制約を外して飛躍する

HANK@森

2009年07月23日 22:50

ビジネスの拡大・発展を目指す場合、現状ではどのような制約条件があるか、明確に認識しておく必要があります。たとえば弊社のように、セミナー開催をビジネスにしている場合は、席数と受講料単価の掛け算が、売上高の上限となります。

席数を考えないとしても、日時と場所が指定(制約)されていることで、受講の都合がつかない人に対しては、機会損失を起こしていることが考えられたりします。

席数・日時・場所といった制約条件は、工夫をすれば、外すことができます。たとえば、セミナーをDVD化したり、ネットを使って配信するといったやり方は、その制約条件にとらわれません。

7月23日付けの日本経済新聞地方経済面(中国A)に、「井筒屋グループの山口井筒屋は山口店の外商強化に乗り出す」という記事が掲載されています。

店舗への来店客を待たねばならないということも、制約条件となります。積極的に顧客に出向くことで、その制約を外すことができます。外商という機動的な営業スタイルは、そこにメリットがあるわけです。

記事によれば、「山口市内だけでなく、周辺顧客を掘り起こす。日本海側に商圏を広げるため、2011年にも萩市に外商担当者が常駐する拠点を設ける方針」とのことです。

萩市の拠点については、「外商担当者を3~4人常駐させる方針」で、「小規模なサテライト店とすることも検討している」とのこと。現在の業態の制約をも、外す考えのようです。

もっとも、外商を強化したいという願望があっても、足がかりがなければ、掛け声倒れとなってしまいます。簡単にできるなら、とっくの昔に取り組んでいたでしょう。それもまた、制約条件と言えます。

記事によれば、「メーンバンクの山口銀行と連携」するとのことです。「山口銀行は取引先を山口井筒屋に紹介するなどして、山口店の外商拡大につなげる」のだそうです。

井筒屋の会員カードである「ウィズカード」の株式は、山口銀行を傘下に持つ山口フィナンシャルグループが保有していて、カード会員を増やすことが、双方にとってのメリットとなるわけです。

このような他社との連携も、顧客数拡大への制約を取り外すことになります。結局のところ、ビジネスの発展は、いかに制約条件を外していくかの繰り返しなのだと思います。

山口井筒屋の外商比率は、約21%。「同じく山口井筒屋が運営している宇部店の外商比率29%に比べても低い」と記事は伝えています。他店をベンチマークすることで、改善余地を見出したわけです。

制約条件を外すという発想の前提は、冒頭で述べたように、制約条件の存在への認識が大前提です。他店をベンチマークすることも、その気づきにつながるでしょう。外商比率をもっと高めることができるはずという意識は、思考の制約を外してくれます。

ビジネスも人生も、制約だらけだと感じればそのとおりですが、知恵や工夫で、その制約を外すこともできます。飛躍するためには、その妨げとなる制約を外せばよいのです。何が制約条件なのかを見極めれば、活路を見出しやすくなるでしょう。

【今日の教訓】
あなたのビジネスに限界があるとすれば、何が制約条件となっているだろうか。その制約条件を見極めたら、それを外す手立てを考えてみよう。いきなり飛躍を目指すのではなく、制約を外すことを考えるのだ。

<参考:日本経済新聞(中国A) 2009.07.23【11面】>

関連記事