標準化の効果、恐るべし。

HANK@森

2009年07月14日 02:35

夏といえば生ビール。この季節、夕方以降は、なるべく水分を控えるようにしています。そうすると、生ビールの最初の一杯で、至福の気分を味わうことができます。

ただ、いつも気になることが一つあります。それは、生ビール(中)のサイズが、店によって異なるということです。400cc~600ccくらいの範囲でばらつきがあるらしいです。

同じ「中」を謳いながら、分量にばらつきがあるのは、いかがなものでしょうか。ですが、表立ってクレームをつける客は、ほとんどいないようです。

というのは、サイズだけでなく、価格にもばらつきがあるからでしょう。均一価格でサイズが違っていたら問題視されるでしょうが、飲食物の価格は店によってばらつくのが普通であり、そのようなものとして受け入れられています。

サイズと価格、そして店の「格」とが絡み合っていることが、単純比較を許さない状況を生んでいるわけです。また、居酒屋には生ビール以外のメニューがほとんどであり、価値は総合的に判断されるので、生ビールのサイズ問題だけを、わざわざクローズアップすることはしないのでしょう。

とは言え、一般的には、割安なのか割高なのか、ズバリと比較できた方が、ありがたいと言えるでしょう。そのような比較は、仕様が統一されることで、はじめて可能になります。

7月13日付けの日経MJ(流通新聞)に、服の“お直し”サービスを標準化する動きを伝える記事が掲載されています。「日本リ・ファッション推進委員会」という業界団体が発足し、「ばらつきのあるサービスや料金内容の整合性を取り、消費者の満足度を高める」ことを目指しています。


「リ・ファッション」という聞き慣れない言葉は、リペア(補修)、リフォーム(補正)、リメーク(作り直し)を総称したものだそうです。昨今の環境問題への関心の高まりを受け、資源の有効活用は、服の分野でも当てはまります。

記事によれば、「業界には中小企業が多く、サービスや料金がまちまち」であり、一言で“お直し”といっても、「すそ上げなど簡単な補修だけの店から、消費者の体形を考慮して似合う補正や作り直しを提案する店まで幅広い」のだそうです。

消費者としては、自分の好みに合うように直してもらおうと思っても、このようにサービス内容や料金にばらつきがあると、どこへ持ち込んだらよいのか、途方に暮れてしまいますね。

しかも、「顧客からのクレーム対応についてもばらつきがみられる」とか。これでは、消費者が二の足を踏んでしまうでしょう。標準化は、そのような問題を解決する基本的な仕組みとして、不可欠と考えられます。

もちろん、これは、服の“お直し”に限ったことではありません。他の業界では、標準化や規格の統一といった取り組みにより、安心して購入してもらえるような土台を作ってきています。

標準化は、最低限の品質が保証されていることを意味すると共に、詳しく仕様を指定する手間を省きます。そして、商品相互の比較をも容易にしてくれます。比較は競争を生み、品質向上を加速します。これらがあいまって、顧客を拡大する効果をもたらすわけです。

標準化の効果、恐るべし、といったところでしょうか。既に標準化や規格化が進んでいる業界もありますが、まだ整備されていない業界もあります。生ビール(中)のサイズまで統一しろとは言いませんが、標準化へ一念発起すべき業界は、たくさんありますね。


【今日の教訓】
あなたの企業の属する業界では、商品・サービス仕様の標準化が進んでいるだろうか。標準化は、商品・サービスの品質を向上し、市場規模の拡大に資する。業界を挙げて取り組むことを考えよう。



<参考:日経MJ(流通新聞)2009.07.13【11面】>


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