【残念なお知らせ】諸般の事情により、クォーター大阪暮らしは2009年11月末をもって終了することとなりました。これまでのご愛顧に心より感謝申し上げます。今後はこちらのブログで記事を提供してまいります。よろしくお願いします。
2009年01月28日
表に出てこない不満はどうやって察知しますか?
不況がいよいよひどくなり、経済対策の有効性には疑問が呈されています。特効薬となる妙案はないのかも知れませんが、失業などで苦しむ国民の気持ちを、為政者が理解していないのではという不満も多いのだと思います。
歴史をひもとけば、仁徳天皇は、人家のかまどから炊煙が立ち上っていないのに気づき、租税を免除したという話が伝わっています。その間、自らは倹約に努めたそうです。
かまどの煙の有無を見ただけで、民衆の苦労を「察知」する為政者をいただくことは、国民にとって幸福なことだと思います。昨今の政治状況と比較し、溜息をつきたくもなります。
一つの事象を見て、何に気づくことができるか、その感性が求められるのは、政治もビジネスも同じことでしょう。ビジネスであれば、それがチャンスに直結します。
1月28日付けの日経産業新聞に、「段ボール箱にひもなどを自動で結ぶ梱包用装置のトップメーカー」である「ストラパック」という会社についての記事が掲載されています。
同社がトップメーカーとなった契機は、1974年に「油のいらない新製品」を開発したことだそうです。油が装置に付着することで、梱包対象となる段ボールに油が染み込むという問題を解決したのです。
そして、業界トップを維持するために、製品開発に力を入れてきています。顧客からのクレームに対応するのはもちろんのこと、「表に出てきにくい裏の不満」を「察知」する仕組みを持っているところがすごいです。
まず、クレームについては「クレーム書」に書面化し、「見える化」します。これは、わかりやすいですね。そして、「表に出てきにくい裏の不満はスペア部品を基準に探る」のだそうです。
具体的には、「スペア部品の出荷量から一番多いものに注目」し、「頻繁に部品が交換される=耐久性や利便性の問題が隠れている」と判断するわけです。
このような推定は、ストラパック社や仁徳天皇ならずとも、気のきいた人なら、日頃から行なっているでしょう。とは言え、指摘されてはじめて「なるほど」と思わされたりもします。
要は、先述のとおり、一つの事象を見て、そのような推定ができる感性を持ち合わせているかどうかということです。この考え方は、いわゆる「先行指標」で市場動向を予測するのと同じです。
民が貧しいから炊煙が立たない、耐久性に問題があるから部品交換が頻繁に起こる、という具合に、原因と結果の関係を見抜く力は、ビジネスで役立ちます。
ストラパックの取り組みの場合、問題を「発見」する感性・意識についても見習いたいところです。部品交換をすれば、メーカーとしての義務は果たしたことになるでしょう。しかし、それで済ませては進歩がありません。その感性を磨く必要があるのです。
たとえば、「問い合わせ」には回答すれば、事が済みます。ですが、説明が不足していることへの「クレーム」だと解釈すれば、受け止め方も対応も、大きく変わるはずです。「問い合わせ」を手間を惜しみ、去ってしまった見込み客は多いかも知れないのです。
【今日の教訓】
あなたの企業では、隠れて見えない問題を発見する仕組みを持っているだろうか。原因と結果の関係を見抜く感性があれば、そのような問題でも発見することができる。今一度、身の回りで起こっている事象をよく吟味してみよう。
<参考:日経産業新聞 2009.01.28【19面】>
歴史をひもとけば、仁徳天皇は、人家のかまどから炊煙が立ち上っていないのに気づき、租税を免除したという話が伝わっています。その間、自らは倹約に努めたそうです。
かまどの煙の有無を見ただけで、民衆の苦労を「察知」する為政者をいただくことは、国民にとって幸福なことだと思います。昨今の政治状況と比較し、溜息をつきたくもなります。
一つの事象を見て、何に気づくことができるか、その感性が求められるのは、政治もビジネスも同じことでしょう。ビジネスであれば、それがチャンスに直結します。
1月28日付けの日経産業新聞に、「段ボール箱にひもなどを自動で結ぶ梱包用装置のトップメーカー」である「ストラパック」という会社についての記事が掲載されています。
同社がトップメーカーとなった契機は、1974年に「油のいらない新製品」を開発したことだそうです。油が装置に付着することで、梱包対象となる段ボールに油が染み込むという問題を解決したのです。
そして、業界トップを維持するために、製品開発に力を入れてきています。顧客からのクレームに対応するのはもちろんのこと、「表に出てきにくい裏の不満」を「察知」する仕組みを持っているところがすごいです。
まず、クレームについては「クレーム書」に書面化し、「見える化」します。これは、わかりやすいですね。そして、「表に出てきにくい裏の不満はスペア部品を基準に探る」のだそうです。
具体的には、「スペア部品の出荷量から一番多いものに注目」し、「頻繁に部品が交換される=耐久性や利便性の問題が隠れている」と判断するわけです。
このような推定は、ストラパック社や仁徳天皇ならずとも、気のきいた人なら、日頃から行なっているでしょう。とは言え、指摘されてはじめて「なるほど」と思わされたりもします。
要は、先述のとおり、一つの事象を見て、そのような推定ができる感性を持ち合わせているかどうかということです。この考え方は、いわゆる「先行指標」で市場動向を予測するのと同じです。
民が貧しいから炊煙が立たない、耐久性に問題があるから部品交換が頻繁に起こる、という具合に、原因と結果の関係を見抜く力は、ビジネスで役立ちます。
ストラパックの取り組みの場合、問題を「発見」する感性・意識についても見習いたいところです。部品交換をすれば、メーカーとしての義務は果たしたことになるでしょう。しかし、それで済ませては進歩がありません。その感性を磨く必要があるのです。
たとえば、「問い合わせ」には回答すれば、事が済みます。ですが、説明が不足していることへの「クレーム」だと解釈すれば、受け止め方も対応も、大きく変わるはずです。「問い合わせ」を手間を惜しみ、去ってしまった見込み客は多いかも知れないのです。
【今日の教訓】
あなたの企業では、隠れて見えない問題を発見する仕組みを持っているだろうか。原因と結果の関係を見抜く感性があれば、そのような問題でも発見することができる。今一度、身の回りで起こっている事象をよく吟味してみよう。
<参考:日経産業新聞 2009.01.28【19面】>