向を改め、自発的に研修に取り組むようにする」ことだそうです。すべて人事部がお膳立てする必要があるというのは「思い込み」に過ぎなかったわけです。具体的には、「研修の部屋のレイアウト決め、書類や用具の準備」のほか、研修内容を担当講師に確認したり、「研修後の宴席の企画や余興の準備」を新入社員に任せます。
上司・部下の関係であれば、「依頼する」は「任せる」に表現を変えることができますね。そうなれば、「図々しい」という感覚もなくなるでしょう。上司・部下の関係でなくても、適任者に「任せる」と考えれば、「依頼する」ことの抵抗感は、薄まるように思います。
タカラトミーが実際に新入社員に任せる業務は、新入社員でも十分にこなせるものです。記事は「社会人の付随業務を研修期間中に体験させる」と解説しています。座学だけでなく、有意義な体験をさせることも、研修の一環だと言えるでしょう。
研修での講義は講師にしかできないかも知れませんが、研修の準備は新入社員でもできるのです。同様に、「自分にしかできない」と思える業務も、細分化すれば、依頼したり任せたりできる部分も、かなりあるはずです。
「選択と集中」の考え方は、物事をまずは細分化して、はじめて成り立ちます。細分化するから、どれかを選び、集中することができます。「ドンブリ勘定」で「自分にしかできない」と決めつけてはいけませんね。細分化しないから、すべてを一人で抱えることになってしまうのです。
逆に、他人に任せて失敗するとしたら、それもまた、業務を細分化して考えていないからです。任せてよいこと、よくないことの区分が不明確で、「丸投げ」状態になってしまっているわけです。
もちろん、結果として、すべてを任せるケースも起こり得ます。しかしそれは、細分化されたパーツのすべてについて、任せても大丈夫だという判断があればこそでしょう。
任せるのが上手な人は、その勘どころをしっかりと押さえています。どのタイミングで報告すべきか、どの部分は判断を仰ぎ、どの部分は自分の裁量で進めてよいのか、明確に指示をすることができているわけです。
【今日の教訓】
あなたが自分の仕事だと思っていることのうち、どの部分なら、他人に任せることができるだろうか。「自分にしかできない」は思い込みに過ぎない。仕事を細分化した上で、本当に自分にしかできないのかどうか、考えてみよ。「選択と集中」の観点で仕事に取り組むのなら、欠かせない視点のはずだ。
<参考:日本経済新聞 2009.04.27【11面】>
2009年04月24日
コーチングの達人に学ぶ『質問力&人生力養成講座』DVD
お待たせいたしました!
「コーチングの達人に学ぶ『質問力&人生力養成講座』」がついに、DVDになりました。
新年度が始まってもうすぐ1ヶ月、新しい環境にもそろそろ慣れてきた頃だと思います。
新しい環境の中、コミュニケーションの大切さや難しさ、さまざまなことを感じているのではないでしょうか?
コミュニケーションは、人生を送るうえでなくてはならないものです。
そして、ビジネスパーソンスキルアップの鍵はコミュニケーション能力の向上にあります。
コミュニケーションの巧拙は、人生を大きく左右します。その中でも特に大切なのが、「質問力」です。
今回、そんなあなたにおススメしたいDVDがあります。
それは、3月に開催された弊社主催のセミナー、「コーチングの達人に学ぶ!『質問力&人生力養成講座』」を臨場感をそのままに完全収録したDVDです。
あなたの「質問力」を格段に高めてくれること、間違いなしです。
今回、多くの方にこのDVDをご覧いただきたいと言う強い想いがあり、通常【30,240円】のところ、期間限定の感謝価格で、当日の受講料と同じ【18,900円】でご提供させていただきます。
ご希望の方はお早めにお買い求めください!
※≪感謝特別価格≫詳細(サンプルあり)&お買い求め
→ http://www.entrelect.co.jp/seminardvd_coaching.html
(商品の出荷は4月30日(木)より順次スタートします。)
質問には、とても大きな力があります。まず、以下の2つの質問を比べてみてください。
「なぜ、いつも遅刻ばかりするんだ?」
「次から、遅刻しないためにはどうすれば良いのだろう?」
言われた相手は、どう感じるでしょうか?前者のような言われ方をすると、悪いのはわかっているけど、気持ちを閉ざしてしまうはずです。
こう言った何気なく使っている「質問」の積み重ねが、人生がうまくいくか、いかないかの明暗を分けています。
なので「質問力」は「人生力」とも言えます。
昨今、ビジネスの現場でも、指示命令型のマネジメントから、質問型のマネジメントへコミュニケーション手段は変わってきています。
だからこそ、今、正しい「質問力」を身につける必要があるのです。
当日のセミナーでご講演いただいたのは、当代を代表する有名、現役コーチばかりです。
まず、トップバッターの平本あきお先生には、【組織の最高のパフォーマンスを引き出すためのコミュニケーション術】と言うテーマでお話いただきました。
全身を使って、気持ちを表現するパワフルなご講演で、5分も経たないうちに平本先生の話に引き込まれてしまいました。組織を通して自己実現する方法、コミュニケーション術など、平本先生ご自身のの体験談は説得力があり、目からウロコの内容でした。
次に、マツダミヒロ先生には、【職場ですぐに使える質問の数々】と言うテーマでお話しいただきました。
マツダ先生は、おだやかな口調でご自身の体験談やご家族のお話を具体例にあげ、わかりやすく「質問力」について、ご講演いただきました。
最後にお話された、『質問力=人間力です。いくら良い言葉を言っても信頼関係がなくては、相手の心には響きません。』と言うお話が、とても心に響きました。
最後に、銀座コーチングスクール代表である森英樹が、【質問で失敗しないコツ】をテーマにお話をさせていただきました。
8年間にわたり蓄積してきたさまざまな成功質問・失敗質問事例を紹介し、「ジョハリの窓」を使って、効果的な「質問」の方法をご紹介しました。
参加者の方からは、「ジョハリの窓の説明がとても分かりやすかった」「質問の深さを知りました。」と言う嬉しいお言葉をいただきました。
感謝特別価格は5月31日(日)をもって締め切らさせていただきます。
^^^^^^^^^^^^
ぜひ、感謝特別価格期間中をお見逃しのないよう、お買い求めください!
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質問には、とても大きな力があります。まず、以下の2つの質問を比べてみてください。
「なぜ、いつも遅刻ばかりするんだ?」
「次から、遅刻しないためにはどうすれば良いのだろう?」
言われた相手は、どう感じるでしょうか?前者のような言われ方をすると、悪いのはわかっているけど、気持ちを閉ざしてしまうはずです。
こう言った何気なく使っている「質問」の積み重ねが、人生がうまくいくか、いかないかの明暗を分けています。
なので「質問力」は「人生力」とも言えます。
昨今、ビジネスの現場でも、指示命令型のマネジメントから、質問型のマネジメントへコミュニケーション手段は変わってきています。
だからこそ、今、正しい「質問力」を身につける必要があるのです。
当日のセミナーでご講演いただいたのは、当代を代表する有名、現役コーチばかりです。
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次に、マツダミヒロ先生には、【職場ですぐに使える質問の数々】と言うテーマでお話しいただきました。
マツダ先生は、おだやかな口調でご自身の体験談やご家族のお話を具体例にあげ、わかりやすく「質問力」について、ご講演いただきました。
最後にお話された、『質問力=人間力です。いくら良い言葉を言っても信頼関係がなくては、相手の心には響きません。』と言うお話が、とても心に響きました。
最後に、銀座コーチングスクール代表である森英樹が、【質問で失敗しないコツ】をテーマにお話をさせていただきました。
8年間にわたり蓄積してきたさまざまな成功質問・失敗質問事例を紹介し、「ジョハリの窓」を使って、効果的な「質問」の方法をご紹介しました。
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2009年04月22日
シャンプーの詰め替え容器はなぜ進化しなければならなかったのか
物事に習熟していくと、段々と細部にこだわるようになります。いわゆるマニアの世界ですね。素人からすれば、「そこまでやるか」というレベルにまで達したりします。
もしかしたら、それは素人目には、意味のないこだわりに見えるかも知れません。ですが、具体的な細部のこだわりを知らなくても、全体としての「違い」は、素人でも感じたりします。
いわゆる「神は細部に宿る」というやつです。具体的にどこが素晴らしいのかがわからなくても、全体として優れて見えるのは、細部へのこだわりの集積が、全体の雰囲気を形づくるからなのでしょう。
また、普通は意識しないような部分に、細やかな配慮がなされていると、ふとした時にそれに気づくと、感動します。そのような商品・サービスに出会ったことは、誰にでもあると思います。
4月22日付けの日経MJ(流通新聞)に、シャンプーなど日用品の詰め替え容器についての記事が掲載されています。「実は誰でも簡単に詰め替えられるように注ぎ口を工夫したり、化粧品のように外観まで徹底的にこだわるなど進化している」のだそうです。
詰め替え容器は、特に「環境意識の高い消費者を中心に注目を集める」商品だと記事は紹介しています。価格面でのメリットもあります。ですが、詰め替え用だから中身が重要だとは言え、容器はどうでもよい、ということにはならないようです。
記事は「ともすれば、本体に比べて詰め替え容器は安っぽいイメージがつきまとう」としています。「細部にこだわる」という観点を持てば、そのようなイメージを放置しておくわけにはいかないでしょう。
具体的には、花王のシャンプーの場合、詰め替え容器として一般的なパックタイプではなく、ボトル形のものを採用しています。厚さや固さを抑えるために「極薄の素材を使っているため、樹脂量はパックタイプと同じという優れものだ」そうです。
ボトル形にしたのは、「注ぐときにこぼす可能性が少ない」といった、使い勝手を改善するためです。パックタイプでも、液体クレンザーの「カネヨン」などで、「注ぎ口にストロー状の筒を内蔵し、安定して中身が外に出てくるように工夫」がなされています。
安価でお得な詰め替え用だから、不便は我慢しろ、というのが、かつての一般的な考えでしたが、それに甘んじていては進化はない、ということなのでしょう。
使い勝手の改善だけでなく、「高級イメージ」を打ち出すケースもあります。「資生堂のヘアケア用品『ツバキ』」の場合、そもそも「日用品ではなく、化粧品」と位置付けており、詰め替え用であっても、イメージを損なわない配慮がなされています。
「安かろう、悪かろう」のような、トレードオフ的な考え方はいつまでも通用せず、いずれは安くて質の良い(使い勝手のよい、デザインのよい)商品が追随してくるものなのです。
記事は、「詰め替え用は繰り返し使ってくれるため、固定客の獲得につながる」と指摘しています。これが新たな気づきとなったというのは、詰め替え容器という商品形態の歴史が、まだ浅いからでしょう。
歴史の浅い商品だから、進化の余地も大きいというわけです。他商品の事例を参考にできるのですから、最初から進化済みの形態でリリースしても良さそうに思うのですが、現実には、進化の過程を最初からいちいち辿ってしまうというのは、興味深い現象です。なぜなのでしょうか?
詰め替え容器の場合、背景には環境意識の高まりがあり、それが市場拡大、ひいては競争環境の激化、さらには差別化の必要性を生んでいます。つまり商品は、市場の成長とシンクロして進化していくものなのです。
そう考えると、成長市場にあっては、商品の進化を追い求めなければならないことがわかります。PPM分析において、成長率の高い「花形」には、投資が必要だとされるのですが、まさにその理論どおりというわけですね。
【今日の教訓】
あなたの企業が提供する商品の対象市場は、どれほどの成長をしているだろうか。もし成長率が高いとすれば、商品もどんどん進化させていく必要がある。特に「細部へのこだわり」という観点で商品を眺めれば、進化させる余地は極めて大きいはずだ。
<参考:日経MJ(流通新聞) 2009.04.22【14面】>
もしかしたら、それは素人目には、意味のないこだわりに見えるかも知れません。ですが、具体的な細部のこだわりを知らなくても、全体としての「違い」は、素人でも感じたりします。
いわゆる「神は細部に宿る」というやつです。具体的にどこが素晴らしいのかがわからなくても、全体として優れて見えるのは、細部へのこだわりの集積が、全体の雰囲気を形づくるからなのでしょう。
また、普通は意識しないような部分に、細やかな配慮がなされていると、ふとした時にそれに気づくと、感動します。そのような商品・サービスに出会ったことは、誰にでもあると思います。
4月22日付けの日経MJ(流通新聞)に、シャンプーなど日用品の詰め替え容器についての記事が掲載されています。「実は誰でも簡単に詰め替えられるように注ぎ口を工夫したり、化粧品のように外観まで徹底的にこだわるなど進化している」のだそうです。
詰め替え容器は、特に「環境意識の高い消費者を中心に注目を集める」商品だと記事は紹介しています。価格面でのメリットもあります。ですが、詰め替え用だから中身が重要だとは言え、容器はどうでもよい、ということにはならないようです。
記事は「ともすれば、本体に比べて詰め替え容器は安っぽいイメージがつきまとう」としています。「細部にこだわる」という観点を持てば、そのようなイメージを放置しておくわけにはいかないでしょう。
具体的には、花王のシャンプーの場合、詰め替え容器として一般的なパックタイプではなく、ボトル形のものを採用しています。厚さや固さを抑えるために「極薄の素材を使っているため、樹脂量はパックタイプと同じという優れものだ」そうです。
ボトル形にしたのは、「注ぐときにこぼす可能性が少ない」といった、使い勝手を改善するためです。パックタイプでも、液体クレンザーの「カネヨン」などで、「注ぎ口にストロー状の筒を内蔵し、安定して中身が外に出てくるように工夫」がなされています。
安価でお得な詰め替え用だから、不便は我慢しろ、というのが、かつての一般的な考えでしたが、それに甘んじていては進化はない、ということなのでしょう。
使い勝手の改善だけでなく、「高級イメージ」を打ち出すケースもあります。「資生堂のヘアケア用品『ツバキ』」の場合、そもそも「日用品ではなく、化粧品」と位置付けており、詰め替え用であっても、イメージを損なわない配慮がなされています。
「安かろう、悪かろう」のような、トレードオフ的な考え方はいつまでも通用せず、いずれは安くて質の良い(使い勝手のよい、デザインのよい)商品が追随してくるものなのです。
記事は、「詰め替え用は繰り返し使ってくれるため、固定客の獲得につながる」と指摘しています。これが新たな気づきとなったというのは、詰め替え容器という商品形態の歴史が、まだ浅いからでしょう。
歴史の浅い商品だから、進化の余地も大きいというわけです。他商品の事例を参考にできるのですから、最初から進化済みの形態でリリースしても良さそうに思うのですが、現実には、進化の過程を最初からいちいち辿ってしまうというのは、興味深い現象です。なぜなのでしょうか?
詰め替え容器の場合、背景には環境意識の高まりがあり、それが市場拡大、ひいては競争環境の激化、さらには差別化の必要性を生んでいます。つまり商品は、市場の成長とシンクロして進化していくものなのです。
そう考えると、成長市場にあっては、商品の進化を追い求めなければならないことがわかります。PPM分析において、成長率の高い「花形」には、投資が必要だとされるのですが、まさにその理論どおりというわけですね。
【今日の教訓】
あなたの企業が提供する商品の対象市場は、どれほどの成長をしているだろうか。もし成長率が高いとすれば、商品もどんどん進化させていく必要がある。特に「細部へのこだわり」という観点で商品を眺めれば、進化させる余地は極めて大きいはずだ。
<参考:日経MJ(流通新聞) 2009.04.22【14面】>
2009年04月17日
新作あり!ビジネス選書セミナーDVD全品特価!
新年度がスタートして半月、新しい環境にもそろそろ慣れてきた頃ではないでしょうか。
スタートが好調ならば、その勢いは、後々にも生きてきます。大事な始まりのこの時期をいかに過ごすか、これは非常に大事です。
そこで、そんなフレッシュな新年度にぴったりのDVDをリリースしました!
『ワークライフ“アンバランス”の仕事力』著者、田島弓子先生のセミナーを完全収録したDVDです。
“アンバランス”とは、ちょっとどきっとするタイトルですが、何も長時間労働を推奨しているわけではありません。
「いかに質の高い仕事を、楽しく全力でこなすのか?」
その秘訣と、田島先生流の熱い仕事観が凝縮されています。
実際のセミナーでは、熱い話をしながらも自然体な先生の姿に、
「腹落ち感がある」
「自分と向き合ういい契機になった」
「良いものを求め続ける気力が湧いた」
などなど、満員の会場から絶賛のお声が寄せられました。
もちろん今回も、期間限定の感謝価格【5,250円】でご提供します!
心機一転、更にステップアップを目指すビジネスパーソンも、仕事に燃える若手も、更には熱い職場をつくりたいマネージャーまで、必見です!
※≪感謝特別価格≫詳細(サンプルあり)&お買い求め
→ http://www.bbook.jp/community_media0904.html
更に、今回は、スペシャル企画があります。
今年一年の良いスタートを応援する意味を込めて、これまでにリリースしたDVDも、期間限定・特別価格でご提供いたします!
※DVD全品特価!【新年度ステップアップキャンペーン】
→ http://www.entrelect.co.jp/seminardvd_c0904.html
キャンペーン期間は、本日4月17日から、5日8日までの3週間。
これまでにリリースしたDVD全品を、定価8,400円のところ、こちらも約4割引の特別応援価格、【5,250円】でご提供いたします。
ベストセラー著者の熱烈なセミナーを瞬間冷凍したもので、毎月多くの方にご利用いただいているイチオシの教材シリーズです。
「人脈」「時間術」「勉強法」「マネジメント」・・・と多彩なテーマをとり揃えています。
一流著者の考え方を感じるもよし、自分が課題としているテーマでチョイスするもよし。
いずれにしても、あなたの課題を解決する心強いサポートになること間違いなしです。
キャンペーン期間中には、ゴールデンウィークもあります。連休中に新しい考え方をたくさんインプットするチャンスです。
今年1年のスタートダッシュを決めるためにも、ぜひこの機会をご利用ください!
※DVD全品特価!【新年度ステップアップキャンペーン】
→ http://www.entrelect.co.jp/seminardvd_c0904.html
2009年04月16日
今どきのエンジニア教育が目指すものとは?
若いころ、友人とバンドを組んでいました。メンバーそれぞれ熱心に個別で練習し、スタジオで合わせるわけですが、各自が完璧に弾けるようになっていれば、完璧な演奏が披露できるかといえば、そうでもありません。
個人の演奏をそのままバンド演奏に持ち込んでも、ダメなんえすね。それぞれが他のメンバーの演奏を意識し、全体のアンサンブルを考えながら演奏しないと、見事にバラバラになってしまいます。
コーチングでは、クライアントの視点を移動させるために、さまざまな質問を繰り出します。たとえば、狭くなりがちな視野からクライアントを解放し、自分を客体視させつつ、全体像を俯瞰する視点へ導くことで、気づきが生まれたりします。
経営コンサルティングでも、コンサルタントは社外の専門家という立場で、企業の全体最適の観点から、アドバイスを行ないます。社内の利害から離れた第三者ならではの視点を提供するわけです。
いずれのケースも、いかに「全体」を眺めることが大切かを物語っているといえます。「部分最適は全体最適にあらず」とは、よく言われることです。特に組織のリーダーなら、常に全体最適の発想で、メンバーを動かしていくことが求められますね。
4月16日付けの日経産業新聞に、三菱重工の新人技術者教育についての記事が掲載されています。同社では、「販売や保守点検まで目配りできる視野の広いエンジニア」の育成を目指しているのだそうです。
同社の技術研修所の田口俊夫所長によれば、「大学で特定の研究に専念してきた新人技術者は『部分最適に陥りがち』」。そこで三菱重工では、新人技術者の研修メニューを変更し、「学んでいなかった知識や苦手とするテーマを重点的に学べるようになった」そうです。
人材教育にあっては、目指すべき人材像を明確にする必要があります。三菱重工では、そのような人材を「企業技術者」と呼び、「作りやすく、売りやすく、使いやすく、保守点検しやすい製品を生みだせる」ことを求めています。
従来の組織の考え方では、全体最適を図るべきことは自明としつつ、それを実現するのは、リーダーによる指示命令に依存する割合が高かったように思います。
全体最適が実現しなければ、メンバーを上手く使いこなせなかったという理由でリーダーが責められ、メンバーには責任がない、という考え方です。ですが今や、各メンバーもまた、全体最適を考えることが求められるようになったわけです。
冒頭に述べたバンドのケースと同様で、メンバー個々が全体を見渡すことができていなければ、組織としての全体最適は実現しません。リーダーの役割は、メンバーに対して、全体を見渡す機会を提供し、自らの役割を自律的に果たすのを促すことです。オーケストラの指揮者は、そのような役割を果たしているのでしょう。
一緒に仕事をする場合でも、全体最適の視点を持っている相手とは、心地よくご一緒できます。誰でもそう感じると思うのですが、自分の利益ばかり主張する方は、ご遠慮願いたいところです。
記事の三菱重工の場合、体系的な教育により「企業技術者」を育成していくわけですが、制度はともかく、自社の従業員が同様の視点を持てているか、常々チェックし、必要なら改善・改革していくことが大切です。
その際、特に重要なのは、リーダーの認識です。メンバーを「部分最適」の集合体、すなわち「部品」とみなしていては、「全体最適」を実現することは、至難の業となるでしょう。
リーダーはメンバーを、単なる「部品」ではなく、自律的に「全体最適」を追求する存在だととらえる必要があります。だからこそ、「部分」としてのふさわしい働きができるのです。
【今日の教訓】
あなたの企業の従業員には、「全体最適」の視点で仕事を行なえるような環境が与えられているだろうか。リーダーだけが孤軍奮闘しても、部下の視点が「部分」のみにとらわれていては、「全体最適」の実現は困難だ。部下は「部品」ではない。自律的に「全体最適」を追求する存在だととらえよう。
<参考:日経産業新聞 2009.04.16【18面】>
個人の演奏をそのままバンド演奏に持ち込んでも、ダメなんえすね。それぞれが他のメンバーの演奏を意識し、全体のアンサンブルを考えながら演奏しないと、見事にバラバラになってしまいます。
コーチングでは、クライアントの視点を移動させるために、さまざまな質問を繰り出します。たとえば、狭くなりがちな視野からクライアントを解放し、自分を客体視させつつ、全体像を俯瞰する視点へ導くことで、気づきが生まれたりします。
経営コンサルティングでも、コンサルタントは社外の専門家という立場で、企業の全体最適の観点から、アドバイスを行ないます。社内の利害から離れた第三者ならではの視点を提供するわけです。
いずれのケースも、いかに「全体」を眺めることが大切かを物語っているといえます。「部分最適は全体最適にあらず」とは、よく言われることです。特に組織のリーダーなら、常に全体最適の発想で、メンバーを動かしていくことが求められますね。
4月16日付けの日経産業新聞に、三菱重工の新人技術者教育についての記事が掲載されています。同社では、「販売や保守点検まで目配りできる視野の広いエンジニア」の育成を目指しているのだそうです。
同社の技術研修所の田口俊夫所長によれば、「大学で特定の研究に専念してきた新人技術者は『部分最適に陥りがち』」。そこで三菱重工では、新人技術者の研修メニューを変更し、「学んでいなかった知識や苦手とするテーマを重点的に学べるようになった」そうです。
人材教育にあっては、目指すべき人材像を明確にする必要があります。三菱重工では、そのような人材を「企業技術者」と呼び、「作りやすく、売りやすく、使いやすく、保守点検しやすい製品を生みだせる」ことを求めています。
従来の組織の考え方では、全体最適を図るべきことは自明としつつ、それを実現するのは、リーダーによる指示命令に依存する割合が高かったように思います。
全体最適が実現しなければ、メンバーを上手く使いこなせなかったという理由でリーダーが責められ、メンバーには責任がない、という考え方です。ですが今や、各メンバーもまた、全体最適を考えることが求められるようになったわけです。
冒頭に述べたバンドのケースと同様で、メンバー個々が全体を見渡すことができていなければ、組織としての全体最適は実現しません。リーダーの役割は、メンバーに対して、全体を見渡す機会を提供し、自らの役割を自律的に果たすのを促すことです。オーケストラの指揮者は、そのような役割を果たしているのでしょう。
一緒に仕事をする場合でも、全体最適の視点を持っている相手とは、心地よくご一緒できます。誰でもそう感じると思うのですが、自分の利益ばかり主張する方は、ご遠慮願いたいところです。
記事の三菱重工の場合、体系的な教育により「企業技術者」を育成していくわけですが、制度はともかく、自社の従業員が同様の視点を持てているか、常々チェックし、必要なら改善・改革していくことが大切です。
その際、特に重要なのは、リーダーの認識です。メンバーを「部分最適」の集合体、すなわち「部品」とみなしていては、「全体最適」を実現することは、至難の業となるでしょう。
リーダーはメンバーを、単なる「部品」ではなく、自律的に「全体最適」を追求する存在だととらえる必要があります。だからこそ、「部分」としてのふさわしい働きができるのです。
【今日の教訓】
あなたの企業の従業員には、「全体最適」の視点で仕事を行なえるような環境が与えられているだろうか。リーダーだけが孤軍奮闘しても、部下の視点が「部分」のみにとらわれていては、「全体最適」の実現は困難だ。部下は「部品」ではない。自律的に「全体最適」を追求する存在だととらえよう。
<参考:日経産業新聞 2009.04.16【18面】>
2009年04月09日
「付録」が大人気のアラサー女性誌
先日の当ブログでは、タクシー会社の「生活支援サービス業」への取り組みについての記事を取り上げました。この記事に関連し、セルフイメージを変えることの意義について述べました。
嬉しいことに、ブログの内容に「感動した」とのメールをいただきました。明確なセルフイメージを描くことや、それを変革することの重要性を、ご理解いただいていらっしゃるのでしょう。ありがとうございます。
とは言え、実のところ、セルフイメージが「独りよがり」では困るということもあります。企業の場合は特に、顧客や市場からどのようなイメージで見られているか、常に意識しておく必要があるからです。
顧客や市場が自社に抱くイメージについては、それが肯定的なものであればあるほど、変えることにはリスクを伴います。「そんな風に見られたくない!」というプライドは、まさに「独りよがり」なのです。
4月9日付けの日経産業新聞に、「30歳前後のアラサー女性誌分野でトップの発行部数を誇る」という「Sweet(スウィート)」という雑誌についての記事が掲載されています。
記事によれば、「11日に発売する5月号は過去最高の60万5千部を発行し、4月号の46万部から急伸する」というから、スゴいです。この人気の秘密は「付録にある」のだそうです。
5月号の付録は「Cher」のトートとポーチのセット。私にはよくわからない世界なのですが、基本的には「バッグ類が人気」だそうです。「どのブランドと組むかで買い手の反応が変わる」とか。
要するに、雑誌としての「企画の内容よりも付録の存在」の魅力が、発行部数に直結しているわけです。それが読者に支持されているのです。既にそのイメージも確立されているのでしょう。
ですが、発行部数が伸びるのはよいものの、「雑誌を作る者として読者を付録で釣るうしろめたさがあった」そうです。そこで付録を外した号を発行したこともあるのですが、「見事に売れなかった」とは・・。
雑誌として「こうありたい」と描いたセルフイメージは、市場に受け入れられなかったというわけですね。今ではもう「吹っ切れた」そうで、「本の作り手にありがちなプライドは捨てている」とのことです。
価値観の問題でもあるので、市場に抱かれているイメージに迎合することが常に正解だとは言いません。ですが、セルフイメージとのギャップがあれば、それなりの結果しか出ないということは、覚悟しなければなりません。それが厳しい現実です。
市場が自社に抱いているポジティブなイメージは、市場に認められた「強み」だと認識すべきでしょう。「選択と集中」の原則からすれば、「強み」をさらに磨きあげていくことが、戦略的には正解となります。
この記事のケースのように、付録の魅力が発行部数を押し上げていることを知りつつ、「確信犯」的に付録を外したのであれば、すぐに修正がききます。
ですが、恐ろしいのは、市場とのイメージのギャップに気づかないケースです。「強み」を勘違いし、全く間違った方向へと経営資源を集中投下してしまうことになるからです。
顧客の声に耳を傾けることは、そのような「勘違い」をしないためにも重要ですね。「なぜ、他社からではなく、わざわざわが社から買ってくれるのか」。簡単な質問ですが、まずはこれを顧客に投げかけてみることをしてはいかがでしょうか。
【今日の教訓】
あなたが自社に対して抱くセルフイメージは、市場・顧客が描くイメージと一致しているだろうか。間違った方向へ努力することをしないように、顧客の声に耳を傾けてみよう。とんでもない「勘違い」をしているかも知れない。
<参考:日経産業新聞 2009.04.09【6面】>
嬉しいことに、ブログの内容に「感動した」とのメールをいただきました。明確なセルフイメージを描くことや、それを変革することの重要性を、ご理解いただいていらっしゃるのでしょう。ありがとうございます。
とは言え、実のところ、セルフイメージが「独りよがり」では困るということもあります。企業の場合は特に、顧客や市場からどのようなイメージで見られているか、常に意識しておく必要があるからです。
顧客や市場が自社に抱くイメージについては、それが肯定的なものであればあるほど、変えることにはリスクを伴います。「そんな風に見られたくない!」というプライドは、まさに「独りよがり」なのです。
4月9日付けの日経産業新聞に、「30歳前後のアラサー女性誌分野でトップの発行部数を誇る」という「Sweet(スウィート)」という雑誌についての記事が掲載されています。
記事によれば、「11日に発売する5月号は過去最高の60万5千部を発行し、4月号の46万部から急伸する」というから、スゴいです。この人気の秘密は「付録にある」のだそうです。
5月号の付録は「Cher」のトートとポーチのセット。私にはよくわからない世界なのですが、基本的には「バッグ類が人気」だそうです。「どのブランドと組むかで買い手の反応が変わる」とか。
要するに、雑誌としての「企画の内容よりも付録の存在」の魅力が、発行部数に直結しているわけです。それが読者に支持されているのです。既にそのイメージも確立されているのでしょう。
ですが、発行部数が伸びるのはよいものの、「雑誌を作る者として読者を付録で釣るうしろめたさがあった」そうです。そこで付録を外した号を発行したこともあるのですが、「見事に売れなかった」とは・・。
雑誌として「こうありたい」と描いたセルフイメージは、市場に受け入れられなかったというわけですね。今ではもう「吹っ切れた」そうで、「本の作り手にありがちなプライドは捨てている」とのことです。
価値観の問題でもあるので、市場に抱かれているイメージに迎合することが常に正解だとは言いません。ですが、セルフイメージとのギャップがあれば、それなりの結果しか出ないということは、覚悟しなければなりません。それが厳しい現実です。
市場が自社に抱いているポジティブなイメージは、市場に認められた「強み」だと認識すべきでしょう。「選択と集中」の原則からすれば、「強み」をさらに磨きあげていくことが、戦略的には正解となります。
この記事のケースのように、付録の魅力が発行部数を押し上げていることを知りつつ、「確信犯」的に付録を外したのであれば、すぐに修正がききます。
ですが、恐ろしいのは、市場とのイメージのギャップに気づかないケースです。「強み」を勘違いし、全く間違った方向へと経営資源を集中投下してしまうことになるからです。
顧客の声に耳を傾けることは、そのような「勘違い」をしないためにも重要ですね。「なぜ、他社からではなく、わざわざわが社から買ってくれるのか」。簡単な質問ですが、まずはこれを顧客に投げかけてみることをしてはいかがでしょうか。
【今日の教訓】
あなたが自社に対して抱くセルフイメージは、市場・顧客が描くイメージと一致しているだろうか。間違った方向へ努力することをしないように、顧客の声に耳を傾けてみよう。とんでもない「勘違い」をしているかも知れない。
<参考:日経産業新聞 2009.04.09【6面】>
2009年04月08日
なぜアフターフォローが大事なのか。
人口が減少へと向かっている時代は、既存顧客をリピーター(得意客)化することが大切です。アフターフォローを熱心に行なうことで、反復購買へとつなげ、長期間でみた顧客単価を最大化できるからです。
自動車であれば、買い替え時期を逃さないためにも、顧客との関係は維持しておきたいものです。住宅も、リフォームなどの需要取り込みのために、しっかりと囲っておきたいことでしょう。
4月8日付けの日経MJ(流通新聞)に、「明治安田生命保険が元気だ」という記事が掲載されています。「2008年度の新規契約年換算保険料は2年ぶりに前年度を上回ったもよう」だそうです。
その要因として記事は、「新規契約の獲得より、既存顧客のアフターフォローを重視したことが結果的に契約者増につながった」ことだとしている。既存顧客のアフターフォローは、契約を維持するためと考えられがちだが、実際には新規契約が生まれているという点が興味深いです。
要は、「顧客の満足度が高ければ家族や知人、友人などへの紹介が自然と増え」るということのようです。記事によれば、保険の営業職員の場合、「契約数に応じて給料が決まる歩合給では新規契約の獲得に意識が向きがち」となってしまいます。
ですが、「急がば回れ」です。「優秀な営業職員はすでに契約をしている既存顧客を大切にする」とのこと。それが結果として、新規顧客の紹介に結びつくわけです。
明治安田生命保険の場合、「営業職員約3万人のうち優秀な上位20~25%の行動様式を調べ」、その結果から得られた「共通項」が、アフターフォローだったのです。
アフターフォローが大切だということは、観念的には誰もが理解していることでしょう。とは言え、それが新規契約につながるということまでは、認識していのではないでしょうか。記事自体、「意外な共通項」と表現しています。
必ずしも明確な差別化ポイントがみられない、保険という商品の特性も影響しているのでしょうが、いずれにしろ、優秀な営業職員の行動様式という客観的データから導き出された結論だから、説得力があります。
アフターフォローの重要性を理解させるだけでなく、実際に行動を起こさせることが、さらに大切だと言えます。そこで明治安田生命では、「安心サービス活動制度」を実施しています。
これは、「営業職員に期待する標準的なアフターサービスを明確にし、実践状況をポイント化して評価する」というもので、しっかりとフォローすればするほどポイントが付与される仕組みになっています。
月に獲得すべきポイント数が決まっているので、客観的に測定でき、強制力もあります。「仕組み」とは、このようなことですね。アフター
フォローをしっかりしろと、口で言うだけでは不十分なのです。
さらに、「社内教育検定制度」を実施し、自信を持ってアフターフォローに出向くための条件を整備しています。アフターフォローという戦略、「安心サービス活動制度」、「社内教育検定制度」のいずれも、数値の裏付けや基準に拠るもので、理詰めの施策です。
この仕組みが完全無欠なものとは言いいませんが、方針を具現化していくために、お題目を唱えるだけでなく、打つべき手はしっかり打っているという点は、見習いたいところです。
【今日の教訓】
あなたの企業では、自社の戦略を決定し、それを実現するために、どのような手を打っているだろうか。数字による裏付けや行動基準を明確に設定しているだろうか。本気で戦略を実現したいのなら、徹底的に理詰めで考え、手を打っていこう。
<参考:日経MJ(流通新聞) 2009.04.08【3面】>
自動車であれば、買い替え時期を逃さないためにも、顧客との関係は維持しておきたいものです。住宅も、リフォームなどの需要取り込みのために、しっかりと囲っておきたいことでしょう。
4月8日付けの日経MJ(流通新聞)に、「明治安田生命保険が元気だ」という記事が掲載されています。「2008年度の新規契約年換算保険料は2年ぶりに前年度を上回ったもよう」だそうです。
その要因として記事は、「新規契約の獲得より、既存顧客のアフターフォローを重視したことが結果的に契約者増につながった」ことだとしている。既存顧客のアフターフォローは、契約を維持するためと考えられがちだが、実際には新規契約が生まれているという点が興味深いです。
要は、「顧客の満足度が高ければ家族や知人、友人などへの紹介が自然と増え」るということのようです。記事によれば、保険の営業職員の場合、「契約数に応じて給料が決まる歩合給では新規契約の獲得に意識が向きがち」となってしまいます。
ですが、「急がば回れ」です。「優秀な営業職員はすでに契約をしている既存顧客を大切にする」とのこと。それが結果として、新規顧客の紹介に結びつくわけです。
明治安田生命保険の場合、「営業職員約3万人のうち優秀な上位20~25%の行動様式を調べ」、その結果から得られた「共通項」が、アフターフォローだったのです。
アフターフォローが大切だということは、観念的には誰もが理解していることでしょう。とは言え、それが新規契約につながるということまでは、認識していのではないでしょうか。記事自体、「意外な共通項」と表現しています。
必ずしも明確な差別化ポイントがみられない、保険という商品の特性も影響しているのでしょうが、いずれにしろ、優秀な営業職員の行動様式という客観的データから導き出された結論だから、説得力があります。
アフターフォローの重要性を理解させるだけでなく、実際に行動を起こさせることが、さらに大切だと言えます。そこで明治安田生命では、「安心サービス活動制度」を実施しています。
これは、「営業職員に期待する標準的なアフターサービスを明確にし、実践状況をポイント化して評価する」というもので、しっかりとフォローすればするほどポイントが付与される仕組みになっています。
月に獲得すべきポイント数が決まっているので、客観的に測定でき、強制力もあります。「仕組み」とは、このようなことですね。アフター
フォローをしっかりしろと、口で言うだけでは不十分なのです。
さらに、「社内教育検定制度」を実施し、自信を持ってアフターフォローに出向くための条件を整備しています。アフターフォローという戦略、「安心サービス活動制度」、「社内教育検定制度」のいずれも、数値の裏付けや基準に拠るもので、理詰めの施策です。
この仕組みが完全無欠なものとは言いいませんが、方針を具現化していくために、お題目を唱えるだけでなく、打つべき手はしっかり打っているという点は、見習いたいところです。
【今日の教訓】
あなたの企業では、自社の戦略を決定し、それを実現するために、どのような手を打っているだろうか。数字による裏付けや行動基準を明確に設定しているだろうか。本気で戦略を実現したいのなら、徹底的に理詰めで考え、手を打っていこう。
<参考:日経MJ(流通新聞) 2009.04.08【3面】>
2009年04月06日
視点が変われば、行動も変わる。
コーチングの事業への取り組みを始めてから、8年以上になります。なぜコーチが必要なのか。さまざまな理由がありますが、「自分一人では出来ないことがあるから」ということも、一つの模範解答でしょう。
ごくわかりやすい例で言えば、自分の背中についたゴミは、自分では気づかないものです。気づかなくて当たり前ですよね。ですので、コーチを雇う必要があるのは、クライアントに欠陥があるからだと考えなくてよいのです。
立場が変われば、視点も変わるので、見えるものが違ってきます。コーチを雇うことで、別の視点を得ることができます。それが実に貴重なのです。
企業がコンサルタントを雇うのも、外部の専門家たる第三者の視点で自社をみて欲しいという動機があったりします。社内のさまざまなしがらみから自由であることが、コンサルタントの強みだと言えるでしょう。
もちろん、コンサルタントの目に何が映ろうと、最終的に意思決定を下すのは、トップの仕事です。また、企業を改革していくには、トップダウンで進めなければならないことが多いものです。
4月6日付けの日経MJ(流通新聞)に、「イオンは衣料品や食品など、取扱商品の品目数を4割削減する計画だ」という記事が掲載されています。
記事は、品目数を削減を妨げるさまざまな要因を述べ、そして最後に、「難題の克服はトップの裁量に左右される。岡田元也社長の陣頭指揮による迅速な改革が求められている」と結んでいます。
品目数を削減するメリットについて、記事は、「一品当たりの販売数量が増え、仕入価格が下がる。作業効率が改善され、生産性が向上する」と解説しています。
さらに、「イオン以外の総合スーパーや百貨店でも過去、何度も叫ばれてきた。だが、思うようには進んでいない」とも指摘しています。要因として、バイヤーの縄張り意識などが挙げられています。
バイヤーには、会社の方針とは別の論理が働いているわけですね。「立場が変われば視点も変わる」とは、このようなことでしょう。だからこそ、それを超越した「トップの裁量」が必要となるわけです。
これは、検事や弁護士が裁判官を兼務しないのと同じことです。兼任させておきながら判決結果を批判しても、どうにもなりません。仕組みを変えなくてはならないのですから。
記事はその点について、バイヤー数を減らすことと、「売上高だけでなく粗利(または営業利益)でも管理することが肝心だ」と指摘しています。これは、バイヤーの視点を変える方策だと言えるでしょう。
視点が変われば、行動が変わります。今まで見えていなかったものが見えるようになり、それが「気づき」を生むからです。「気づき」を得ずして、人はなかなか、行動を改めるものではありません。
「トップの裁量」は、どこに視点を向けよ、と示すことに発揮されます。品目数の削減は「結果」に過ぎず、それを達成するために必要なのは、その結果に至るプロセスを変えることであり、それには視点の移動が必要だからなのです。
【今日の教訓】
あなたは経営者として、自社の従業員の視点をどこに導いているだろうか。今までとは異なる方針を徹底したいと思うのなら、視点を変えることを促す必要がある。それを実現するために、経営者としてのリーダーシップを発揮しよう。
<参考:日経MJ(流通新聞) 2009.04.06【3面】>
ごくわかりやすい例で言えば、自分の背中についたゴミは、自分では気づかないものです。気づかなくて当たり前ですよね。ですので、コーチを雇う必要があるのは、クライアントに欠陥があるからだと考えなくてよいのです。
立場が変われば、視点も変わるので、見えるものが違ってきます。コーチを雇うことで、別の視点を得ることができます。それが実に貴重なのです。
企業がコンサルタントを雇うのも、外部の専門家たる第三者の視点で自社をみて欲しいという動機があったりします。社内のさまざまなしがらみから自由であることが、コンサルタントの強みだと言えるでしょう。
もちろん、コンサルタントの目に何が映ろうと、最終的に意思決定を下すのは、トップの仕事です。また、企業を改革していくには、トップダウンで進めなければならないことが多いものです。
4月6日付けの日経MJ(流通新聞)に、「イオンは衣料品や食品など、取扱商品の品目数を4割削減する計画だ」という記事が掲載されています。
記事は、品目数を削減を妨げるさまざまな要因を述べ、そして最後に、「難題の克服はトップの裁量に左右される。岡田元也社長の陣頭指揮による迅速な改革が求められている」と結んでいます。
品目数を削減するメリットについて、記事は、「一品当たりの販売数量が増え、仕入価格が下がる。作業効率が改善され、生産性が向上する」と解説しています。
さらに、「イオン以外の総合スーパーや百貨店でも過去、何度も叫ばれてきた。だが、思うようには進んでいない」とも指摘しています。要因として、バイヤーの縄張り意識などが挙げられています。
バイヤーには、会社の方針とは別の論理が働いているわけですね。「立場が変われば視点も変わる」とは、このようなことでしょう。だからこそ、それを超越した「トップの裁量」が必要となるわけです。
これは、検事や弁護士が裁判官を兼務しないのと同じことです。兼任させておきながら判決結果を批判しても、どうにもなりません。仕組みを変えなくてはならないのですから。
記事はその点について、バイヤー数を減らすことと、「売上高だけでなく粗利(または営業利益)でも管理することが肝心だ」と指摘しています。これは、バイヤーの視点を変える方策だと言えるでしょう。
視点が変われば、行動が変わります。今まで見えていなかったものが見えるようになり、それが「気づき」を生むからです。「気づき」を得ずして、人はなかなか、行動を改めるものではありません。
「トップの裁量」は、どこに視点を向けよ、と示すことに発揮されます。品目数の削減は「結果」に過ぎず、それを達成するために必要なのは、その結果に至るプロセスを変えることであり、それには視点の移動が必要だからなのです。
【今日の教訓】
あなたは経営者として、自社の従業員の視点をどこに導いているだろうか。今までとは異なる方針を徹底したいと思うのなら、視点を変えることを促す必要がある。それを実現するために、経営者としてのリーダーシップを発揮しよう。
<参考:日経MJ(流通新聞) 2009.04.06【3面】>
2009年04月02日
まずはセルフイメージを変えること。
売上を拡大するために、新規事業の開発・立ち上げや、新商品の投入に積極的に取り組む企業は多いですね。その際、自社を俯瞰して眺めてみるとよいと思います。
要は、自社はいったい「何屋」なのか、という話です。目先の売上を追求し、がむしゃらに新規事業・新商品への取り組みを進めていくと、自社はいったい「何屋」なのか、わからなくなってきたりします。
逆に、自社が「何屋」であるかを先に定義し、その上で、だからこのような事業を立ち上げ、商品をリリースする必要がある、と考えていく企業もあります。
後者のような経営の方が、より戦略的と言えるわけですが、前者のようなやり方でも、取り組みを進めていくにつれ、「定義」の必要性に目覚めていくことになります。
4月2日付けの日本経済新聞に、「都内タクシー中堅のANZENGroupは4月、タクシーで生活支援サービス事業に参入する」という記事が掲載されています。
具体的には、「乗務員が消費者の用事を代行する9種類の『サービスタクシー』を始める」のだそうです。記事は、例として、病院の予約代行、薬の代理受け取り、高齢者の安否確認といったサービスを紹介しています。
背景には「都内のタクシーの利用離れ」があり、「競争が激しいため、新サービスで差異化を狙う」意図に基づきます。単純な新規事業というより、タクシー会社とは「何屋」なのか、その定義まで踏み込む取り組みとして受け止める必要がありそうです。
記事によれば、「こうした支援サービスを展開するタクシー会社は郊外や地方がほとんどだった」そうです。都内のタクシー会社もそれらを手掛けるとなると、タクシーというもののイメージも、大きく変わってくるでしょう。
タクシーを、運送業ではなくサービス業ととらえ、業界に新風を巻き起こしたタクシー会社がありました。これも「定義」の変更に相当しますが、ビジネスモデルそのものが変わるわけではありません。
「生活支援サービス業」として運賃以外の収益を獲得するようになれば、それはビジネスモデルそのものの変革になります。昔ながらのタクシーのイメージとは、大きく異なります。
変化に対応し、自らも変わらなければ、生き残れない。よく言われることです。きっかけは、景気や時流といった外的要因かも知れませんが、変革の真の原動力は、自社の事業領域を「再定義」することにある。
個人レベルで言えば、「セルフイメージ」を変えるということになるだでしょうか。セルフイメージが変われば、どのように行動を変えるべきかも、わかってきます。
このような変革は、実は至るところで起きています。たとえば本日付けの日経によれば、文部科学省は、図書館司書の養成課程を大幅に見直し、「ネット時代の図書館司書を育てる」ことに取り組むのだそうです。背景として、タクシーと同様、図書館の役割の変革があります。
※2009年4月2日付け日本経済新聞朝刊34面より
新規事業や新商品・新サービスを生む源泉は、本来、自社事業の定義、ひいてはセルフイメージにあります。アイデアが出ないとすれば、旧来のセルフイメージにとらわれているからかも知れません。
【今日の教訓】
あなたの企業は、どのようなセルフイメージを持っているだろうか。そのイメージは、時代の変化に耐え得るものだろうか。新たなセルフイメージを確立すれば、時流に乗った、さまざまな事業・商品・サービスを生み出す原動力となる。自社はいったい「何屋」なのか、再定義することから始めてみよう。
<参考:日本経済新聞 2009.04.02【10面】>
要は、自社はいったい「何屋」なのか、という話です。目先の売上を追求し、がむしゃらに新規事業・新商品への取り組みを進めていくと、自社はいったい「何屋」なのか、わからなくなってきたりします。
逆に、自社が「何屋」であるかを先に定義し、その上で、だからこのような事業を立ち上げ、商品をリリースする必要がある、と考えていく企業もあります。
後者のような経営の方が、より戦略的と言えるわけですが、前者のようなやり方でも、取り組みを進めていくにつれ、「定義」の必要性に目覚めていくことになります。
4月2日付けの日本経済新聞に、「都内タクシー中堅のANZENGroupは4月、タクシーで生活支援サービス事業に参入する」という記事が掲載されています。
具体的には、「乗務員が消費者の用事を代行する9種類の『サービスタクシー』を始める」のだそうです。記事は、例として、病院の予約代行、薬の代理受け取り、高齢者の安否確認といったサービスを紹介しています。
背景には「都内のタクシーの利用離れ」があり、「競争が激しいため、新サービスで差異化を狙う」意図に基づきます。単純な新規事業というより、タクシー会社とは「何屋」なのか、その定義まで踏み込む取り組みとして受け止める必要がありそうです。
記事によれば、「こうした支援サービスを展開するタクシー会社は郊外や地方がほとんどだった」そうです。都内のタクシー会社もそれらを手掛けるとなると、タクシーというもののイメージも、大きく変わってくるでしょう。
タクシーを、運送業ではなくサービス業ととらえ、業界に新風を巻き起こしたタクシー会社がありました。これも「定義」の変更に相当しますが、ビジネスモデルそのものが変わるわけではありません。
「生活支援サービス業」として運賃以外の収益を獲得するようになれば、それはビジネスモデルそのものの変革になります。昔ながらのタクシーのイメージとは、大きく異なります。
変化に対応し、自らも変わらなければ、生き残れない。よく言われることです。きっかけは、景気や時流といった外的要因かも知れませんが、変革の真の原動力は、自社の事業領域を「再定義」することにある。
個人レベルで言えば、「セルフイメージ」を変えるということになるだでしょうか。セルフイメージが変われば、どのように行動を変えるべきかも、わかってきます。
このような変革は、実は至るところで起きています。たとえば本日付けの日経によれば、文部科学省は、図書館司書の養成課程を大幅に見直し、「ネット時代の図書館司書を育てる」ことに取り組むのだそうです。背景として、タクシーと同様、図書館の役割の変革があります。
※2009年4月2日付け日本経済新聞朝刊34面より
新規事業や新商品・新サービスを生む源泉は、本来、自社事業の定義、ひいてはセルフイメージにあります。アイデアが出ないとすれば、旧来のセルフイメージにとらわれているからかも知れません。
【今日の教訓】
あなたの企業は、どのようなセルフイメージを持っているだろうか。そのイメージは、時代の変化に耐え得るものだろうか。新たなセルフイメージを確立すれば、時流に乗った、さまざまな事業・商品・サービスを生み出す原動力となる。自社はいったい「何屋」なのか、再定義することから始めてみよう。
<参考:日本経済新聞 2009.04.02【10面】>
2009年04月02日
レバレッジを効かせるマーケティング
人口が増えない、むしろ減少する時代にあっては、顧客数の増加は期待しにくくなります。となると顧客単価を上昇させる仕組みをつくりたいところです。
顧客との付き合い方は、特定商品の購買という「点」ではなく、生涯にわたり連続的に購買を促す「線」の状態にすることが必要です。さらに、口コミを起こして「面」にまで出来れば理想的です。
「線」を志向する場合は、出来る限り長く引っ張りたいものです。そのためには、「起点」をなるべく早い時期に押さえることが重要となります。「線」の長さは無限ではありません。
具体的に言えば、顧客が消費者だとすれば、なるべく若い時期に顧客化し、生涯にわたり、商品を購買してもらうようにします。企業相手なら、設立当初から付き合い、企業規模の拡大に伴い、取引規模も大きくしていきたいですね。
4月1日付けの日経MJ(流通新聞)に、ライオンのしわ取りスプレー「スタイルガード」についての記事が掲載されています。「大学4年生など就職活動中の学生を対象にした販促を実施する」のだそうです。
「身だしなみのアドバイスやスタイルガードの情報などを載せた冊子のほか、試供品を配る」とのことです。狙いは、「しわ取りスプレーの便利さを訴え、社会人になっても使い続けてもらえるようにする」ことです。
最初の「刷り込み」が重要ということなのでしょう。日常的にスーツを着始める就職活動の時期を押さえれば、その後、40年程度にわたり顧客になる可能性があるわけです。金額換算で考えれば、販促投資の効果は、極めて大きいとみることができます。
そもそも「スタイルガード」のような商品は、どのように認知されるのでしょうか。テレビCMや店頭販促で目にするのかも知れません。ですが、関心を持たない限り、たとえ目に見えていても、特に気にとめないことでしょう。
その点、就職活動中の学生となれば、身だしなみや印象を気にすることから、関心が高まっていると考えられます。身だしなみをアドバイスする冊子を配るとなれば、熱心に目を通すに違いありません。
「点」ではなく、「線」や「面」での展開が重要だということは、よく指摘されることです。「線」で展開するのなら、「起点」を押さえることです。「起点」を押さえれば、「線」を長く押さえることができ、結果として「面」の最大化も期待できます。
「起点」を押さえることは、主導権を握ることにもつながります。ビジネスでは「上流」を押さえよと言われることがよくありますが、「上流」の行き着く先は、まさに「起点」です。
資源の重点配分の点でも、「起点」を押さえるのは賢明です。先述のように、40年にわたって効果が持続するのなら、最大限のレバレッジを効かせることができるからです。
顧客ターゲットをどう設定するかは、マーケティング上の重要なテーマです。選定基準の一つとして、線の「起点」を狙うという観点は、欠かせませんね。
【今日の教訓】
あなたの企業では、顧客ターゲットをどのように設定しているだろうか。「線」そして「面」での付き合いをしていくことが求められているとすれば、最大のレバレッジを得られる「起点」を狙うことを忘れてはならない。
<参考:日経MJ(流通新聞) 2009.04.01【6面】>
顧客との付き合い方は、特定商品の購買という「点」ではなく、生涯にわたり連続的に購買を促す「線」の状態にすることが必要です。さらに、口コミを起こして「面」にまで出来れば理想的です。
「線」を志向する場合は、出来る限り長く引っ張りたいものです。そのためには、「起点」をなるべく早い時期に押さえることが重要となります。「線」の長さは無限ではありません。
具体的に言えば、顧客が消費者だとすれば、なるべく若い時期に顧客化し、生涯にわたり、商品を購買してもらうようにします。企業相手なら、設立当初から付き合い、企業規模の拡大に伴い、取引規模も大きくしていきたいですね。
4月1日付けの日経MJ(流通新聞)に、ライオンのしわ取りスプレー「スタイルガード」についての記事が掲載されています。「大学4年生など就職活動中の学生を対象にした販促を実施する」のだそうです。
「身だしなみのアドバイスやスタイルガードの情報などを載せた冊子のほか、試供品を配る」とのことです。狙いは、「しわ取りスプレーの便利さを訴え、社会人になっても使い続けてもらえるようにする」ことです。
最初の「刷り込み」が重要ということなのでしょう。日常的にスーツを着始める就職活動の時期を押さえれば、その後、40年程度にわたり顧客になる可能性があるわけです。金額換算で考えれば、販促投資の効果は、極めて大きいとみることができます。
そもそも「スタイルガード」のような商品は、どのように認知されるのでしょうか。テレビCMや店頭販促で目にするのかも知れません。ですが、関心を持たない限り、たとえ目に見えていても、特に気にとめないことでしょう。
その点、就職活動中の学生となれば、身だしなみや印象を気にすることから、関心が高まっていると考えられます。身だしなみをアドバイスする冊子を配るとなれば、熱心に目を通すに違いありません。
「点」ではなく、「線」や「面」での展開が重要だということは、よく指摘されることです。「線」で展開するのなら、「起点」を押さえることです。「起点」を押さえれば、「線」を長く押さえることができ、結果として「面」の最大化も期待できます。
「起点」を押さえることは、主導権を握ることにもつながります。ビジネスでは「上流」を押さえよと言われることがよくありますが、「上流」の行き着く先は、まさに「起点」です。
資源の重点配分の点でも、「起点」を押さえるのは賢明です。先述のように、40年にわたって効果が持続するのなら、最大限のレバレッジを効かせることができるからです。
顧客ターゲットをどう設定するかは、マーケティング上の重要なテーマです。選定基準の一つとして、線の「起点」を狙うという観点は、欠かせませんね。
【今日の教訓】
あなたの企業では、顧客ターゲットをどのように設定しているだろうか。「線」そして「面」での付き合いをしていくことが求められているとすれば、最大のレバレッジを得られる「起点」を狙うことを忘れてはならない。
<参考:日経MJ(流通新聞) 2009.04.01【6面】>