【残念なお知らせ】諸般の事情により、クォーター大阪暮らしは2009年11月末をもって終了することとなりました。これまでのご愛顧に心より感謝申し上げます。今後はこちらのブログで記事を提供してまいります。よろしくお願いします。
2009年06月29日
ネット対戦型ボウリングが人気
6/10に大阪での開催からスタートした『新聞記事で鍛える【超】ビジネス発想力強化セミナー』は、先週金曜日に5箇所目の名古屋で開催し、無事終えることができました。
セミナーの中で、特に強調させていただいたのは、日経記事に掲載されている各企業の施策は、どのような発想から生まれたのかを、自ら考えてみるということです。
発想のプロセスを解明し、それを自らなぞることができれば、自分自身の仕事にも応用できます。日経記事には、その「発想のプロセス」が記されているケースが多いので、非常に助かります。
6月29日付けの日経MJ(流通新聞)に、「遊技施設運営のラウンドワンが昨年8月から導入したネット対戦形式で行うボウリングの利用が好調だ」という記事が掲載されています。
この「ネット対戦ボウリング」は、「全国のラウンドワンの店舗で同時にプレーしている人」が対戦相手となります。スコアのアベレージで対戦相手が自動的に選ばれるので、レベルが同程度で、楽しめます。
記事によれば、「一人でも気軽に同じレベルの相手と対戦できることで、繰り返し利用する人が多く、リピート率は25日現在で70%に達している」そうです。登録会員数が85万人を超えているというから、大成功と評価してよいでしょう。
このアイデアの元について、記事は「開発のきっかけはラウンドワンの中にあるゲームコーナー」だとしています。「ネット対戦を取り入れていたゲーム機器からヒントを得た」ことで、ボウリングのネット対戦を実現しました。
ネット対戦型ゲームの仕組みをボウリングに取り入れたものだということは、記事の指摘を待たずともわかりやすいですね。ですが、記事にしっかりと書いてあると、安心します。
何か新しい取り組みが始まったことが記事で報道された場合、なぜもっと早くそうしなかったのか、についても考えてみるとよいでしょう。そのことについては、記事の解説がないと、わかりにくいかも知れません。
記事は「ボウリングはグループで楽しむものという既成概念にとらわれず1人プレーの仕組みをつくれば、同じような市場はあるとの仮説を立てた」としています。
ゲームをやるなら、一人でやるよりも、誰かと対戦した方がおもしろい。だからこそ、対戦型に価値があります。ですがボウリングは、そもそもグループで楽しむものだから、ネット対戦する意味がありません。それが既成概念だということです。
では、この既成概念は、どのように打ち破られたのでしょうか。世の中全般に、「お一人様」市場が注目されていることがあります。一人でボウリングを楽しみたい人は、きっと多いはず、と推測できたのかも知れません。
とは言え、顧客データを分析し、実際に一人でボウリングをしている人が多いかどうかは、確かめにくかったかのではないでしょうか。ネット
対戦ボウリングのサービスが生まれるまで、その市場は顕在化しなかったからです。
冒頭で述べたセミナーで、ある参加者の方から、記事を読み取る感性を鍛えるにはどうしたらよいか、という質問がありました。その際、記事の文章の一言一句まで、こだわりながら読むことだ、と回答させていただきました。
今回の記事では、「仮説を立てた」という表現が使われています。既に1人プレーの市場が拡大しているのであれば、「仮設」という表現は使わないでしょう。市場が拡大(顕在化)している場合、ネット対戦は、1人プレーする人たちへの付加サービスに過ぎなくなってしまいます。
ネット対戦ゲームが支持されるなら、ネット対戦ボウリングも支持されるはず。そのような仮説が、見事的中したのです。ネット対戦ゲームが存在したからこそ、ネット対戦ボウリングというアイデアも浮かび、成功する確率は高いと読んだわけですね。
では、もし、ネット対戦ゲームが普及しないまま、いきなりネット対戦ボウリングが登場したらどうでしょうか。利用者は戸惑ったのではないでしょうか。ネット対戦ゲームという下地があってこそのネット対戦ボウリングなのだと思います。
そうだとすると、新聞報道などをきっかけに、類似他業界の仕組みを真似るというのは、ゼロからオリジナルなアイデアを立ち上げるより、賢明だと言えますね。
【今日の教訓】
あなたの企業では、他業界で成功している仕組みを自社に取り入れるのに、どれほど貪欲だろうか。全く新しい仕組みを自社で開発するより、既に他業界で成功している仕組みを取り入れた方が、成功確率が高いかも知れない。
<参考:日経MJ(流通新聞) 2009.06.29【17面】>
セミナーの中で、特に強調させていただいたのは、日経記事に掲載されている各企業の施策は、どのような発想から生まれたのかを、自ら考えてみるということです。
発想のプロセスを解明し、それを自らなぞることができれば、自分自身の仕事にも応用できます。日経記事には、その「発想のプロセス」が記されているケースが多いので、非常に助かります。
6月29日付けの日経MJ(流通新聞)に、「遊技施設運営のラウンドワンが昨年8月から導入したネット対戦形式で行うボウリングの利用が好調だ」という記事が掲載されています。
この「ネット対戦ボウリング」は、「全国のラウンドワンの店舗で同時にプレーしている人」が対戦相手となります。スコアのアベレージで対戦相手が自動的に選ばれるので、レベルが同程度で、楽しめます。
記事によれば、「一人でも気軽に同じレベルの相手と対戦できることで、繰り返し利用する人が多く、リピート率は25日現在で70%に達している」そうです。登録会員数が85万人を超えているというから、大成功と評価してよいでしょう。
このアイデアの元について、記事は「開発のきっかけはラウンドワンの中にあるゲームコーナー」だとしています。「ネット対戦を取り入れていたゲーム機器からヒントを得た」ことで、ボウリングのネット対戦を実現しました。
ネット対戦型ゲームの仕組みをボウリングに取り入れたものだということは、記事の指摘を待たずともわかりやすいですね。ですが、記事にしっかりと書いてあると、安心します。
何か新しい取り組みが始まったことが記事で報道された場合、なぜもっと早くそうしなかったのか、についても考えてみるとよいでしょう。そのことについては、記事の解説がないと、わかりにくいかも知れません。
記事は「ボウリングはグループで楽しむものという既成概念にとらわれず1人プレーの仕組みをつくれば、同じような市場はあるとの仮説を立てた」としています。
ゲームをやるなら、一人でやるよりも、誰かと対戦した方がおもしろい。だからこそ、対戦型に価値があります。ですがボウリングは、そもそもグループで楽しむものだから、ネット対戦する意味がありません。それが既成概念だということです。
では、この既成概念は、どのように打ち破られたのでしょうか。世の中全般に、「お一人様」市場が注目されていることがあります。一人でボウリングを楽しみたい人は、きっと多いはず、と推測できたのかも知れません。
とは言え、顧客データを分析し、実際に一人でボウリングをしている人が多いかどうかは、確かめにくかったかのではないでしょうか。ネット
対戦ボウリングのサービスが生まれるまで、その市場は顕在化しなかったからです。
冒頭で述べたセミナーで、ある参加者の方から、記事を読み取る感性を鍛えるにはどうしたらよいか、という質問がありました。その際、記事の文章の一言一句まで、こだわりながら読むことだ、と回答させていただきました。
今回の記事では、「仮説を立てた」という表現が使われています。既に1人プレーの市場が拡大しているのであれば、「仮設」という表現は使わないでしょう。市場が拡大(顕在化)している場合、ネット対戦は、1人プレーする人たちへの付加サービスに過ぎなくなってしまいます。
ネット対戦ゲームが支持されるなら、ネット対戦ボウリングも支持されるはず。そのような仮説が、見事的中したのです。ネット対戦ゲームが存在したからこそ、ネット対戦ボウリングというアイデアも浮かび、成功する確率は高いと読んだわけですね。
では、もし、ネット対戦ゲームが普及しないまま、いきなりネット対戦ボウリングが登場したらどうでしょうか。利用者は戸惑ったのではないでしょうか。ネット対戦ゲームという下地があってこそのネット対戦ボウリングなのだと思います。
そうだとすると、新聞報道などをきっかけに、類似他業界の仕組みを真似るというのは、ゼロからオリジナルなアイデアを立ち上げるより、賢明だと言えますね。
【今日の教訓】
あなたの企業では、他業界で成功している仕組みを自社に取り入れるのに、どれほど貪欲だろうか。全く新しい仕組みを自社で開発するより、既に他業界で成功している仕組みを取り入れた方が、成功確率が高いかも知れない。
<参考:日経MJ(流通新聞) 2009.06.29【17面】>