資格取得の模擬試験を無料で受けられる!

HANK@森

2009年06月18日 12:46

商品を開発するにあたっては、ターゲット顧客のウォンツやニーズをしっかりと把握する必要があります。欲しくないもの、必要のないものは、誰も買ってくれません。

「欲しい」「必要」について、さらに細かく考えていくと、その度合がどの程度なのか、という話になります。代金を支払う“苦痛”と見合うかどうかです。金を払ってまで「欲しい」「必要」なのか、考えなくてはなりません。

また、「欲しい」「必要」の度合は、常に一定だというわけでもありません。TPOに応じて変化します。たとえば砂漠の中を何日もさまよえば、水に対する「欲しい」「必要」は、極限まで高まります。

商品を売るのなら、「欲しい」「必要」の状態が高まった時点で、タイミングよく提供するのが賢いやり方となります。かと言って、その時が来るまで待つのもしんどいものです。

そこで、「欲しい」「必要」という想いを高めるべく、さまざまな工夫や仕掛けを施すわけです。

6月18日付けの日経産業新聞に、「資格学校を運営する東京リーガルマインド(LEC)は無料で受けられる模擬試験を8月から始める」という記事が掲載されています。

既に4月に試験的に実施したのだそうです。その結果、「事前の想定を上回って新規の入会、受講者が増えている」とのことです。販促効果があると判断し、本格的に展開することになりました。

無料のサービスを提供することで、見込み客リストを構築するというのは、よく使われる手です。とは言え、そのサービスのあり方によって、顧客獲得に結びつけやすかったり、そうでなかったりすることがあります。今回の記事のケースは、どうでしょうか。

模擬試験を受ければ、自分の実力がわかります。LECの場合、現時点では「採点や順位付け」がなされるだけですが、将来的には「合格率を示して合否判定を行うことも検討している」そうです。

実力がわかれば、合格という目標を達成するための課題もわかります。何をしたらいいのかがはっきりすれば、人間、俄然とモチベーションが上がるものです。

モチベーションが上がった時点こそ、すなわち「欲しい」「必要」という想いが高まったタイミングとなります。試験結果を基に、「オススメ」講座でも提示されれば、申し込みたくもなるというものでしょう。

需要を喚起するとは、たとえばLECのこの取り組みのようなことをいうのでしょう。この取り組みについて言えば、見込み客がこれから何をすべきか、そのアクションを明確に認識させる仕掛けとなっています。

見込み客が商品を買わなかった主な理由の一つとして、意外なことに、「買ってくれと言われなかったから」というものがあります。「買う」というアクションをとるべきことを伝えなかったということです。

「買ってくれ」は、顧客に対して外部から働きかけるコミュニケーションで、言ってみれば「外圧」です。一方、模擬試験を受験した結果からわき上がる、「講座で勉強しなくては」という思いは、「内発的」なものです。

販促DMのような「外圧」だけでなく、「内発」の仕掛けが奏功したことが、LECの受講者増の要因だと考えることができるでしょう。見込み客のリスト構築にあたっては、その仕掛けをどう組み込むか、よく考えるべきではないでしょうか。

【今日の教訓】
あなたの企業では、見込み客を集めるにあたり、彼らの内発的な購買モチベーションを高めるために、どのような仕掛けを用意しているだろうか。外圧一辺倒ではなく、内発を誘導することを考えてみよう。

<情報源:日経産業新聞 2009.06.18【17面】>


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