【残念なお知らせ】諸般の事情により、クォーター大阪暮らしは2009年11月末をもって終了することとなりました。これまでのご愛顧に心より感謝申し上げます。今後はこちらのブログで記事を提供してまいります。よろしくお願いします。
2009年01月27日
検索エンジン対策依存は終わるか?
若い頃、ガールフレンドと一緒に映画を観るのは、あまり好きではありませんでした。映画を観るという作業そのものは、一人で出来ることです。わざわざ二人でやる必要はないでしょう。
特に、若い二人なら、二人でしかできない、やりたいことがあるはずではないか! と思ったりしたものです(何を想像しましたか?)。とは言え、年齢が高くなるにつれ、二人で映画を観ることの良さもわかってきました。
同じ映画を観て、感動を共有するのは、すばらしいことです。映画の後の食事も、それで話が弾みます。(もっとも、評価が分かれて関係が険悪になってしまった経験もあるのですが・・)
感動を共有することも含め、何か共通点があると、人間同士は親しくなりやすいものです。出身地が同じ、といったことでも、それを知るのと知らないのとでは、親しくなりやすさに、だいぶ違いがあるように思います。
1月27日付けの日経産業新聞に、「ネットベンチャーのクラウドロイド(東京・渋谷、吉田秀史社長)は、新型の交流サービスを開発した」という記事が掲載されています。
「スピーキー」という名前のサービスで、「同じウェブサイトを見ている登録会員を閲覧ソフト(ブラウザー)の端に表示。会員間でチャット形式のやりとりができる」のだそうです。
「動画視聴や物品販売など同一サイトを見ている会員同士、共通の話題が見つけやすく会話が弾むという」。同じサイトを閲覧しているという「共通点」が、見知らぬ同士を引き寄せ合うわけです。
スピーキーは、専用ソフトをダウンロードして使います。ログインすると、アバター(ネット上の分身)が表示されます。チャットができるだけでなく、「利用者同士が連れ立って別のサイトに移動する機能も搭載」しているそうです。
利用は無料ですが、専用画面にバナー広告を表示して収益を上げるモデルです。「会員属性やサイト閲覧履歴などに応じて効率的な広告を表示できる」、いわゆる行動ターゲティング広告の手法が使われます。
他にも同様のサービスがあり、「昨年夏に準備版を開設したウェブリンは、早くも200万人の登録者を獲得」しているそうです。広告モデルはまだ確立しているとは言えず、「異業種と提携して活用方法を模索している」段階だそうですが。
いずれにしろ、何か「共通点」を軸にすることで、交流チャンスが生まれるという原理が働いています。ビジネスの観点で見れば、交流は口コミのチャンスでもあります。
スピーキーの場合、「会員の閲覧履歴が蓄積される」ので、「このサイトを見ている人はこんなサイトも見ています」といった推薦機能も備わります。好みが共通している相手を介し、今まで知らなかったサイトをみつけることもできるわけです。
サイト運営者にしてみれば、自サイトが閲覧される可能性が広がります。とは言え逆に、自サイトからライバルサイトに閲覧者が流れる可能性も増大します。検索エンジン経由でサイトがアクセスされるのを「縦糸」だとすれば、スピーキーのようなサービスを経由する場合は「横糸」だと言えるでしょう。
従来の「横糸」は、リンクを貼るかどうか、サイト運営者の裁量に任されていましたが、そうも行かなくなってきます。利用者にとっては便利なことですが、サイト間の比較・競争は、縦糸・横糸の両面で行なわれるようになります。
それはすなわち、優勝劣敗が、よりはっきりするようになるということです。淘汰の波が押し寄せ、「本物」だけが生き残ります。サイトの選別が、「縦糸」である検索エンジン任せでなくなれば、ネット上での競争のルールも、現在とは変わらざるを得なくなるでしょうね。
【今日の教訓】
あなたの企業では、サイト閲覧者の行動をどこまで把握しているだろうか。スピーキーやウェブリンのようなサービスが普及すれば、他の誰を連れてきてくれるかまで把握することが必要となる。淘汰の波を勝ち残る策を、今のうちから考えておこう。
<参考:日経産業新聞 2009.01.27【3面】>
特に、若い二人なら、二人でしかできない、やりたいことがあるはずではないか! と思ったりしたものです(何を想像しましたか?)。とは言え、年齢が高くなるにつれ、二人で映画を観ることの良さもわかってきました。
同じ映画を観て、感動を共有するのは、すばらしいことです。映画の後の食事も、それで話が弾みます。(もっとも、評価が分かれて関係が険悪になってしまった経験もあるのですが・・)
感動を共有することも含め、何か共通点があると、人間同士は親しくなりやすいものです。出身地が同じ、といったことでも、それを知るのと知らないのとでは、親しくなりやすさに、だいぶ違いがあるように思います。
1月27日付けの日経産業新聞に、「ネットベンチャーのクラウドロイド(東京・渋谷、吉田秀史社長)は、新型の交流サービスを開発した」という記事が掲載されています。
「スピーキー」という名前のサービスで、「同じウェブサイトを見ている登録会員を閲覧ソフト(ブラウザー)の端に表示。会員間でチャット形式のやりとりができる」のだそうです。
「動画視聴や物品販売など同一サイトを見ている会員同士、共通の話題が見つけやすく会話が弾むという」。同じサイトを閲覧しているという「共通点」が、見知らぬ同士を引き寄せ合うわけです。
スピーキーは、専用ソフトをダウンロードして使います。ログインすると、アバター(ネット上の分身)が表示されます。チャットができるだけでなく、「利用者同士が連れ立って別のサイトに移動する機能も搭載」しているそうです。
利用は無料ですが、専用画面にバナー広告を表示して収益を上げるモデルです。「会員属性やサイト閲覧履歴などに応じて効率的な広告を表示できる」、いわゆる行動ターゲティング広告の手法が使われます。
他にも同様のサービスがあり、「昨年夏に準備版を開設したウェブリンは、早くも200万人の登録者を獲得」しているそうです。広告モデルはまだ確立しているとは言えず、「異業種と提携して活用方法を模索している」段階だそうですが。
いずれにしろ、何か「共通点」を軸にすることで、交流チャンスが生まれるという原理が働いています。ビジネスの観点で見れば、交流は口コミのチャンスでもあります。
スピーキーの場合、「会員の閲覧履歴が蓄積される」ので、「このサイトを見ている人はこんなサイトも見ています」といった推薦機能も備わります。好みが共通している相手を介し、今まで知らなかったサイトをみつけることもできるわけです。
サイト運営者にしてみれば、自サイトが閲覧される可能性が広がります。とは言え逆に、自サイトからライバルサイトに閲覧者が流れる可能性も増大します。検索エンジン経由でサイトがアクセスされるのを「縦糸」だとすれば、スピーキーのようなサービスを経由する場合は「横糸」だと言えるでしょう。
従来の「横糸」は、リンクを貼るかどうか、サイト運営者の裁量に任されていましたが、そうも行かなくなってきます。利用者にとっては便利なことですが、サイト間の比較・競争は、縦糸・横糸の両面で行なわれるようになります。
それはすなわち、優勝劣敗が、よりはっきりするようになるということです。淘汰の波が押し寄せ、「本物」だけが生き残ります。サイトの選別が、「縦糸」である検索エンジン任せでなくなれば、ネット上での競争のルールも、現在とは変わらざるを得なくなるでしょうね。
【今日の教訓】
あなたの企業では、サイト閲覧者の行動をどこまで把握しているだろうか。スピーキーやウェブリンのようなサービスが普及すれば、他の誰を連れてきてくれるかまで把握することが必要となる。淘汰の波を勝ち残る策を、今のうちから考えておこう。
<参考:日経産業新聞 2009.01.27【3面】>
2009年01月27日
「ライフスタイルノート」、やってますか?
映画「レッドクリフ」の公開、大ヒットで「三国志」への注目が高まっているようですね。「三国志」のファンになれば、中国全般の歴史への興味もわいてきます。
そこで私も、司馬遷の「史記」を読み始めてみました。「三国志」よりも前の時代の中国の歴史で、「項羽と劉邦」で知られます。紀元前200年頃の歴史ですから、よくぞ記録してくれていたものだと思います。
「史記」の解説によれば、「1750年までに中国語で出版された図書の数は、世界中の他の言語で書かれた図書全部よりも多かった」のだそうです。(アメリカの中国学者ジョン・フェアバンクによる)
もちろん、それらの多くは歴史書です。中国人の「記録オタク」ぶりは大変なものだと言えるでしょうか。そのお陰で現代人のわれわれも、古代史をよく知ることができます。
たとえば、「三国志(正史)」にある「魏志倭人伝」には、弥生時代後半における日本の状況が記されています。この記録がなければ、「卑弥呼」の存在を知ることは、できなかったのです。
1月26日付けの日経MJ(流通新聞)に「『ライフスタイルノート』と呼ばれるノートの愛用者が増えている」という記事が掲載されています。
「町歩きで発見したこと、食べた料理のレシピ、子供の成長記録」など、「日記とは異なり、特定のテーマに沿って愛用の一冊に書き留めていく」のだそうです。「記録すること」の魅力は、古代も今も変わらないようですね。
ライフスタイルノートの人気の背景には、昨今の「手帳ブーム」があると考えられています。記事は、「スケジュールがびっしり書き込まれた手帳に追われるのではなく、自分の趣味や個性を発揮できる自由な1冊を持ちたい。心にゆとりある豊かな生活を送りたいという心理が、ライフスタ
イルノート人気を支えているようだ」と解説しています。手帳とライフスタイルノートを対比するのは、興味深いです。
手帳は主に、将来のスケジュールを管理するために使われます。しかしライフスタイルノートは、過去の体験を記録するものであり、対象となる時間軸が異なります。
では、過去の体験を記録することで、なぜ「心にゆとりある豊かな生活」が実現すると考えるのでしょうか。そのような生活を実現するのなら、将来へ向けての計画を手帳に書いていった方が良さそうにも思えます。
実際の作業としては、不確実な将来よりも、確定した過去を記すことの方が簡単でしょう。そして実際、過去の記録は、将来に非常に役立ちます。だからこそ、歴史記録は重要とされるわけです。
たとえば、食事をすべて記録するという「レコーディングダイエット」なる方法があります。将来へ向けて体重を減らすように管理するのが目的でありながら、作業そのものは、過去実績を記録するだけです。それがダイエット効果につながります。
ビジネスにおいても、過去の記録は非常に重要です。事業の履歴は自社の強み・弱みを知り、将来戦略を立てる上での「根拠資料」となり得ます。将来を見据えることは大切ですが、過去の資産を無視することは、砂上の楼閣を夢見るのに近いでしょう。
将来が不確実である一方、過去からの蓄積は確実に存在します。ライフスタイルノートに記録を記していくことは、自分だけのオリジナルなノートが出来上がることのほかに、その確実さから来る安心感が魅力ではないかと思います。
しっかりと大地に根を張った、自分の人生の歩みを認識できるツールであり、結果として「心にゆとりある豊かな生活」を実感することができるというわけです。
【今日の教訓】
あなたは、自分自身の人生の歩みを記録し、その蓄積を実感することができているだろうか。過去なくして現在の自分はないし、それが将来へ与える影響を避けることもできない。企業経営においても、過去からの自社の歩みについて、良いことも悪いことも、目をそむけずに、しっかりと見つめることが大切だ。将来へ向けての戦略のヒントも、そこに見出すことができるはずだ。
<参考:日経MJ(流通)新聞 2009.01.26【20面】>
そこで私も、司馬遷の「史記」を読み始めてみました。「三国志」よりも前の時代の中国の歴史で、「項羽と劉邦」で知られます。紀元前200年頃の歴史ですから、よくぞ記録してくれていたものだと思います。
「史記」の解説によれば、「1750年までに中国語で出版された図書の数は、世界中の他の言語で書かれた図書全部よりも多かった」のだそうです。(アメリカの中国学者ジョン・フェアバンクによる)
もちろん、それらの多くは歴史書です。中国人の「記録オタク」ぶりは大変なものだと言えるでしょうか。そのお陰で現代人のわれわれも、古代史をよく知ることができます。
たとえば、「三国志(正史)」にある「魏志倭人伝」には、弥生時代後半における日本の状況が記されています。この記録がなければ、「卑弥呼」の存在を知ることは、できなかったのです。
1月26日付けの日経MJ(流通新聞)に「『ライフスタイルノート』と呼ばれるノートの愛用者が増えている」という記事が掲載されています。
「町歩きで発見したこと、食べた料理のレシピ、子供の成長記録」など、「日記とは異なり、特定のテーマに沿って愛用の一冊に書き留めていく」のだそうです。「記録すること」の魅力は、古代も今も変わらないようですね。
ライフスタイルノートの人気の背景には、昨今の「手帳ブーム」があると考えられています。記事は、「スケジュールがびっしり書き込まれた手帳に追われるのではなく、自分の趣味や個性を発揮できる自由な1冊を持ちたい。心にゆとりある豊かな生活を送りたいという心理が、ライフスタ
イルノート人気を支えているようだ」と解説しています。手帳とライフスタイルノートを対比するのは、興味深いです。
手帳は主に、将来のスケジュールを管理するために使われます。しかしライフスタイルノートは、過去の体験を記録するものであり、対象となる時間軸が異なります。
では、過去の体験を記録することで、なぜ「心にゆとりある豊かな生活」が実現すると考えるのでしょうか。そのような生活を実現するのなら、将来へ向けての計画を手帳に書いていった方が良さそうにも思えます。
実際の作業としては、不確実な将来よりも、確定した過去を記すことの方が簡単でしょう。そして実際、過去の記録は、将来に非常に役立ちます。だからこそ、歴史記録は重要とされるわけです。
たとえば、食事をすべて記録するという「レコーディングダイエット」なる方法があります。将来へ向けて体重を減らすように管理するのが目的でありながら、作業そのものは、過去実績を記録するだけです。それがダイエット効果につながります。
ビジネスにおいても、過去の記録は非常に重要です。事業の履歴は自社の強み・弱みを知り、将来戦略を立てる上での「根拠資料」となり得ます。将来を見据えることは大切ですが、過去の資産を無視することは、砂上の楼閣を夢見るのに近いでしょう。
将来が不確実である一方、過去からの蓄積は確実に存在します。ライフスタイルノートに記録を記していくことは、自分だけのオリジナルなノートが出来上がることのほかに、その確実さから来る安心感が魅力ではないかと思います。
しっかりと大地に根を張った、自分の人生の歩みを認識できるツールであり、結果として「心にゆとりある豊かな生活」を実感することができるというわけです。
【今日の教訓】
あなたは、自分自身の人生の歩みを記録し、その蓄積を実感することができているだろうか。過去なくして現在の自分はないし、それが将来へ与える影響を避けることもできない。企業経営においても、過去からの自社の歩みについて、良いことも悪いことも、目をそむけずに、しっかりと見つめることが大切だ。将来へ向けての戦略のヒントも、そこに見出すことができるはずだ。
<参考:日経MJ(流通)新聞 2009.01.26【20面】>
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