【残念なお知らせ】諸般の事情により、クォーター大阪暮らしは2009年11月末をもって終了することとなりました。これまでのご愛顧に心より感謝申し上げます。今後はこちらのブログで記事を提供してまいります。よろしくお願いします。
2009年04月02日
まずはセルフイメージを変えること。
売上を拡大するために、新規事業の開発・立ち上げや、新商品の投入に積極的に取り組む企業は多いですね。その際、自社を俯瞰して眺めてみるとよいと思います。
要は、自社はいったい「何屋」なのか、という話です。目先の売上を追求し、がむしゃらに新規事業・新商品への取り組みを進めていくと、自社はいったい「何屋」なのか、わからなくなってきたりします。
逆に、自社が「何屋」であるかを先に定義し、その上で、だからこのような事業を立ち上げ、商品をリリースする必要がある、と考えていく企業もあります。
後者のような経営の方が、より戦略的と言えるわけですが、前者のようなやり方でも、取り組みを進めていくにつれ、「定義」の必要性に目覚めていくことになります。
4月2日付けの日本経済新聞に、「都内タクシー中堅のANZENGroupは4月、タクシーで生活支援サービス事業に参入する」という記事が掲載されています。
具体的には、「乗務員が消費者の用事を代行する9種類の『サービスタクシー』を始める」のだそうです。記事は、例として、病院の予約代行、薬の代理受け取り、高齢者の安否確認といったサービスを紹介しています。
背景には「都内のタクシーの利用離れ」があり、「競争が激しいため、新サービスで差異化を狙う」意図に基づきます。単純な新規事業というより、タクシー会社とは「何屋」なのか、その定義まで踏み込む取り組みとして受け止める必要がありそうです。
記事によれば、「こうした支援サービスを展開するタクシー会社は郊外や地方がほとんどだった」そうです。都内のタクシー会社もそれらを手掛けるとなると、タクシーというもののイメージも、大きく変わってくるでしょう。
タクシーを、運送業ではなくサービス業ととらえ、業界に新風を巻き起こしたタクシー会社がありました。これも「定義」の変更に相当しますが、ビジネスモデルそのものが変わるわけではありません。
「生活支援サービス業」として運賃以外の収益を獲得するようになれば、それはビジネスモデルそのものの変革になります。昔ながらのタクシーのイメージとは、大きく異なります。
変化に対応し、自らも変わらなければ、生き残れない。よく言われることです。きっかけは、景気や時流といった外的要因かも知れませんが、変革の真の原動力は、自社の事業領域を「再定義」することにある。
個人レベルで言えば、「セルフイメージ」を変えるということになるだでしょうか。セルフイメージが変われば、どのように行動を変えるべきかも、わかってきます。
このような変革は、実は至るところで起きています。たとえば本日付けの日経によれば、文部科学省は、図書館司書の養成課程を大幅に見直し、「ネット時代の図書館司書を育てる」ことに取り組むのだそうです。背景として、タクシーと同様、図書館の役割の変革があります。
※2009年4月2日付け日本経済新聞朝刊34面より
新規事業や新商品・新サービスを生む源泉は、本来、自社事業の定義、ひいてはセルフイメージにあります。アイデアが出ないとすれば、旧来のセルフイメージにとらわれているからかも知れません。
【今日の教訓】
あなたの企業は、どのようなセルフイメージを持っているだろうか。そのイメージは、時代の変化に耐え得るものだろうか。新たなセルフイメージを確立すれば、時流に乗った、さまざまな事業・商品・サービスを生み出す原動力となる。自社はいったい「何屋」なのか、再定義することから始めてみよう。
<参考:日本経済新聞 2009.04.02【10面】>
要は、自社はいったい「何屋」なのか、という話です。目先の売上を追求し、がむしゃらに新規事業・新商品への取り組みを進めていくと、自社はいったい「何屋」なのか、わからなくなってきたりします。
逆に、自社が「何屋」であるかを先に定義し、その上で、だからこのような事業を立ち上げ、商品をリリースする必要がある、と考えていく企業もあります。
後者のような経営の方が、より戦略的と言えるわけですが、前者のようなやり方でも、取り組みを進めていくにつれ、「定義」の必要性に目覚めていくことになります。
4月2日付けの日本経済新聞に、「都内タクシー中堅のANZENGroupは4月、タクシーで生活支援サービス事業に参入する」という記事が掲載されています。
具体的には、「乗務員が消費者の用事を代行する9種類の『サービスタクシー』を始める」のだそうです。記事は、例として、病院の予約代行、薬の代理受け取り、高齢者の安否確認といったサービスを紹介しています。
背景には「都内のタクシーの利用離れ」があり、「競争が激しいため、新サービスで差異化を狙う」意図に基づきます。単純な新規事業というより、タクシー会社とは「何屋」なのか、その定義まで踏み込む取り組みとして受け止める必要がありそうです。
記事によれば、「こうした支援サービスを展開するタクシー会社は郊外や地方がほとんどだった」そうです。都内のタクシー会社もそれらを手掛けるとなると、タクシーというもののイメージも、大きく変わってくるでしょう。
タクシーを、運送業ではなくサービス業ととらえ、業界に新風を巻き起こしたタクシー会社がありました。これも「定義」の変更に相当しますが、ビジネスモデルそのものが変わるわけではありません。
「生活支援サービス業」として運賃以外の収益を獲得するようになれば、それはビジネスモデルそのものの変革になります。昔ながらのタクシーのイメージとは、大きく異なります。
変化に対応し、自らも変わらなければ、生き残れない。よく言われることです。きっかけは、景気や時流といった外的要因かも知れませんが、変革の真の原動力は、自社の事業領域を「再定義」することにある。
個人レベルで言えば、「セルフイメージ」を変えるということになるだでしょうか。セルフイメージが変われば、どのように行動を変えるべきかも、わかってきます。
このような変革は、実は至るところで起きています。たとえば本日付けの日経によれば、文部科学省は、図書館司書の養成課程を大幅に見直し、「ネット時代の図書館司書を育てる」ことに取り組むのだそうです。背景として、タクシーと同様、図書館の役割の変革があります。
※2009年4月2日付け日本経済新聞朝刊34面より
新規事業や新商品・新サービスを生む源泉は、本来、自社事業の定義、ひいてはセルフイメージにあります。アイデアが出ないとすれば、旧来のセルフイメージにとらわれているからかも知れません。
【今日の教訓】
あなたの企業は、どのようなセルフイメージを持っているだろうか。そのイメージは、時代の変化に耐え得るものだろうか。新たなセルフイメージを確立すれば、時流に乗った、さまざまな事業・商品・サービスを生み出す原動力となる。自社はいったい「何屋」なのか、再定義することから始めてみよう。
<参考:日本経済新聞 2009.04.02【10面】>
2009年04月02日
レバレッジを効かせるマーケティング
人口が増えない、むしろ減少する時代にあっては、顧客数の増加は期待しにくくなります。となると顧客単価を上昇させる仕組みをつくりたいところです。
顧客との付き合い方は、特定商品の購買という「点」ではなく、生涯にわたり連続的に購買を促す「線」の状態にすることが必要です。さらに、口コミを起こして「面」にまで出来れば理想的です。
「線」を志向する場合は、出来る限り長く引っ張りたいものです。そのためには、「起点」をなるべく早い時期に押さえることが重要となります。「線」の長さは無限ではありません。
具体的に言えば、顧客が消費者だとすれば、なるべく若い時期に顧客化し、生涯にわたり、商品を購買してもらうようにします。企業相手なら、設立当初から付き合い、企業規模の拡大に伴い、取引規模も大きくしていきたいですね。
4月1日付けの日経MJ(流通新聞)に、ライオンのしわ取りスプレー「スタイルガード」についての記事が掲載されています。「大学4年生など就職活動中の学生を対象にした販促を実施する」のだそうです。
「身だしなみのアドバイスやスタイルガードの情報などを載せた冊子のほか、試供品を配る」とのことです。狙いは、「しわ取りスプレーの便利さを訴え、社会人になっても使い続けてもらえるようにする」ことです。
最初の「刷り込み」が重要ということなのでしょう。日常的にスーツを着始める就職活動の時期を押さえれば、その後、40年程度にわたり顧客になる可能性があるわけです。金額換算で考えれば、販促投資の効果は、極めて大きいとみることができます。
そもそも「スタイルガード」のような商品は、どのように認知されるのでしょうか。テレビCMや店頭販促で目にするのかも知れません。ですが、関心を持たない限り、たとえ目に見えていても、特に気にとめないことでしょう。
その点、就職活動中の学生となれば、身だしなみや印象を気にすることから、関心が高まっていると考えられます。身だしなみをアドバイスする冊子を配るとなれば、熱心に目を通すに違いありません。
「点」ではなく、「線」や「面」での展開が重要だということは、よく指摘されることです。「線」で展開するのなら、「起点」を押さえることです。「起点」を押さえれば、「線」を長く押さえることができ、結果として「面」の最大化も期待できます。
「起点」を押さえることは、主導権を握ることにもつながります。ビジネスでは「上流」を押さえよと言われることがよくありますが、「上流」の行き着く先は、まさに「起点」です。
資源の重点配分の点でも、「起点」を押さえるのは賢明です。先述のように、40年にわたって効果が持続するのなら、最大限のレバレッジを効かせることができるからです。
顧客ターゲットをどう設定するかは、マーケティング上の重要なテーマです。選定基準の一つとして、線の「起点」を狙うという観点は、欠かせませんね。
【今日の教訓】
あなたの企業では、顧客ターゲットをどのように設定しているだろうか。「線」そして「面」での付き合いをしていくことが求められているとすれば、最大のレバレッジを得られる「起点」を狙うことを忘れてはならない。
<参考:日経MJ(流通新聞) 2009.04.01【6面】>
顧客との付き合い方は、特定商品の購買という「点」ではなく、生涯にわたり連続的に購買を促す「線」の状態にすることが必要です。さらに、口コミを起こして「面」にまで出来れば理想的です。
「線」を志向する場合は、出来る限り長く引っ張りたいものです。そのためには、「起点」をなるべく早い時期に押さえることが重要となります。「線」の長さは無限ではありません。
具体的に言えば、顧客が消費者だとすれば、なるべく若い時期に顧客化し、生涯にわたり、商品を購買してもらうようにします。企業相手なら、設立当初から付き合い、企業規模の拡大に伴い、取引規模も大きくしていきたいですね。
4月1日付けの日経MJ(流通新聞)に、ライオンのしわ取りスプレー「スタイルガード」についての記事が掲載されています。「大学4年生など就職活動中の学生を対象にした販促を実施する」のだそうです。
「身だしなみのアドバイスやスタイルガードの情報などを載せた冊子のほか、試供品を配る」とのことです。狙いは、「しわ取りスプレーの便利さを訴え、社会人になっても使い続けてもらえるようにする」ことです。
最初の「刷り込み」が重要ということなのでしょう。日常的にスーツを着始める就職活動の時期を押さえれば、その後、40年程度にわたり顧客になる可能性があるわけです。金額換算で考えれば、販促投資の効果は、極めて大きいとみることができます。
そもそも「スタイルガード」のような商品は、どのように認知されるのでしょうか。テレビCMや店頭販促で目にするのかも知れません。ですが、関心を持たない限り、たとえ目に見えていても、特に気にとめないことでしょう。
その点、就職活動中の学生となれば、身だしなみや印象を気にすることから、関心が高まっていると考えられます。身だしなみをアドバイスする冊子を配るとなれば、熱心に目を通すに違いありません。
「点」ではなく、「線」や「面」での展開が重要だということは、よく指摘されることです。「線」で展開するのなら、「起点」を押さえることです。「起点」を押さえれば、「線」を長く押さえることができ、結果として「面」の最大化も期待できます。
「起点」を押さえることは、主導権を握ることにもつながります。ビジネスでは「上流」を押さえよと言われることがよくありますが、「上流」の行き着く先は、まさに「起点」です。
資源の重点配分の点でも、「起点」を押さえるのは賢明です。先述のように、40年にわたって効果が持続するのなら、最大限のレバレッジを効かせることができるからです。
顧客ターゲットをどう設定するかは、マーケティング上の重要なテーマです。選定基準の一つとして、線の「起点」を狙うという観点は、欠かせませんね。
【今日の教訓】
あなたの企業では、顧客ターゲットをどのように設定しているだろうか。「線」そして「面」での付き合いをしていくことが求められているとすれば、最大のレバレッジを得られる「起点」を狙うことを忘れてはならない。
<参考:日経MJ(流通新聞) 2009.04.01【6面】>