起業や新規事業立ち上げを考える際は、対象となるビジネスの特性をしっかりと踏まえる必要があります。
たとえば、BtoBとBtoCとでは、ビジネスに対する感覚が、かなり変わってきます。
BtoCでは、細かい売上の積み上げとなるので、BtoBの感覚に慣れ切っていると、その「細かい売上」をおろそかにしてしまいがちになります。逆に、BtoCの感覚でBtoBに取り組むと、効率の悪い活動の落とし穴にはまったりしますね。
「細かい売上」と言っても、それで成り立っている大企業もありますので、決して、おろそかにはできません。
その「細かい売上」を積み上げるために、各企業は、大変な努力をしていたりもするのです。
8月19日付けの日経MJ(流通新聞)に、「市場の冷え込みに苦しむ外食チェーンは今、サイドメニューの売り込みに知恵を絞っている」という記事が掲載されています。
意図としては、「客数が減少すれば、客単価を上げるしか、売り上げは維持できない」ことがあります。
このご時世、値下げや低価格メニューは不可欠ですがが、それだけでは客数が増えず、売上高のみが減少してしまうこともあり得ます。
実際、そのような「負のスパイラルに陥る企業が後を絶たない」とのことです。
外食産業全体では、客数も客単価も減少しているそうですから、ゆゆしき事態だと言えるでしょう。
「1品あたりの単価を上げることは難しい」となると、やはり「ついで注文を誘うサイドメニュー開発に力を注ぐ」しかありません。
記事は、サイドメニューを上手に売るためのキーワードとして、「Show(見栄えのよさ)」「IDea(アイデア)」「Economy(節約)」を挙げ、頭文字をとって「SIDE」と呼んでいます。
見栄えのよさについては、客の面前で調理して食欲をそそったり、見栄えのよい食材を採用するといったことがされています。
アイデアにつては、割り引きサービスや時間帯限定といったものが紹介されています。
節約については、食材の原価を抑えたり、サイズを変えるなどして、価格設定に工夫が凝らされています。
いずれにしろ、涙ぐましいほどの努力が感じられる取り組みです。
サイドメニューを注文することで、結局、食事単価が上昇します。消費者は、財布のヒモを堅くしているはずなのですが、何とも興味深い消費行動のようにも思えます。もっと言えば、非合理的ではないでしょうか?
もちろん、サイドメニューに“騙されない”消費者もいるでしょう。ですが、そこまで財布のヒモが固くはない消費者も、多いということなのでしょうね。ヒモが緩むかどうか、そこを上手に狙うことが、サイドメニューの“極意”のようです。
サイドメニューの特性は、通常の“一人前”よりは少量であることです。言ってみれば、通常メニューの「スキマ」を埋める存在です。その「スキマ」は、今まで見過ごされていた市場でもありますね。
外食産業でなくても、客単価をもう少し押し上げる仕掛けができれば、いいですよね。
考えてみれば、他業界では「追加オプション」がそれに相当します。
ならば、他業界の「追加オプション」を考える際も、「Show(見栄えのよさ)」「IDea(アイデア)」「Economy(節約)」の要素を踏まえるとよいのかも知れません。
その点、一般的な「追加オプション」では、通常の商品・サービスを単純に追加するだけで、「今まで見過ごされていた市場」をカバーするものでもなかったりします。
そう考えると、外食産業の“涙ぐましい”ほどの取り組みを踏まえれば、「追加オプション」のあり方についても、さらなる努力・工夫をする余地は大きいように思います。
【今日の教訓】
あなたの企業では、収益を押し上げるために、どのような「追加オプション」を顧客に提供することができるか、考えてみよう。外食産業のサイドメニューにおける努力や工夫を見習い、自社としてどのようにユニークな「追加オプション」を提供できるか、検討してみよう。
<参考:日経MJ(流通新聞) 2009.08.19【3面】>
★おまけ★
日経記事からビジネス発想を得るコツの一つは、「共通点・類似点を探す」ことです。
今回のブログでは、外食業界の「サイドメニュー」と他業界の「追加オプション」に共通点を見い出すことで、発想のヒントを得ました。
このあたりのノウハウは、『新聞記事で鍛える【超】ビジネス発想力強化セミナー』で語っています。
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