【残念なお知らせ】諸般の事情により、クォーター大阪暮らしは2009年11月末をもって終了することとなりました。これまでのご愛顧に心より感謝申し上げます。今後はこちらのブログで記事を提供してまいります。よろしくお願いします。
2009年05月18日
ルミネが10期連続で増収増益-強み・弱みの「編集の妙」
「強み」に集中することが、競争における鉄則だと言われます。ですが、あまり「強み」にとらわれていると、環境の変化により、それが「弱み」となってしまうケースもあります。
そのため、新たな「強み」をつくるべく、既存の「強み」を磨くことを疎かにしてしまうことで、どちらも中途半端になってしまうケースもあります(トホホ)。経営とは、なかなか一筋縄ではいかないものです。
ポイントは、「強み」が本物かどうかですね。「強み」にとらわれ過ぎて失敗するケースがあるとすれば、実はそれは本物の「強み」ではないということになるでしょう。
先述のとおり、何が「強み」となり得るかは、環境変化に大きく影響されます。つまり、時代の要請に合致した「強み」を築けていないと、やはり競争には勝てないということです。
5月18日付けの日経MJ(流通新聞)に、「百貨店やスーパーの苦戦を尻目に、ルミネは2009年3月期も増収増益を確保した」という記事が掲載されています。
ルミネと言えば、新宿駅の駅ビル。小売業であれば、極めて有利な立地のはずです。ところが記事は、「10期連続の増収増益を達成したルミネを『立地に恵まれているから』と決めつけていたらそれは間違い」と断じています。
駅直結であることは「強み」のはずなのですが、ルミネの花崎淑夫社長によれば、「面積は狭く、思うように商業施設のインフラも整備できない」とのこと。この立地は、「強み」ではなく「弱み」だという認識のようです。
店舗の大型化が進む中、確かにルミネの新宿店(主力店)は狭いです。高島屋新宿店や伊勢丹新宿本店と比べれば、1/3の規模です。そして、「駅ビルの宿命として大規模改装も難しい」。
この「弱み」を認識した上でとった施策は、顧客対象を絞ることでした。「新宿駅の乗降客は老若男女だが、ルミネは若い男女を切り取った」と記事は解説しています。
「立地」「品揃え」「従業員の接客」のいずれも、小売業なら「強み」となり得ます。しかし競合環境を考えれば、どれも一様に重要だというわけではありません。この場合、「立地」だけを「強み」としていたのでは、とても生き残れないということだったのでしょう。
駅ビルを経営する鉄道会社の経営特性について、記事は次のように指摘しています。「顧客の絞り込みの必要のない鉄道会社。あるのは大人と子供料金の二つ。料金は決められた距離で設定される」。
多様な顧客ニーズに対応しなければならない小売業とは、まったく文化が異なりますね。そのためか、1991年に誕生して以来、ルミネは「1999年3月期まで減収が続」いたそうです。小売業に取り組むには、企業体質は「弱み」となっていたわけです。
しかし一方、鉄道会社は「安全と無事故、それに時間厳守」、「いろいろな職場が連携し大原則のために細心の注意を払う」、さらには方針を「一気通貫で現場まで行きわたらせる力」に優れています。このような企業体質は「強み」として生かせます。
今やルミネは「各テナントが一体化して相乗効果を発揮できる編集の妙」(花崎社長)が「強み」だと言えるほどになっています。「強み」と「弱み」を認識し、それを再編成したことで、全体としての競争力を確保した格好となります。
どの企業にも、「強み」と「弱み」はあるでしょう。競争の環境により、勝つために求められる「強み」も変わってきます。また現実には、「強み」にも「弱み」にもなり得る企業の特性というものもあります。
ルミネの売り場の「編集の妙」もさることながら、企業の特性を踏まえた「強み」「弱み」についての「編集の妙」にも、注目すべきでしょう。
【今日の教訓】
あなたの企業の特性は、どのように自社の「強み」「弱み」に影響を与えているだろうか。真に求められる「強み」を磨き上げていくために、経営資源をどのように配分するのがベストか、考えてみよう。経営資源の「編集の妙」を発揮すべく、じっくり検討をしよう。
<参考:日経MJ(流通新聞) 2009.05.18【1・3面】>
そのため、新たな「強み」をつくるべく、既存の「強み」を磨くことを疎かにしてしまうことで、どちらも中途半端になってしまうケースもあります(トホホ)。経営とは、なかなか一筋縄ではいかないものです。
ポイントは、「強み」が本物かどうかですね。「強み」にとらわれ過ぎて失敗するケースがあるとすれば、実はそれは本物の「強み」ではないということになるでしょう。
先述のとおり、何が「強み」となり得るかは、環境変化に大きく影響されます。つまり、時代の要請に合致した「強み」を築けていないと、やはり競争には勝てないということです。
5月18日付けの日経MJ(流通新聞)に、「百貨店やスーパーの苦戦を尻目に、ルミネは2009年3月期も増収増益を確保した」という記事が掲載されています。
ルミネと言えば、新宿駅の駅ビル。小売業であれば、極めて有利な立地のはずです。ところが記事は、「10期連続の増収増益を達成したルミネを『立地に恵まれているから』と決めつけていたらそれは間違い」と断じています。
駅直結であることは「強み」のはずなのですが、ルミネの花崎淑夫社長によれば、「面積は狭く、思うように商業施設のインフラも整備できない」とのこと。この立地は、「強み」ではなく「弱み」だという認識のようです。
店舗の大型化が進む中、確かにルミネの新宿店(主力店)は狭いです。高島屋新宿店や伊勢丹新宿本店と比べれば、1/3の規模です。そして、「駅ビルの宿命として大規模改装も難しい」。
この「弱み」を認識した上でとった施策は、顧客対象を絞ることでした。「新宿駅の乗降客は老若男女だが、ルミネは若い男女を切り取った」と記事は解説しています。
「立地」「品揃え」「従業員の接客」のいずれも、小売業なら「強み」となり得ます。しかし競合環境を考えれば、どれも一様に重要だというわけではありません。この場合、「立地」だけを「強み」としていたのでは、とても生き残れないということだったのでしょう。
駅ビルを経営する鉄道会社の経営特性について、記事は次のように指摘しています。「顧客の絞り込みの必要のない鉄道会社。あるのは大人と子供料金の二つ。料金は決められた距離で設定される」。
多様な顧客ニーズに対応しなければならない小売業とは、まったく文化が異なりますね。そのためか、1991年に誕生して以来、ルミネは「1999年3月期まで減収が続」いたそうです。小売業に取り組むには、企業体質は「弱み」となっていたわけです。
しかし一方、鉄道会社は「安全と無事故、それに時間厳守」、「いろいろな職場が連携し大原則のために細心の注意を払う」、さらには方針を「一気通貫で現場まで行きわたらせる力」に優れています。このような企業体質は「強み」として生かせます。
今やルミネは「各テナントが一体化して相乗効果を発揮できる編集の妙」(花崎社長)が「強み」だと言えるほどになっています。「強み」と「弱み」を認識し、それを再編成したことで、全体としての競争力を確保した格好となります。
どの企業にも、「強み」と「弱み」はあるでしょう。競争の環境により、勝つために求められる「強み」も変わってきます。また現実には、「強み」にも「弱み」にもなり得る企業の特性というものもあります。
ルミネの売り場の「編集の妙」もさることながら、企業の特性を踏まえた「強み」「弱み」についての「編集の妙」にも、注目すべきでしょう。
【今日の教訓】
あなたの企業の特性は、どのように自社の「強み」「弱み」に影響を与えているだろうか。真に求められる「強み」を磨き上げていくために、経営資源をどのように配分するのがベストか、考えてみよう。経営資源の「編集の妙」を発揮すべく、じっくり検討をしよう。
<参考:日経MJ(流通新聞) 2009.05.18【1・3面】>