レバレッジを効かせるマーケティング

HANK@森

2009年04月02日 00:11

人口が増えない、むしろ減少する時代にあっては、顧客数の増加は期待しにくくなります。となると顧客単価を上昇させる仕組みをつくりたいところです。

顧客との付き合い方は、特定商品の購買という「点」ではなく、生涯にわたり連続的に購買を促す「線」の状態にすることが必要です。さらに、口コミを起こして「面」にまで出来れば理想的です。

「線」を志向する場合は、出来る限り長く引っ張りたいものです。そのためには、「起点」をなるべく早い時期に押さえることが重要となります。「線」の長さは無限ではありません。

具体的に言えば、顧客が消費者だとすれば、なるべく若い時期に顧客化し、生涯にわたり、商品を購買してもらうようにします。企業相手なら、設立当初から付き合い、企業規模の拡大に伴い、取引規模も大きくしていきたいですね。

4月1日付けの日経MJ(流通新聞)に、ライオンのしわ取りスプレー「スタイルガード」についての記事が掲載されています。「大学4年生など就職活動中の学生を対象にした販促を実施する」のだそうです。

「身だしなみのアドバイスやスタイルガードの情報などを載せた冊子のほか、試供品を配る」とのことです。狙いは、「しわ取りスプレーの便利さを訴え、社会人になっても使い続けてもらえるようにする」ことです。

最初の「刷り込み」が重要ということなのでしょう。日常的にスーツを着始める就職活動の時期を押さえれば、その後、40年程度にわたり顧客になる可能性があるわけです。金額換算で考えれば、販促投資の効果は、極めて大きいとみることができます。

そもそも「スタイルガード」のような商品は、どのように認知されるのでしょうか。テレビCMや店頭販促で目にするのかも知れません。ですが、関心を持たない限り、たとえ目に見えていても、特に気にとめないことでしょう。

その点、就職活動中の学生となれば、身だしなみや印象を気にすることから、関心が高まっていると考えられます。身だしなみをアドバイスする冊子を配るとなれば、熱心に目を通すに違いありません。

「点」ではなく、「線」や「面」での展開が重要だということは、よく指摘されることです。「線」で展開するのなら、「起点」を押さえることです。「起点」を押さえれば、「線」を長く押さえることができ、結果として「面」の最大化も期待できます。

「起点」を押さえることは、主導権を握ることにもつながります。ビジネスでは「上流」を押さえよと言われることがよくありますが、「上流」の行き着く先は、まさに「起点」です。

資源の重点配分の点でも、「起点」を押さえるのは賢明です。先述のように、40年にわたって効果が持続するのなら、最大限のレバレッジを効かせることができるからです。

顧客ターゲットをどう設定するかは、マーケティング上の重要なテーマです。選定基準の一つとして、線の「起点」を狙うという観点は、欠かせませんね。

【今日の教訓】

あなたの企業では、顧客ターゲットをどのように設定しているだろうか。「線」そして「面」での付き合いをしていくことが求められているとすれば、最大のレバレッジを得られる「起点」を狙うことを忘れてはならない。

<参考:日経MJ(流通新聞) 2009.04.01【6面】>


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