つい数日前、キングジムの電子メモ帳「ポメラ DM10」を購入しました。コーチングのクライアントが既に購入していて、非常に便利に使っているという話を聞き、興味をそそられたのが、きっかけです。
さらに、弊社の女性社員も使い始めていました。
文章を書くことが非常に多いので、起動時間が短く、いつでもどこででも原稿作成できるというのは、魅力的ですね。
使い始めたばかりの製品が日経記事で取り上げられると、つい嬉しくなって読んでしまいます。
7月30日付けの日経産業新聞は、この「ポメラ DM10」がヒットしている、という記事が掲載されています。
昨年11月にリリースされた製品なのですが、「6月末までに当初の年間目標の2倍の6万個を売り、初年度の販売目標を10万個に上方修正した」そうです。
ヨドバシカメラ(秋葉原)の担当者は、「飛ぶように売れている」とさえコメントしています。
「30~50代の男性」が、「会議の議事録作成など仕事はもちろん、外出先での空き時間にブログ用の記事や俳句を書き留めるなど幅広い用途に使う人が多い」とのことです。
記事は、この製品の開発にまつわるストーリーを紹介しています。
開発担当者は「他社製品をまねず、ありそうでなかった商品を開発したことがヒットに結びついた」とコメントしています。
商品化を検討した段階では、「経営陣はヒットを予想できなかった」のだそうですが、開発担当者以外に、社外取締役の大学教授が「今すぐでも買いたい。ぜひ商品化すべき」と主張し、ゴーサインが出たとのことです。
キングジムの宮本彰社長の決断は、「少人数でも飛びついてもらえる商品ならヒットする」との考えからだったそうです。
記事は、「10万個売るにしても、日本人1000人に1人が買えば達成できる数字。皆に気に入られる必要はない」と解説しています。
なかなかの見識だと思います。
大勢の人に、そこそこ気に入られるのではなく、一部の人に、熱狂的に支持されるような製品。開発にあたってのコンセプトの着眼点として、有効だと思います。
このブログでも、以前、分野を特化した「趣味性が強い」クルマの新雑誌創刊が相次いでいるという記事を取り上げたことがあります。
根強いファンを大事にする点では、ポメラのケースと類似していますね。
興味深いのは、「ポメラを販売している家電量販店では現在、陳列場所が電子辞書売り場だったり、パソコン売り場だったりとまちまち」だという点です。
キングジムの宮本社長は「他社が思いつかないような商品を生み出す『規格外の発想が大事』ともコメントしています。どの売り場で売ったらよいのかがわからないというのは、まさに規格外発想であることを象徴しています。
この記事では、「プラスが2007年末に発売した『ケシポン』」という製品にも言及しています。「スタンプを押すだけではがきに記された名前や住所を隠せる」というヒット商品で、「『個人情報保護用文具』という新たな市場をつくり出した」と述べています。
「一部の人に熱狂的に支持される」「どの売り場に置いたらよいか、わからない」「新たな市場をつくりだす」といったフレーズは、開発企画の着眼点・評価基準として、有効なのでしょう。
【今日の教訓】
あなたの企業が画期的な新製品を開発するとしたら、それはどのようなものとなるだろうか。もしそれが「一部の人に熱狂的に支持される」「どの売り場に置いたらよいか、わからない」「新たな市場をつくりだす」ものだとすれば、かなり画期的だ。これらの観点で、開発のアイデアをひねってみよう。
<参考:日経産業新聞 2009.07.30【7面】>