テレビ番組「マネーの虎」に出演していた南原竜樹さんを憶えていますか? 3年半前にすべてを失い、35億円の借金を抱えましたが、今は見事に復活を遂げています。
その南原さんの新刊「
クルマはふつうの価格で買ってはいけない」に目を通す機会に恵まれました。その中で、クルマのオークションの仕組みが詳しく述べられています。
クルマでビジネスを起こすのに必須な知識であるのはもちろんのこと、どうすれば賢くクルマを購入できるかといったこともわかります。併せて、ビジネスに真面目に取り組めば、必ず報いが得られるという教訓も散りばめられており、興味深いものでした。
オークションの仕組みが導入され、クルマ売買のビジネスも大きく変わったようですね。他の業界でも同様で、特にネットでのオークションや入札の仕組みがもたらす影響は大きいと言えるでしょう。
12月25日付けの日経産業新聞に「GMOインターネットグループのグローバルウェブは24日、
個人が自由に翻訳を依頼できるサイトに入札方式を導入したと発表した」との記事が掲載されています。
「入札式翻訳サービス」を利用すると、「翻訳家が得意とする分野の案件であれば、従来方式より安く発注できる」そうです。「翻訳してもらいたい文書ファイルをアップロード」し、「料金設定し発注する」という仕組みです。
翻訳家と翻訳をして欲しい人が一箇所に集まることで、これが実現したわけです。オークションや入札といった、価格決定の仕組みのバリエーションはありますが、太古の昔からある「市場」と本質的には変わりません。
市場、あるいは入札・オークションを利用するメリットは、あちらこちらへ出向かずに一箇所で済むことと、「比較」が容易であることでしょう。
ベストな購買意思決定をしたければ、「比較」の要素は欠かせません。通常の企業なら、物品・サービスを購入するのに「相見積もり」をとるのは常識ですね。
いわゆる「比較サイト」が人気を博していることや、比較により購買がしやすくなることについては、
当ブログでも1ヶ月前に取り上げたばかりです。
営業上のテクニックでも、一つの商品について買うか買わないかを迫るよりも、複数の商品を提示し、どれにするか比較し、選んでもらうようにするのが賢明とされています。
「比較」ができない場合、買い手の心理としては、売り手の言いなりとなったようで、気分がよろしくありません。自ら主体的に選択し、購入したことにしたいものなのです。
小売店でも、品揃えしてある商品を比較検討できるような陳列がしてあると、選びやすく、結果として買いやすくなります。「顧客視点」とは、そのようなことを言うのでしょう。それが売り場づくりの原則でもあります。
そう考えると、もし商品が売れないとしたら、適切な「比較」の機会を提供していないことが原因かも知れないと疑ってみるとよいかも知れませんね。
【今日の教訓】
あなたの企業では、自社の商品・サービスを販売するにあたり、顧客に比較選択の機会を十分に与えているだろうか。比較の有無は、選びやすさや買い安さに大きな影響を与える要因だ。今一度、見直してみよう。
<参考:日経産業新聞 2008.12.25【4面】>